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ブライトリング、11月8日開催の「かさおかポルダーフェスティバル」に出展し室屋義秀選手が曲技飛行
室屋選手が操縦する曲技飛行のメディア体験会も実施
(2015/11/7 00:00)
- 2015年10月6日 実施
- 2015年10月8日 イベント開催
ブライトリング・ジャパンは、11月8日に笠岡ふれあい空港(岡山県)で開催される「かさおかポルダーフェスティバル」の一環で開かれる「大空と大地のカーニバル」に出展する。同社が支援し、レッドブル・エアレースへの参戦や国内のエアショーでの披露する曲技飛行(アクロバティックスフライト)で知られる室屋義秀選手が曲技飛行を行なう。
ブライトリングはもともとパイロット向けの腕時計などを発売していたが、2011年からは全日本曲技飛行競技会への協賛を開始したのを機に、“空のF1”と言われるエアレース、“空のフィギュアスケート”と言われる曲技飛行で活動を行なう国内で無二の存在といえる室屋選手の活動全般に用いる「エクストラ 300L(Extra 300 L)」を提供し、支援してきた。
ブライトリングにとっても、曲技飛行チームであるブライトリング・ジェットチーム(Breitling Jet Team)が日本でツアーを行なうにあたり、室屋選手のチームに航空局への申請を代行してもらうなどしているそうで、両者の繋がりは深い。
一方、11月8日行なわれる、かさおかポルダーフェスティバルは、これまで「大空と大地のカーニバル」として実施してきたモータースポーツの祭典で、飛行機とスポーツカーとの競争などユニークな内容で人気を集めるイベントが、今年から名称変更して実施されるもの。大空と大地のカーニバルは、今年からかさおかポルダーフェスティバルの一環として実施される。室屋選手は2001年から参加し、曲技飛行などを披露してきたという。
2015年のスケジュールでは、11時15分からの「エアロバティックスフライト」、11時40分からの「室屋義秀トークショー」。さらに、室屋選手のチームを含む3チームが演技飛行を行なう14時からのセッションにも登場する予定になっている。
開場は7時で、イベントの時間は9時~15時30分。入場は無料。飛行機による実演は天候や視程に左右されるものの、小雨の場合は実施される見込みだ。
ちなみに、室屋選手にとってエアショーと並ぶ主要な活動であるエアレースは、シリーズ戦の「レッドブル・エアレース」が、2015年5月に千葉県千葉市の幕張で開催されたこともあって急速に注目が高まっている。室屋選手が着用しているブライトリングの「CHRONOMAT BLACK CARBON」は、室屋選手への人気もあって税別104万円という価格ながら好評だという。
室屋選手は2015年のレッドブル・エアレースを振り返り、「14名中、総合で6位になり、後半4戦は3戦でファイナルに残る、よいチーム体制を築けた」と手応えがあった様子で語り、来年も「ブライトリングの支援を受けてレースチーム強化に取り組んでいる。2016年のシーズンは総合優勝を目指して、チーム一丸となって準備しているので、注目してほしい」と意気込みを見せた。
かさおかポルダーフェスティバル出展に合わせてブライトリング・ジャパンは、10月6日に報道関係者による曲技飛行の体験会を実施した。これは室屋義秀氏が操縦する複座式単翼機「エクストラ 300L」に同乗できるというもの。記者を含む、4社の報道関係者が体験した。
体験飛行に用いられたエクストラ 300Lは、ブライトリングのイエローにペイントされたもの。フラップ(高揚力装置)はなくエルロン(補助翼)、エレベータ(昇降舵)、ラダー(方向舵)を備えている。また、エルロンの下には板のようなものが付いている。これは、エルロンが操縦桿と直結しているため、飛行中は片手では操作ができないほど重くなるそうで、この板の重みを利用することでエルロンの操作を軽い荷重で行なえるようにしているのだという。
着陸後の減速は基本的に出力を下げることで行ない、プロペラ自体を抵抗物として作用させることで行なう。エンジンは水平対向の6気筒エンジンを搭載している。
コックピットには速度計や高度計、気圧計、G(重力加速度)計などを備えるが、姿勢計は備えない。飛行機の姿勢は、左翼端に付けられた三角形の標識と赤い紐を参考にするほかは、感覚によるところが大きいという。
体験搭乗時は、前席に体験者が座り、後席に室屋選手が乗り込んで操縦を行なう。着陸時は室屋選手が滑走路を視認できるように、機首をやや斜めに向けた、ちょうど旅客機が横風時に滑走路へ向かうときに行なうクラブをとったような姿勢で着陸する。
体験者は、基本的には身に付けているものをすべて外し、用意されたつなぎを着用。さらにパラシュートも背負って、緊急脱出時の説明を聞いてから搭乗する。座席においてもシートベルトはキツめに固定され、身動きはほとんどできない。
体験飛行は、滑走路から離陸後、1000ft程度まで上昇し、無重力状態を生み出すアップダウンからスタート。ここまでの流れでシートベルトの固定具合も確認があった。
その後、
・軸をズラして横転する「バレルロール」
・いわゆる宙返りの「ループ」
・一気に垂直上昇して速度が落ちたところで反転して復帰する「ハンマーヘッド」
・「失速状態からの錐もみ(ほぼ垂直の降下)」
・高速で横転する「ロール」(室屋選手によれば、これが普通のロールとのこと)
・水平→右90度→背面飛行→左90度を段階的に切り替えて横転する「4ポイントロール」
・片翼だけを失速させて横転する「スナップロール」
・スナップロールの連続
・滑走路付近をローパス(低空飛行)
・着陸
の流れで進められた。離陸から着陸までは10分程度。
小型機での曲技飛行は振動やエンジン、機体の挙動がダイレクトに伝わってくるのも刺激的だ。最も衝撃的だったのはスナップロールという、片翼だけ失速して横転するという動きだ。……という説明を聞いても、正直よく分からなかったのだが、実際に体験しても、やっぱりどうなっているのかよく分からない不思議な動きだった。体験飛行終了後に、もう少し詳しく訊ねてみると「失速状態にしたあと、ラダーで飛行機を曲げて、片翼にだけ揚力を作り出してロールする」と、なんとなく“なるほど”と思える説明。こんな操縦を短時間で行なっていることに驚きだ。
また、この日は天気がよかったこともあるが、空からの眺めがとにかく素晴らしかった。曲技飛行ということで機体がさまざまな姿勢になることから、次々に違う映像が目に飛び込んでくるし、同じ風景も違う角度で見ることができるので、同じ風景も違う景色のように映る。Gに耐えつつ、思わずキョロキョロしてしまった。
ちなみに、今回の体験飛行時のGは最大で「だいたい6Gぐらい」(室屋選手)とのこと。F1を超えるような重力加速度がかかっていたようだが、一般人向けの記者が同乗しているということもあって、お手柔らかな操縦だったのだろう。恐怖はまったくなく、飛行機の動きやキャノピー越しに見える眺めを存分に楽しませてもらえる、得がたい体験となった。
以下は、体験飛行前に実施された室屋選手単独での曲技飛行の様子だ。外から見ても“明らかに角度がおかしい”という飛行機とは思えない姿勢が次々に繰り出される演技には一見の価値がある。エアレースも同様だが、国内ではこうした曲技飛行を見られる機会はそう多くはなく、その貴重なチャンスである「かさおかポルダーフェスティバル」に足を運んでみてはいかがだろうか。
【お詫びと訂正】初出時、室屋義秀選手のお名前に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。