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零戦も舞った「レッドブル・エアレース千葉 2017」開幕。予選トップはピート・マクロード選手

室屋義秀選手は4位、予選1位から8位が1秒未満にひしめく混戦

2017年6月3日~4日 開催

レッドブル・エアレース千葉 2017の予選日(6月3日)。3万5000人の観客が詰めかけた

 千葉市美浜区の幕張海浜公園を舞台に「レッドブル・エアレース千葉 2017」が6月3日に開幕し、予選が行なわれた。予選トップは54秒609のタイムを出したピート・マクロード選手。注目の日本人選手、室屋義秀選手は4位だった。この日の来場者は主催者発表によると3万5000人。ビーチを埋め尽くした来場者が迫力あるエアレースや話題のサイドアクトを見守った。

 レッドブル・エアレースは決められたコース上をパイロンゲートを回避しながら飛行し、その速さを競うもので、予選の結果で、1位の選手と14位の選手、2位の選手と13位の選手……といった具合に決勝初戦のラウンド・オブ・14におけるマッチの相手が決まる。予選4位となった室屋義秀選手は、決勝初戦で11位のペトル・コプシュタイン選手と競う。

 前日の練習飛行が中止となったが、この日の午前中から午後イチにかけて2度の練習飛行を実施。それを受け、16時過ぎより予選飛行が行なわれた。練習飛行の回数が予定よりも少なく、各選手ともぶっつけ本番に近い状況になったこともあってか、1位から8位までのタイムが1秒以内という僅差の結果となった。

予選飛行の様子(飛行順)
[11]ミカエル・ブラジョー選手
[95]マット・ホール選手
[12]フランソワ・ルボット選手
[5]クリスチャン・ボルトン選手
[18]ペトル・コプシュタイン選手
[10]カービー・チャンブリス選手
[99]マイケル・グーリアン選手
[27]ニコラス・イワノフ選手
[84]ピート・マクロード選手
[37]ピーター・ポドランセック選手
[26]フアン・ベラルデ選手
[31]室屋義秀選手
[31]室屋義秀選手
[21]マティアス・ドルダラー選手
[8]マルティン・ソンカ選手

予選結果

[84]ピート・マクロード:54秒609
[21]マティアス・ドルダラー:54秒656(+0秒047)
[8]マルティン・ソンカ:54秒928(+0秒319)
[31]室屋義秀:54秒933(+0秒324)
[95]マット・ホール:55秒010(+0秒401)
[10]カービー・チャンブリス:55秒226(+0秒617)
[99]マイケル・グーリアン:55秒539(+0秒930)
[37]ピーター・ポドランセック:55秒605(+0秒996)
[26]フアン・ベラルデ:55秒632(+1秒023)
[27]ニコラス・イワノフ:55秒791(+1秒182)
[18]ペトル・コプシュタイン:55秒954(+1秒345)
[11]ミカエル・ブラジョー:56秒169(+1秒560)
[5]クリスチャン・ボルトン:56秒365(+1秒756)
[12]フランソワ・ルボット:57秒116(+2秒507)

 予選を終え、レース・ディレクターのジム・ディマッテオ氏、予選1位のピート・マクロード選手、予選2位で前年度ワールド・チャンピオンのマティアス・ドルダラー選手、予選4位の室屋義秀選手が記者会見を行なった。

 レース・ディレクターのジム・ディマッテオ氏は、「(千葉開催の3回目について)戻ってこられてうれしく思う。美しいコースで、日本には多くの航空ファンもおり、スタッフ、パイロットが楽しめるレース。トラックはスピードの出る、競争しがいのあるトラックを用意した。海上で横長のコースが特徴で、横から眺められることを意識した。両端のターンがチャレンジング。そのターン以外にもゲート4、5、6、7の処理の差でタイムの差がでたようだ。素晴らしいタイムが出ている。明日はもっと素晴らしいレースになるのでは」と述べた。

 予選1位のピート・マクロード選手は、「2014年以来の予選1位で、調子のよいレースだった。昨日の練習飛行が中止になったおかげで、今日はみんな手探りでタイムを出していたと感じる。レースで体感したものを次のアタックに活かす、それが向いていたのかも知れない。トラックも自分に合ってきたし、機体の調子もよい。このパフォーマンスを明日につなげられれば」と意気込みを語った。

 予選2位のマティアス・ドルダラー選手は、予選2回目のタイムアタックの途中まではマクロード選手を上まわるタイムでトラックレコードを出す勢いだったが、途中でアタックを中止した。それについて問われ、「いろいろなフライトラインを試した、予選も自分にとってはトレーニングで、1本目は安全にペナルティをしないようにした。2回目は攻めて、トリックも取り入れ、2回目のシケインのあとに、機体に揺れを感じ、スピードも出ていた。シケインを抜けたあと、パイロンが予想よりも早く現われて、うまく通過できなかった。明日こそトラックレコードを出したい」と話した。

 日本人選手として地元の期待を背負う室屋義秀選手は、「ファンがものすごく増えていて、(世界のなかでも)日本は桁違いに強いファンがいる、その国でレースをできることは幸せ。1本目を終えて時間ができたときにビーチに人がいっぱい見えて、2本目は頑張ろうと気合いを入れた」と話し、翌日の決勝レースについては「勝負に勝利するために自分自身ができることに準備してきたし、勝つ力をチームが持っていることはサンディエゴでも勝っていることで分かっている。(タイムは)僅差のなかなので、勝てるかどうかは女神に微笑まれるか。ベストを尽くせばチャンスは十分にある」と優勝に意欲を示した。

記者会見に臨む4氏
レース・ディレクターのジム・ディマッテオ氏
予選1位のピート・マクロード選手
予選2位のマティアス・ドルダラー選手
予選4位の室屋義秀選手
決勝初戦「ラウンド・オブ・14」の組み合わせ(ヒート、飛行順)

Heat 1-1:[27]ニコラス・イワノフ
Heat 1-2:[95]マット・ホール

Heat 2-1:[18]ペトル・コプシュタイン
Heat 2-2:[31]室屋義秀

Heat 3-1:[26]フアン・ベラルデ
Heat 3-2:[10]カービー・チャンブリス

Heat 4-1:[11]ミカエル・ブラジョー
Heat 4-2:[8]マルティン・ソンカ

Heat 5-1:[37]ピーター・ポドランセック
Heat 5-2:[99]マイケル・グーリアン

Heat 6-1:[5]クリスチャン・ボルトン
Heat 6-2:[21]マティアス・ドルダラー

Heat 7-1:[12]フランソワ・ルボット
Heat 7-2:[84]ピート・マクロード

零戦やブライトリング DC-3などのサイドアクトは日曜日も登場予定

 レッドブル・エアレース千葉 2017には、主役となるエアレース選手以外にもさまざまなサイドアクトが、海上のコース上に現われる。告知されているとおり、スイスの時計メーカーの支援でフライアブルな状態で保存され、現在世界一周に挑戦中のブライトリング DC-3や、世界で4機しか残っていないゼロ戦こと零式艦上戦闘機などが空を舞った。

 なお、これらのサイドアクトは6月4日の決勝日も飛行予定で、零式艦上戦闘機は12時50分ごろ、ブライトリング DC-3は14時30分ごろのスケジュールとなっている。

余談ながらエアレースのパイロンは、プロペラへの巻き込みを防ぐ目的もあって千切れやすい素材でできている。当然、翼が触れると簡単に千切れるのだが、いくつかのパーツに分かれた構造となっているので、その部分を取り替えることで簡単に復元できる。予選中にも2選手がパイロンに触れたが、すぐにスタッフが駆けつけ数分で復旧。次のアタックが行なわれた
水圧で宙を舞う「ジェットデッキ(Jet Deck)」のパフォーマンス。体を捻っての宙返りなどで魅せた
千葉市消防局のヘリコプター「おおとり1号」(写真中央)と「おおとり2号」(写真右)の編隊飛行
世界一周に挑戦中の「ブライトリング DC-3」
ブライトリング DC-3は、エアレースの飛行機ほど低い高度ではないが海岸線にかなり近づいて飛行。仙台空港を拠点に幕張を訪れた
予選終了後に姿を見せた零式艦上戦闘機(零戦)二二型