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JR西日本、踏切内で列車と自動車の衝突事故を想定した「京都支社 列車事故総合訓練」を公開
現場の状況を参加者が把握し自分で行動する「ブラインド訓練」に現場は緊迫
(2015/10/19 16:53)
- 2015年10月16日 実施
JR西日本(西日本旅客鉄道)は10月16日、吹田総合車両所(大阪府吹田市)の構内にて行なわれた「京都支社 列車事故総合訓練」を報道陣に公開した。本訓練は、列車事故時における乗客の避難誘導や救護に関わる社員の対応能力向上と併発事故の防止、そして事故発生時には不可欠な関係機関との連携強化のため、2005年度から警察、消防、医療機関と合同で取り組んでいるもの。
今回の訓練では、JR西日本 近畿統括本部および京都支社、関係機関からは大阪府警察本部、大阪府吹田警察署、吹田市消防本部、大阪大学医学部付属病院、大阪府済生会千里病院が参加し約230名の規模で行なわれた。
今回公開された訓練は「お客様救護訓練」と名付けられた、事故発生時から乗客の救護までのもので、実施時間にして1時間強のものだ。その想定は以下の通り。
列車名:金沢駅発~大阪駅行きの上り特急列車 681系3両編成
乗客数:約100名
場所:JR京都線 茨木駅~千里丘駅間
概況:走行中、踏切内に進入してきた自動車を認め、非常ブレーキをかけるも間に合わず衝突し、先頭車両が脱線。列車内では多数の乗客が負傷している。また運転士も腹部を強打し動けない状況。
以上の想定された状況下で、列車内の乗客の避難誘導、負傷した乗客への救急処置、自動車内に閉じ込められた乗員の救出、そして負傷者の病院への搬送、その救護のシナリオをあえて設定せず参加者が現場の状況を把握し自分で行動する「ブラインド訓練」という形がとられた。
訓練が開始されると、列車から発するホーン、そして衝突音、そして付近の列車に異常事態を伝える防護無線のアラーム音が会場に鳴り響き、非常に緊迫した空気が流れる。運転士が動けない状況を確認すると車掌がその現地連絡責任者として大阪総合指令所への報告、発煙筒を使い後続列車への対処、自動車側の乗員の安否確認などを慌ただしくも1つ1つを確実にこなす。その後、警察、消防、医療機関の車両も続々と到着し現地対策本部を設置、救護活動を開始した。事故発生時の初期対応、現場状況の的確な把握、関係機関への連絡と情報提供、負傷者の救護活動から病院への搬送、シナリオなき訓練はそのすべてが非常に緊張感に包まれていた。
多くの乗客を乗せ移動する鉄道の事故は、その発生形態も様々だ。例えば今回の想定も、特急形車両ではなく、ドアの数が多くその開口部も広い通勤型の車両であれば、その1点のみでもまったく違う形になったであろうとJR西日本 京都支社長 岩崎悟志氏は語った。訓練終了後、岩崎氏、そして関係各所の連携が重要だと語る吹田市南消防署 署長 下川健次氏も今後もこのような訓練を継続していく必要性を語った。