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沖縄県の第十一管区海上保安本部と通信事業社、災害応急資機材積載訓練を実施
災害時にも通信を確保。航空機への積載訓練は初めて
(2016/2/20 08:00)
- 2016年2月16日 実施
海上保安庁第十一管区海上保安本部と、NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー電話、ソフトバンクが2月16日、沖縄県那覇市で災害応急資機材の積載訓練を行なった。
海上保安庁と通信事業3社は「災害時における通信の確保のための相互協力に関する協定」を締結している。これは災害発生時の通信確保のため、海上保安庁は被災地の通信手段を確保するために活動する通信事業者に対する人員や物資の輸送の支援、通信事業者は海上保安庁の人命救助活動などに必要な通信手段として衛星携帯電話を含む携帯電話などの通信機器を優先的に提供するという相互協力協定だ。
今回の訓練はこの協定に基づくもので、実際に巡視艇・航空機へ必要資機材を積載し、その手順や積載場所の確認などを行なった。同管区での訓練はこれが初で、特に航空機への積載訓練は全国初であった。
午前中は巡視艇「げっとう」への積載訓練を、NTTドコモとKDDI・沖縄セルラーが実施した。
作業は、まず桟橋に必要資機材を準備し、手順を確認する。5~6名の技術者がそれぞれ担当する場所にスタンバイ。声を掛け合いながら資機材を手渡しで積載していく。
限られたスペースへの積載ということで積み方にも工夫が必要だ。業者によって機資材の数や形状も違うため、それぞれが独自に工夫していた。
ベルトやロープを用いての固定作業も、船のどの部分へ締結するかなど何カ所か試す場面も見られた。
最終的にはしっかりと積載・固定され、その手順が再確認できたようだ。
午後は場所を那覇空港内の基地に移し、航空機「MA720:しまたか1号」(ボンバルディア 300)への積載訓練を、ソフトバンクを加えた3業者が実施した。
沖縄は離島が多く、迅速性を図る面からも航空機が使用の必要性が高いことから、今回の訓練実施となった。
海上保安庁の航空機は人の輸送を主目的としているため、巡視艇よりもさらに積載場所が限られている。そこで、シートを倒すなどの工夫をしながら積載場所を確保していた。
また、機内の天井が低いので頭上への注意も必要だ。左右の重さのバランスを考慮する必要もある。訓練前に実機を視察し、シミュレーションは行なってきたそうだが、実際に作業をしてみると思うようにいかない場面もあったとのことだった。
さらに、当初は予定になかったヘリコプターへの積載訓練も実施された。
ヘリはさらに積載重量の限度があるため、機材の優先順位を決めなくてはならない。これが確認できたことも、今回の訓練の大きな収穫だったのではないだろうか。
第十一管区海上保安本部 総務部長の玉越哲治氏は、「船、航空機それぞれに特徴と欠点がある。状況に応じてどちらを選ぶかの決断が必要だ」と語った。実際に2015年9月の台風21号襲来時に、与那国島へ航空機を使用して物資を運んだ実績がある。電力会社からの技術者輸送要請にも応えた。今回の通信事業者との初訓練を通じて、今後もさらなる対策を行なっていくとのことだ。
携帯電話は、災害時には最重要な通信ツール。その復旧対策は通信事業者にとって大きな使命だ。海上保安庁との連携により、迅速な対応を図ってもらいたいと願う。