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東京メトロ、総合研修訓練センターを公開
模擬駅3駅を含む訓練線を備える
(2016/3/26 00:00)
- 2016年4月1日 開所
東京メトロ(東京地下鉄)は3月24日、2016年4月1日に開所する総合研修訓練センター(東京都江東区)を報道陣向けに公開した。
新木場車両基地に隣接するこの施設は、これまで中野富士見町など各所に点在していた各部門の研修施設を統合したもの。敷地内には5階建ての研修棟に加え、同社では初となる「営業線に準じた訓練線」を備えているのが特徴。
これまで人身事故やポイント故障、脱線から復旧といった訓練は車両基地を使用していたため、営業終了後から翌営業開始までの深夜に、限られた時間内でしかできなかったが、今後は時間的・空間的な制約を受けることなく訓練が可能となる。加えて、各部門が連携して複合的かつ総合的な訓練が行なえるようになったのも大きなメリットとなる。
また、研修棟には安全意識の高い企業風土を築くことを目的とした「安全繋想館」(旧「事故に学ぶ展示室」)を併設。資料展示やヒューマンエラーの疑似体験を可能としている。
東京メトロ 代表取締役社長 奥義光氏はビデオメッセージで「すべてのお客様に安心してご利用していただくため、決して忘れてはならない日比谷線列車脱線衝突事故はもちろんのこと、過去の事故の貴重な教訓を風化させることなく、安全確保への強い思いを未来につなぐことで、さらなる安全意識の高い企業風土を築き上げていくことを目的に開設」、そして「我々鉄道事業に携わるものは安全確保に関して大変重い責任を担っていること、また、一度事故を起こせば取り返しのつかないことになることを、目で、耳で、そして心でしっかりと受け止めていただきたい」とコメントしている。
東京メトロでは総合研修訓練センターの開設により「鉄道員として広い視野と最新技術に対する高度なスキルやノウハウを習得した人財を育成することを目指し、当センターで日々の研修や訓練を重ねるとともに、部門間の連携を深めることで、東京メトログループの総合力を高めていく」「国内外の鉄道事業者と交流を深め、鉄道業界全体の発展のために知識や安産性を共有する場として本センターを活用することで、さらなる鉄道業界の発展に貢献」「当センターを最大限活用し、人財の育成を通じてお客様にさらなる安心を提供」するとしている。
同社では職員の56%が日比谷線列車脱線衝突事故後に入社しており、そうした世代に事故の教訓を伝えていくという意味でも、重要な施設となる。