ニュース
NEXCO中日本、新東名や新名神に対応する「名古屋支社道路管制センター」の新施設を公開
きめ細やかな渋滞情報の提供が可能に
(2015/5/13 14:04)
- 2015年5月12日公開
NEXCO中日本(中日本高速道路)は、新東名や新名神へ対応するべく、愛知県一宮市の「名古屋支社道路管制センター」に新しい道路管制センターを整備し、4月28日から運用を開始した。その施設が5月12日に報道陣に公開されたので、レポートをお送りする。
これまでの管制センターは、「施設管制」と「交通管制」が分けられていたが、今回のリニューアルにより1部屋に集約され、管制システムを高度化して、きめ細かな道路情報が提供されるようになっている。
また災害時には、名古屋と金沢、川崎で相互バックアップ機能を構築し、今重要視されているBCP(Business Continuity Planningの略。事業継続計画)対策をより強化。さらに防災拠点としても活用できるよう整備している。
センターの延床面積は約5900m2。オペレーションルームだけでも、約500m2ある。
オペレーションルームの公開に先立ち、NEXCO中日本 名古屋支社 道路管制センター センター長 山田一雄氏から、「NEXCO中日本では、現在約840kmほど管理をしていますが、1日平均で事故が18件、故障車が70件、落下物が90件あります。こういった事象はないに越したことはないのですが、なかなかそうもいかないのが現状で、日夜対処するのが当センターの役割です。名古屋周辺は単純な1本の道路ではなく複雑に入り組んでいるため、道路管制センターの役割は重要と考えています」と挨拶。続けて道路管制センターの概要および特徴の解説があった。
新しい道路管制センターは、今後2020年度までに開通が予定されている新東名、新名神の開通により増加する処理量に対応するべく整備された。また、南海トラフ地震などの災害時を考え、バックアップの機能を持たせている。データ処理システムを名古屋と金沢、川崎の3拠点に分散させることで、障害時に相互バックアップ運用ができる仕組みを構築。建物自体も震度7の地震に耐えられる設計になっている。
また、今回のシステムから本線情報板での渋滞情報表示が改善された。例えば、JCT(ジャンクション)分岐先のいずれもが渋滞しているケースでは、これまでは近い渋滞のみが表示されていたが、利用率が高いと想定される路線の渋滞から提供されるようになった。
JCTをまたいだ渋滞では、これまでJCTで区切った長さで提供されていたが、JCTを越えて一連の渋滞として提供される。ほかにもIC(インターチェンジ)間に2つの渋滞があった場合「断続渋滞」と表示され、通行止め手前の渋滞も表示されるようになるなど、きめ細かな渋滞情報の提供が可能になっている。
災害時のBCP対策設備も強化され、非常用発電機、災害地自家発用給油施設、井戸水対応型受水槽、井戸水浄化装置などを備え、管理業務を継続できるとしている。環境にも配慮し、井戸水を熱源として使う水冷空調設備や無電力で開閉する自動ドア(3~4階)、トイレの無水小便器、窓開放用の網戸といったエコ設備が使われている。
オペレーションルームの設計は、どこからでも見やすいように、ゆるやかな曲面で構成されていて、オペレータが無理なく視線に入る位置にモニターを配置。モニターは55型のパネルで、仰角25度以下で視距離5.5m以上になるように設置されている。
オペレーションルームは、交通管理隊への司令や交通情報などを提供する「管制司令(交通管制)」と、施設の制御やトンネル非常用設備を運用する「制御司令(施設制御)」が1部屋にまとまっている。統括司令のデスクが最上段にあり、これらを統括している。