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新名神と名神とを接続する高槻第二JCTでの工事を公開(1)
高速道路上での大型自走台車を使った鋼桁架設工事
(2015/6/12 22:22)
- 2015年6月9日 施工
NEXCO西日本(西日本高速道路)は6月9日、建設中の新名神高速道路と名神高速道路を繋ぐJCT(ジャンクション)となる「高槻JCT」の名神高速道路側JCTとなる「高槻第二JCT」の工事で、名神高速道路上をまたぐ区間の鋼桁敷設工事を報道陣向けに公開した。
高槻第二JCTは、名神高速道路大山崎JCT/IC(インターチェンジ)と茨木IC間に位置する。新名神との接続部のため、開通後は交通の要所となる大規模なJCT兼ICだ。なお、新設されるJCTとIC名は現時点では仮称。
工事は名神の集中工事期間内で21時~翌日6時までの間、夜間通行止めにして行なわれ、あらかじめ現場近くに搬入された鋼桁を、多軸自走台車とテーブルリフターの上に載せ、そのまま高速道路上に移動させて架設するという、非常に大がかりな見応えのある工事だった。なかなか目にすることのない深夜の道路工事作業を詳細にレポートしていこう。
今回かける鋼桁は「Dランプ橋」と呼ばれ、名神高速大阪方面から新名神へ接続する。そのうちのDP3~4区間となる、ちょうど名神の上を横切る部分。鋼桁の重さは355.1tで長さは67mにもなる。公開開始の時点で名神高速道路のすぐ脇に置かれていた。最初の対面で改めてその大きさに圧倒される。
取材時は、すでに多軸自走台車とテーブルリフターの上にも載った状態だった。この多軸自走台車は、写真では2台使っているように見えるが、実際には6軸台車と4軸台車を組み合わせて1台に見立て、それを2つセットにして4台使っている。この4台での合計積載能力は1438t。上にテーブルリフターと呼ばれる大型ジャッキが載せられていて、このテーブルリフターの能力は1基で200tあり、それが4基使われている。ストロークは2100mm。鋼桁を載せた状態で、時速0.5km/hで走行する。近くでリモートコントロールしていた。
2基ひとまとめにした側のみではあるが、中央分離帯を乗り越える必要があるため、最終的に載せて合わせる橋桁(DP4)を少し行き過ぎて進み、その後戻る形で接続箇所に位置を合わせていく。
この中央分離帯を越える時、現場にはかなりの緊張感があり、時間をかけて越えていた。1台に10軸ある車輪は、すべて独立して動作でき、コンピュータ制御で最適化されているそうだが、現場では想定外のなにが起こるかは分からないからだ。慎重に進ませていた。
片側が中央分離帯を越えたら、向きを変え既存の橋桁とランプ接続部分に近づけていく。DP4の接続部分は橋桁の上に載せ、DP3の接続は鋼桁同士を合わせて接続する。この位置合わせも多軸自走台車とテーブルリフターで調整していく。
鋼桁の位置が合ったら、仮溶接をして高力ボルトで留めていく。単純な作業に感じるが、ここでの作業は細かな調整をしているようで、この作業だけで2時間程度かかっていた。加重をかけても大丈夫な程度接続されると、加重を解放し振れ止めや固定具を外し、テーブルリフターを下ろして多軸自走台車を退出させる。積載していなければ2km/hで走行できるので、意外と速い。ここからは高速道路開通の作業があるため、最後は慌ただしく高速道路上を後にした。