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新名神と名神とを接続する高槻第二JCTでの工事を公開(1)

高速道路上での大型自走台車を使った鋼桁架設工事

2015年6月9日 施工

ほぼ据え付けが完了した高槻第二JCTDランプ橋DP3~4区間の鋼桁

 NEXCO西日本(西日本高速道路)は6月9日、建設中の新名神高速道路と名神高速道路を繋ぐJCT(ジャンクション)となる「高槻JCT」の名神高速道路側JCTとなる「高槻第二JCT」の工事で、名神高速道路上をまたぐ区間の鋼桁敷設工事を報道陣向けに公開した。

 高槻第二JCTは、名神高速道路大山崎JCT/IC(インターチェンジ)と茨木IC間に位置する。新名神との接続部のため、開通後は交通の要所となる大規模なJCT兼ICだ。なお、新設されるJCTとIC名は現時点では仮称。

 工事は名神の集中工事期間内で21時~翌日6時までの間、夜間通行止めにして行なわれ、あらかじめ現場近くに搬入された鋼桁を、多軸自走台車とテーブルリフターの上に載せ、そのまま高速道路上に移動させて架設するという、非常に大がかりな見応えのある工事だった。なかなか目にすることのない深夜の道路工事作業を詳細にレポートしていこう。

高槻JCTの位置模式図。名神高速道路と接続する要所となるJCT
高槻JCTは、新名神高速に接続する高槻第一JCTと名神高速に接続する高槻第二JCTに分かれている。今回の工事は高槻第二JCT
高槻第二JCTで黄色のDランプ橋のうちDP3~4区間にあたるちょうど名神高速上を横切る鋼桁を設置する
高槻第二JCTの航空写真。まだDランプ設置前での撮影

 今回かける鋼桁は「Dランプ橋」と呼ばれ、名神高速大阪方面から新名神へ接続する。そのうちのDP3~4区間となる、ちょうど名神の上を横切る部分。鋼桁の重さは355.1tで長さは67mにもなる。公開開始の時点で名神高速道路のすぐ脇に置かれていた。最初の対面で改めてその大きさに圧倒される。

 取材時は、すでに多軸自走台車とテーブルリフターの上にも載った状態だった。この多軸自走台車は、写真では2台使っているように見えるが、実際には6軸台車と4軸台車を組み合わせて1台に見立て、それを2つセットにして4台使っている。この4台での合計積載能力は1438t。上にテーブルリフターと呼ばれる大型ジャッキが載せられていて、このテーブルリフターの能力は1基で200tあり、それが4基使われている。ストロークは2100mm。鋼桁を載せた状態で、時速0.5km/hで走行する。近くでリモートコントロールしていた。

名神高速道路のすぐ脇にあらかじめ持ってこられた鋼桁。高さは15mほど
鋼桁を支えている多軸自走台車とテーブルリフター、2台で一組
多軸自走台車部分アップ。青い筒のような部分がテーブルリフター
搬入口となる高速道路のガードレールが撤去される
ガードレールは一時別の場所で保管
搬入口と鋼桁の位置関係
多軸自走台車は2基まとめた分をひとりがリモートコントロールしている。周りのサポートはあるが難易度は高そう
オペレーターと多軸自走台車の位置関係。かなり近い位置で操作している
多軸自走台車が搬入口に近づいていく。こうやって見ると搬入口はギリギリの広さ
搬入口にさしかかった
搬入口を横切っている
高速道路本線上はもちろん通行止め
高速道路本線上に多軸自走台車が現れた
中央分離帯はあらかじめどけて、ゴムシートが敷かれている
徐々に高速道路上に進んでくる。左側に見える橋桁まで繋げる
いったん橋桁を通り過ぎるように進ませる

 2基ひとまとめにした側のみではあるが、中央分離帯を乗り越える必要があるため、最終的に載せて合わせる橋桁(DP4)を少し行き過ぎて進み、その後戻る形で接続箇所に位置を合わせていく。

 この中央分離帯を越える時、現場にはかなりの緊張感があり、時間をかけて越えていた。1台に10軸ある車輪は、すべて独立して動作でき、コンピュータ制御で最適化されているそうだが、現場では想定外のなにが起こるかは分からないからだ。慎重に進ませていた。

多軸自走台車の車輪のアップ。6軸と4軸の台車を組み合わせている
ここから中央分離帯を越える。車輪がいっせいに横を向く
車輪が中央分離帯に乗り始めた
心配そうに注視している
時間をかけて中央分離帯を越える
ゴムシートを微調整するなど、緊迫した現場。手前はオペレータ
だいぶ乗り上げてきた
ここからは、橋桁側に向きを変えて近づけていく
1基分は越えつつある
ほぼ中央分離帯を越えた

 片側が中央分離帯を越えたら、向きを変え既存の橋桁とランプ接続部分に近づけていく。DP4の接続部分は橋桁の上に載せ、DP3の接続は鋼桁同士を合わせて接続する。この位置合わせも多軸自走台車とテーブルリフターで調整していく。

別の角度から見た鋼桁の状況。取り付け場所にかなり近づいた
橋桁との状況を、橋桁側から目視して確認している。こちらがDP4の接続部分
もう一方のDP3の接続部分
徐々に接続場所を合わせていく
かなり近づいてきた
もう人が触れるほどに近づいた。DP4側は橋桁に載せて高力ボルトで留める
DP3側は特に慎重に合わせていく。ボルト留め用の鉄板が用意されぶら下がっている
ボルト締めの前に仮溶接をする光が見える

 鋼桁の位置が合ったら、仮溶接をして高力ボルトで留めていく。単純な作業に感じるが、ここでの作業は細かな調整をしているようで、この作業だけで2時間程度かかっていた。加重をかけても大丈夫な程度接続されると、加重を解放し振れ止めや固定具を外し、テーブルリフターを下ろして多軸自走台車を退出させる。積載していなければ2km/hで走行できるので、意外と速い。ここからは高速道路開通の作業があるため、最後は慌ただしく高速道路上を後にした。

鋼桁と接続している振れ止めや固定具を外している
テーブルリフターを下ろしていく。鋼桁との接続が外れた
テーブルリフターが縮んだ状態
多軸自走台車を退出
退出中こちらに寄ってきた。かなりの迫力
搬入した場所から退出
作業がほぼ完了した

村上俊一