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新名神と名神とを接続する高槻第二JCTでの工事を公開(2)

クレーン2基を使った防護壁越えの鋼桁架設工事

2015年6月11日 施工

ほぼ架設が完了した高槻第二JCTDランプ橋DP4~5区間の鋼桁

 NEXCO西日本(西日本高速道路)は6月11日、名神高速道路と建設中の新名神高速道路を繋ぐJCT(ジャンクション)となる高槻JCTの名神高速道路側JCTとなる高槻第二JCTの工事で、名神高速道路上での鋼桁敷設工事を報道陣向けに公開した。

 高槻第二JCTは、名神高速道路大山崎JCT/IC(インターチェンジ)と茨木IC間に位置する。新名神との接続部のため、開通後は交通の要所となる大規模なJCT兼ICだ。なお、新設されるJCTとIC名は現時点では仮称。

 工事は前回レポートした6月9日に続いて行われ、名神高速の集中工事期間内で21時~6時までの間夜間通行止めにする点も同様。9日のDランプ橋のDP3~4区間から繋がるDP4~5区間の工事となる。9日のレポート(http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/20150612_706796.html)とあわせて読んでいただきたい。

 こちらの作業では、下にちょうど防音壁があるため、多軸自走台車とテーブルリフターが使えず、2基の大型クレーンを使って鋼桁を両脇で吊る「相吊り架設」という工法を採用している。鋼桁は9日のものより小さく、長さは38.3mで重量は153.7トンと半分程度となる。

 あいにく雨がときおり強く降る悪天候になってしまったが、大型のクレーン2台を使った深夜の架設工事のレポートをお届けする。なお10日の工事は公開されなかったが、同じ名神高速道路本線上に位置するCランプという別の部分で9日同様の工事が行われている。高槻JCTの位置やランプに関しては9日と同じだが、ひととおり紹介しておく。

高槻JCTの位置模式図。名神高速道路と接続する要所となるJCT
高槻JCTは、新名神高速に接続する高槻第一JCTと名神高速に接続する高槻第二JCTに分かれている。今回の工事は高槻第二JCT
高槻第二JCTで黄色のDランプ橋のうちDP4~5区間にあたる鋼桁を設置する
高槻第二JCT航空写真。まだDランプ設置前での撮影

 今回の工事は防音壁を越えるため、本線上に置かれたクレーン2台を使って相吊り架設をする。そのためのクレーンの準備に多くの時間がかけられていた。作業をするクレーンは550トン吊オールテレーンクレーンが2台。このクレーン上には、カウンターウエイトと呼ばれる重しを載せていく。道路を走行するには重すぎるため、いくつにも分割されたウエイトをトレーラーで運んできて、自らのクレーンを使って載せていた。

今回架設するDP4~5区間。右上の鋼桁は9日架設された部分
もちろん高速道路本線は通行止め。9日と異なり工事車両が多数行き交っている
本線脇に用意された鋼桁。長さ38.3mで重量153.7トンと前回より小さめ。2台1組の多軸自走台車に載せられている
大型クレーンが本線上に準備されている。550トン吊オールテレーンクレーン
鋼桁が搬入口近くまで移動する。だがまだ本線上には入らない。クレーンの準備待ち
クレーンが作業する場所に移動
クレーン自身でカウンターウエイトと呼ばれる重しをクレーン上に載せていく
かなりの分量のカウンターウエイトが載せられた

 クレーンの準備が済むと、多軸自走台車に載せられた鋼桁が搬入口から運ばれてくる。所定の位置でクレーンに接続する玉掛け作業が行われ、クレーンによる吊りが始まると多軸自走台車は退出した。

鋼桁が搬入口から現れる
鋼桁は多軸自走台車で移動している
鋼桁全体が本線上に姿を現す
架設場所直下に到着。ここでクレーンに取り付ける玉掛け作業がはじまる
多軸自走台車のアップ
玉掛け作業が進む。DP5側クレーン
DP4側クレーンの玉掛け作業
クレーンに加重がかかりはじめた
多軸自走台車から鋼桁が離れた
多軸自走台車の退出がはじまる
多軸自走台車は搬入口へ向かっていく。2台が1組で使われていることがよくわかる

 鋼桁が吊られてから上に移動する時間は早い。最初は上に移動し、橋桁より少し上の高さになったら、横方向に移動させ接続部分とは片方ずつ正確に仕口合わせをしていく。

 位置合わせ完了後は、高力ボルトで締めつけ吊具を外す作業があるが、今回は架設作業までで現場を後にした。

下で支えていた台車がなくなり、完全に宙づり状態になった
徐々に鋼桁が上昇していく
高さが合ったので、横方向へスライドさせていく
DP5の位置を合わせている
DP4側も位置がほぼ合った。高所作業車でサポートしている
位置合わせの完了。この後、高力ボルトで締めつける作業がある
完了時のクレーンを含めた全体の様子
9日架設したDP4~DP3と今回架設分のDランプ橋の全体

 6月9日の多軸自走台車とテーブルリフターを使った架設、11日の大型クレーンでの相吊り架設の2パターン見学ができたが、JCTのランプ橋鋼桁架設はこのどちらかで施工されることが多いとのこと。これで主要工法のレポートをお届けできたこととなる。

 夜間通行止めという時間制限のあるなか、巨大建造物の設置を的確に進めていく現場は、間近で見ると迫力を感じるのはもちろん、感動も覚える。日本の道路工事の技術力の高さを改めて確認できた、とても有意義な見学会となった。この2回のレポートから、その一端でも感じていただければ幸いだ。今後も、絶賛拡大中の高速道路拡充関連レポートは随時おこなっていくので、楽しみにしていていただきたい。

村上俊一