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混雑する空港の保安検査場をいち早く抜けたい! 最速通過のコツはスマートレーンにあり
2024年12月28日 06:00
年末年始や大型連休に空港を利用するとき、出くわしがちなのが「空港の保安検査場の待機列」だ。分かっていても避けようがなくて、バスや電車の遅れで空港への到着がギリギリになってしまったりすると、検査場の行列に絶望的な気持ちになる。
混雑の理由はいろいろだが、列の進みが遅いのは「検査に時間がかかっている」「検査レーンが少ない」「検査スタッフが足りない」などいくつかの要因が考えられる。
これに対して空港側も、電光掲示板などで空いている検査場を案内していたり、係員が誘導を行なっていたりと対策している。最近はチケットの確認を個別の検査レーン手前ではなく検査場入り口で一括して行なうことで、その後の流れがスムーズになるよう工夫している空港もある。
しかし根本的には、検査レーンの手前でトレイを2~3個取って横に並べて、ノートPCやスマホ、液体物などをカバンから取り出してトレイに展開して……という手順があるうちは、劇的な時間短縮は望めないだろう。
カバンから荷物を取り出すのに手間取ったり、想定よりトレイが足りなくてまごついたりすることもあるだろうし、トレイが3つ~4つと増えるほどレーン後方に向けてスペースを圧迫するから、さらに列の進みは遅くなる。混雑期は日ごろ飛行機に乗り慣れていない利用者も増えるので、こういった傾向は顕著になりがちだ。
スマートレーンはノートPCも液体もカバンに入れたまま
そんな検査場あるあるを一気に解決してくれるのが「スマートレーン」の存在だ。スマートレーンとは、以下のような特徴を持った保安検査レーンのことで、飛躍的な検査速度の向上を果たしている。
- X線CT検査機で荷物を360度確認できるため、中身の取り出し不要(※)
- トレイの搬送を自動化。利用者が持ち運ぶ必要がない
- トレイを送り出した人からボディスキャナへ進むため、追い越しが可能
- 追加の検査が必要なトレイは係員側のレーンへ自動で流れる
- 使用後のトレイは入口側へ自動で回送
※CT型でない場合は荷物の取り出しを求められる
国内空港でも導入が進んでいるので、遭遇したことのある人もいるだろう。実際の使用例は動画を見ていただくのが分かりやすいが、「荷物を出さなくてよい」「準備ができていない前の人を追い越せる」という2点が特に大きい。トレイ自体も大型化されていることが多いので、カバンと上着などをまとめて乗せてしまえるのも便利だ。
以下、国内主要空港について、スマートレーンの配備状況をまとめた。具体的なレーン数が公開されている場合はカッコにその数を示した。繁忙期に空港を利用する際は、どの検査場に並ぶべきかを含めて検討してみてはいかがだろうか。
スマートレーン導入済みの国内主要空港
羽田空港 第1ターミナル
・保安検査場B(4レーン)
・保安検査場C(3レーン)
・保安検査場E(2レーン)
・保安検査場F(3レーン)
羽田空港 第2ターミナル
・保安検査場A(10レーン、全面導入)
・保安検査場B(10レーン、全面導入)
・保安検査場C
・国際線エリア
羽田空港 第3ターミナル(旧国際線ターミナル)
・導入済み
伊丹空港
・南側(ANA側)保安検査場(8+1レーン、全面導入)
・北側(JAL側)保安検査場(6+1レーン、全面導入)
関空 第1ターミナル
・新国内線エリア(6レーン)
関空 第2ターミナル
・国際線エリア
セントレア
・国内線(1レーン)
・国際線(2レーン)
・国内/国際共用(1レーン)
成田空港
・国際線保安検査場
新千歳空港
・国際線エリア
福岡空港
・国内線保安検査場(12レーン、2024年1月24日から順次)
那覇空港
・保安検査場A(5レーン)
モバイルバッテリやヘアアイロン、機内に持ち込めないものを知っておこう
少し前に「ヘアアイロンは機内持ち込みできない」と話題になったが、正確に説明するなら「バッテリを取り外せない充電式のヘアアイロンは、機内持ち込み・手荷物預かりできない」だ。
リチウムイオン電池は気圧変化や外部からの衝撃で発火・発熱のおそれがあるため、チェックインカウンターでスーツケースを預ける際、誰しも「モバイルバッテリは入っていませんか」と聞かれたことがあるはず。モバイルバッテリは預け入れ手荷物にはできず、機内持ち込みする必要があるが、「容量160Wh以下で1人2個まで」という制限もある(100Wh以下は制限なし)。ちなみに160Whは約43000mAhだ。
充電式のヘアアイロンを機内に持ち込めないのは同じ理由で、取り外せないバッテリを内蔵しつつ、そもそも高温で動作する機器という点にある。逆に言えばコンセント式やバッテリを分離できるものなどは機内持ち込みが可能。詳しくは国土交通省が示している注意喚起を確認していただきたい(別掲)。
上着やくるぶしを覆う靴は脱ぐ
保安検査を速やかに通過するために、もう1つ知っておくべきなのは、2019年9月13日から保安検査が強化されているということだ。
現在、保安検査場ではコートやジャケットなどの上着は必ず脱いでトレイに入れる必要があり、政府広報オンラインでは「全ての乗客のコート、ダウンベスト、ジャケット、セーター、カーディガン、パーカーなどの上着が検査の対象となります」としている。
また、くるぶしを覆う靴や厚底の靴、金属装飾の多い靴もやはり検査対象になっている。
検査場がスマートレーンになって荷物を取り出す必要がなくなったとしても、人間の身に着けているものはボディスキャナで別検査なので、ここで引っかかってしまうとスムーズに通過できない。特に年末年始は多くの人がコートなどで厚着しているはずなので、検査レーンの手前に来たらあらかじめ脱いでおく、くらいのつもりでいるとよいのではないだろうか。
【余談】エアラインの上級会員用保安検査レーンは早くない?
ANAマイレージクラブのプラチナ/ダイヤモンド会員やJALマイレージバンクのダイヤモンド会員、JALグローバルクラブのプレミア会員など、上級会員資格を保有していると利用できる「優先保安検査場」。
通常の保安検査場の混雑をよそに速やかに通過できるサービスだが、年末年始のような繁忙期はこうした検査場も混雑している場合がある。
エアライン関係者によると、会員向け優先保安検査場の多くはスペースの都合でスマートレーンを導入できないため、「1人あたりの検査は決して早くない」という。
飛行機に乗り慣れた利用者が多いので、ノートPCなど取り出すべき荷物やコート・上着を脱ぐといった点は熟知しているはずだが、状況によっては通常の検査場のスマートレーンの方が早い可能性がある、ということも念頭に置いてほしい。
なお、ANAは羽田空港第2ターミナルの「ANA SUITE CHECK-IN」「ANA PREMIUM CHECK-IN(北側)」で2024年12月にスマートレーンを導入している。処理速度は従来の3倍になっているとのことだ。