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国立競技場横にできた「都立明治公園」に行ってみた。天然・人工芝エリアや授乳室・オムツ交換台も
11月3日~4日はお披露目イベント「明治公園祭」
2023年11月1日 15:30
- 2023年10月31日 実施
Tokyo Legacy Parksが運営を行なう「都立明治公園」(東京都新宿区霞ヶ丘町5-1)が、10月31日に一部開園して供用を開始した。開園にあたり内覧会が開催されたので、その模様をレポートする。
Tokyo Legacy Parksは、東京建物を代表構成団体とし、三井物産、日本工営都市空間、西武造園、読売広告社、日テレ アックスオンから構成されるコンソーシアム。都市公園法に基づき「Park-PFI(公募設置管理制度)」を活用して、新しい公園の整備・管理運営を行なう。Park-PFIとは、飲食店や売店などからの収益を活用して公園施設の整備を一体的に行なう制度で、民間事業者を公募により選定している。都立公園としては初。
5棟の店舗棟のあるエリアは、カフェ、レストラン、アウトドアアクティビティショップ、リラクゼーション施設などが入居する予定で、現在はまだ工事中。2024年1月に開業を予定していて、これにより全体開園となる。また、日本テレビの人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」の新プロジェクトとして、公園内の「誇りの杜」の整備を手伝うことも発表している。
場所は、国立競技場と日本オリンピックミュージアムに挟まれた1.6ヘクタールの仙寿院交差点角地エリア。国立競技場のエントランスとはペデストリアンデッキで接続していて、JR千駄ヶ谷駅とも接続性がよい。公園西側は外苑西通りとも隣接する。国立競技場が新しく建て替えられる前には、都営霞ヶ丘アパートがあった場所となる。
今回開園したエリアは、「みち広場」「ステップガーデン」「希望の広場」「インクルーシブ広場」「レインガーデン」「誇りの杜」、公園管理棟やトイレといった特定公園施設。
コンセプトは「TOKYO LEGACY PARKs」とし、多様性・包括性、緑・環境、地域社会との持続的関係、エシカル(倫理的な)思想、心身の健康・幸福といったフィロソフィのもとに作られた、新しいタイプの公園だ。
西側にある「みち広場」「ステップガーデン」の見せる緑から「希望の広場」の使いこなしの緑、そして東側にある「誇りの杜」では育む緑と、公園内で徐々に移行していくシークエンスを意識した作りとなっている。
外苑西通りに面する「みち広場」には、人工的なせせらぎを設けている。これは、現在暗渠となってこの下を流れる渋谷川をイメージしたもの。「ステップガーデン」と呼ぶ階段を登ると、芝の「希望の広場」が見えてくる作りとなっている。この一帯には13種の桜が植えられていて、春先にはちょっとした花見の見どころとなりそうだ。
「希望の広場」は、約1000m2の天然芝を植えたエリア。周囲を囲むように、ベンチとしても使える段差を設けている。芝は国立競技場と同じものを使っている。天気のよい日には、多くの人に憩いの場所となりそうだ。
公園東側は、「レインガーデン」と「誇りの杜」が広がっている。ここは土作りから行なった杜。砂利でできた涸れ沢のような部分が目につくが、ここに雨の際には水が流れる川になる仕組みになっている。
ほかにも、敷地内の土壌下に砂利の層があり、豪雨のときには一時的な公園が雨水ますとして機能するとのこと。公園は東西で高低差が最大約7.8mほどあることもあり、土砂が流れてしまわないように考えられている。
この一帯には、武蔵野台地をイメージし、約60種で700本の木々が植えられている。この杜は、生物多様性を促し100年持続することを目指している。施工中に植樹祭を実施して、85人の地域の方々が苗木を植えたとのこと。グランドカバーとして枯れ葉がまかれているが、これは都営公園から集めて持ってきたそうだ。指南役として、東京農業大学 濱野周泰客員教授が関わっている。まだ、植樹したばかりで現在秋なので緑は少ないが、3年ほどすれば、木も生長し違った景色になるはずだ。
公園の仙寿院交差点側、国立競技場との接続部のデッキ周辺には、「インクルーシブ広場」と公園管理所、トイレがある。
「インクルーシブ広場」は、誰もが遊べる空間を目指していて、遊具は固定せずニーズに合わせて変更したり、イベント時に移動させることができる作りにしている。第1弾としてジャクエツの遊具シリーズ「RESILIENCE PLAYGROUD」の最新モデルが置かれている。ジャクエツの遊具を設置するのは都内では初めて。
芝は毛足が長く当たりが柔らかい人工芝になっている。トイレと管理棟はデッキ下に設置され、オールジェンダー(男女共用)のトイレも用意した。建物は風景になじむアースカラーで手塗りの凝った外壁。内装も清潔感ある落ち着いたデザインで、ベビーケアルーム(授乳室)やオムツ交換台(これは男子トイレ内にもある)を用意している。
トイレはここだけではなく、2024年1月に開業予定のショップエリアにも、トイレ棟を建設する予定になっている。
内覧会では、Tokyo Legacy Parks 取締役の黒田敏氏が公園を前に「2021年3月に東京都の公募があり、同年11月にTokyo Legacy Parksが公園整備の事業者として設定されました。構成される6社の専門性を活かして、未来につながる公園を作り盛り上げていこうと思っています。
社名にはLegacyというキーワードが入っていますが、過去の遺産という意味よりも未来に向けた意味合いでとらえてもらいたい。これからの未来に記憶として残っていくような公園になればという社名になっています。また、この都立明治公園だけでなく、今後もこのような形が広まっていけたらという願いも込めて、Parksという複数形にしています。
東京都としてはPark-PFIの制度を使った初めての公園になり、20年間事業を行なっていき、店舗などは事業後には解体し東京都に戻すことになっているのですが、杜に関しては皆さまと協業しながら100年続けて作っていきます。長く愛着をもって頂ければと思っています」と説明した。
ほか、N2 LANDSCAPE 代表の野口健一郎氏、西武造園 営業部 設計技術課 課長補佐の塩井景介氏、日本工営都市空間 東京支店 事業戦略室課長の吉成主税氏が、公園各所で解説を行なった。
11月3日~4日10時~17時には、お披露目イベントの「明治公園祭」を開催し(雨天中止)、学生による演奏や国立能楽堂によるステージ、日本将棋連盟による将棋コーナー、ヨガ体験などが楽しめる。フード販売やワークショップも予定している。「インクルーシブ広場」に設置されているジャクエツの遊具を監修した医師 紅谷浩之氏による解説も行なわれる。