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ANAHD、ANAセールスを会社分割。旅行事業はプラットフォーム事業会社へ統合。地域創生事業の収益化も
2020年10月27日 19:28
- 2020年10月27日 発表
ANAHD(ANAホールディングス)は10月27日、新型コロナウイルス感染症の影響に対する事業構造改革を発表。このなかで、プラットフォーム事業の収益拡大を図るとともに、旅行事業会社であるANAセールスを会社分割することを表明した。
プラットフォーム事業は、顧客関連業務を担っているANA Xを中心にして立ち上げを図ることの一環。航空事業、旅行事業、3700万人の会員を持つAMC(ANAマイレージクラブ)、4兆円規模の決済額を持つANAカード事業を中核に、プラットフォーム事業の収益拡大を図る。
ANAHD 代表取締役社長 片野坂真哉氏は、「本気で顧客情報を活用したビジネスを立ち上げる。よいタイミングが来た」とし、「利益計画などは作っていないが、現在ANAのカード収入、マイル収入などの売り上げが2千数百億円ある。これを5年ぐらいかけて倍にしていけると見ている」と展望を語った。
ANAグループが持つ顧客資産を活用し、例えば“スーパーアプリ”などの提供などが見込まれている。片野坂氏は、「航空が厳しいときに一本足打法ではなく、新しい時代のプラットフォームによって収益を上げることがねらい。世の中には先駆者の巨大なプラットフォームがあるので、そういったモデルを研究して進めたい」とした。
ANAセールスは旅行事業と地域創生事業に分割
このプラットフォーム事業の本格的な立ち上げにあたり、ANAセールスを分割し、旅行事業をANA Xと統合したプラットフォーム事業会社へ再編。2021年4月に実施する。ANAセールスが持つ旅行商材の企画造成のノウハウと、ANA Xの持つデータ分析力を融合するのが狙い。
また、片野坂氏は「ANAセールスのパンフレットを使う形態はいつまでも持たない」ことが長年の懸念だったとし、プラットフォーム事業化により、Webサイトやアプリなどを顧客とのタッチポイントとし、個人の嗜好やライフタイムに合わせたANAグループの商品やサービスを提供する方針。
国内33拠点を有するANAセールスの航空セールス事業は、「他社に先駆けてノウハウを蓄積してきた地域創生事業をマネタイズする」(片野坂氏)とし、“稼ぐ地域商社”として事業を進める。「これからは地域の皆さまと地域の価値・魅力を伝える商品・サービスをプラットフォーム上で展開していく」(片野坂氏)との方針を示した。
ちなみに、ANAグループの地域創生事業では、ANA総研やANA内の観光アクション部など似たような事業があり、類似業務を担う部門との調整はこれから進められるという。
12月までに約10社へ100名ほどが出向。雇用維持施策も
このほか、ANAHDが発表した事業構造改革のなかには、雇用を維持するための施策も含まれる。委託していた整備や空港ハンドリングなどの内製化や、拠点/空港規模に応じて生産体制を最適化するための人員再配置のほか、ANAグループ外企業への出向も行なう。
グループ外への出向先として、12月までにノジマや成城石井など約10社が予定されており、約100名が出向。今後も規模を拡大し、来春には400名以上が出向することを見込んでいる。
これは雇用維持だけでなく、グループ外企業での経験や知見を、復職後にANAグループの新たな価値創造につなげることをねらいとしている。
別記事でお伝えした航空事業の見直し(関連記事「ANAHD、中距離LCCを担う“第3のブランド”立ち上げ。ボーイング 787を活用して2022年度目途に運航開始」)と合わせてビジネスモデルの変革を図ることになる。
片野坂氏は「これまで幾多の困難に出会ったが、全役職員が一丸となって自らの力で乗り越えてきた。アフターコロナの社会の変容を見据え、感染症の再来にも耐えられるような強靱なANAグループに生まれ変わって、持続的な成長を実現していく」との意志を示した。