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JAL、島根の隠岐諸島・海士町を旅するバーチャルツアー開催。事前に海の幸を宅配して五感で楽しむ

「JAL 羽田-隠岐デジタルフライトで行く、隠岐 海士町の潮風リモートトリップ」

2020年7月18日 開催

バーチャルツアー「JAL 羽田-隠岐デジタルフライトで行く、隠岐 海士町の潮風リモートトリップ」を開催した

 JAL(日本航空)は7月18日、デジタルコンテンツとリアル体験を融合した「JAL 羽田-隠岐デジタルフライトで行く、隠岐 海士町の潮風リモートトリップ」を開催した。

 新型コロナウイルス感染症の影響で外出機会が減少しているなか、自宅で気軽に楽しめる新しい旅の形を利用者に提案する取り組みだ。

ツアーはビデオ会議ツール「Zoom」を使って参加する

 JALでは旅の新しい出会い方と選び方を目指し、「Try on trips」のコンセプトのもと、さまざまな試みを行なってきた。今回の試みは自宅で体験できる「おうちで Try on Trips」と題し、旅先からのライブ配信をはじめとするデジタルコンテンツと、地域の特産品をパッケージ化したものだ。

 第1弾の旅先として選ばれたのは島根県の沖合にある隠岐諸島・中ノ島にある海士町。海の幸、山の幸に恵まれた風光明媚な島だ。ツアーをJALと共同企画した島ファクトリー(島根県隠岐郡海士町)は、すでに8回のバーチャルツアーを実施している。

事前に地域の特産品が自宅に届き、指定された日時にビデオ会議経由でデジタルフライト・リモートトリップに参加する

 今回のツアーに申し込んだ参加者のもとには事前に「体験用BOX」が届けられ、その中には海士町産のサザエなどの海産物、JAL機内ドリンクや手作りマップなどをパッケージ。海産物の量によって、1人用の「梅コース」(5500円)、2~3人用の「竹コース」(7500円)、4~5人用の「松コース」(9000円)があり、合計30パックを販売した。

体験用BOXとして特産品のサザエとヒオウギ貝、かんかん焼きに使う金属製の専用缶(フタに穴が開いている)が届く
そのほか、旅のしおりや、手書きの隠岐マップ、特別に印字されたチケットにJALスタッフが書いた手書きのメッセージが入っている

 参加者は旅行当日の18日にPCやタブレット、スマートフォンなどからビデオ会議ツールのZoomを使い、ツアーのチャンネルにログイン。あらかじめ用意された離陸や飛行中の動画や画像、ライブ配信を楽しみながら海士町へバーチャル移動し、そこから先は海士町のスタッフが島内をライブで案内するといった流れだ。

「JAL 羽田-隠岐デジタルフライトで行く、隠岐 海士町の潮風リモートトリップ」ツアーの流れ

14時00分:集合
14時10分:リモートフライト離陸
14時40分:海士町に到着
14時50分:海士町観光スタート
15時30分:トークタイム
15時50分:再集合~解散

 隠岐までのバーチャルフライトは東京・天王洲にある「JAL Innovation Lab」から配信。実際にパイロット4名とCA(客室乗務員)1名が参加し、事前にシミュレータを使って撮影した離陸シーンを配信し、途中では上空から見た富士山の映像を披露したり、飛行機にまつわるクイズを出題したりCAがオリジナル機内ドリンク「SKY TIME」の開け方をレクチャーしながら機内ドリンクを楽しんだりと、バーチャルフライトを演出した。実際のフライトでは羽田からの直行便はないので、J-AIRの伊丹線なら約50分、JAC(日本エアコミューター)の出雲線なら約30分のフライトだ。

バーチャルツアーにはパイロット4名、CA1名が参加
東京・天王洲にあるJAL Innovation Labから生配信
3万8000フィート上空から見た富士山
飛行機にまつわるクイズの時間
日本上空に数多くあるウェイポイント。今回の航路で印象的な名称を持つ地点を紹介

 隠岐空港に到着してからは海士町のスタッフにバトンタッチ。隠岐空港のある島後から海士町のある中ノ島までのフェリーの情報、隠岐諸島や海士町について紹介。海士町の港からは実際にライブ映像を配信しながらツアーが進められた。

 島内観光の前に、お楽しみであるサザエやヒオウギ貝を調理する時間になり、缶で貝を蒸し焼きにする「かんかん焼き」の説明が行なわれた。JAL Innovation Labでも実際に調理したが、火をつけてからしばらくすると磯の香りが漂い、海辺にいるかのような雰囲気を味わえた。調理中に島内の隠岐神社でバーチャルお参りをしたあとは実食タイム。隠岐産のサザエやヒオウギ貝の説明を受けながら、参加者は舌鼓を打っていた。

 食事後は参加したパイロットやCAと会話できる時間があり、いろいろな質問が飛び出していた。その後も滞りなくバーチャルツアーは進められ、最後はフェリーで島を離れるシーンで終了した。

晴天で美しい海が印象的だった海士町。参加者からも「海がきれい!」と声が上がる
シーカヤックで海沿いを移動
島内にある隠岐神社でバーチャル参拝
かんかん焼きは、缶の中にサザエのフタがある方を上にして置き、その上にヒオウギ貝を乗せ、水を底から2~3cmほど注ぐ。お酒を入れて酒蒸しにしてもOKとのこと
蒸し上がったサザエとヒオウギ貝。日持ちしないことからスーパーでは見かけないヒオウギ貝は大変貴重な貝。カラフルな色合いは個体によって違い、オレンジが70%、残りが、赤、紫、黄色になるそうだ。見た目もそうだが、味もホタテに近い濃厚な甘みが特徴
食後はパイロットやCAが参加者の質問に答えるコーナー。職種への志望動機や就職するまでの流れ、フライトに関するものなど多くの質問に答えていた

 終了後、今回のバーチャルツアー参加者に感想を聞いてみると、やはり新型コロナの影響で旅行に行けなくなったことが参加理由の一つであると挙げていた。「しょせんごっこ遊びでしょ」とイメージを持っていた人も、リモートで行なわれるツアーなどが報道され、増えてきたことで試してみたい気持ちがわいてきたとのことだ。

 マチュピチュに訪問するバーチャルツアーをすでに体験した参加者は、予想以上に面白かったので「『バーチャル』『ツアー』『旅』とかで検索していて、今回のツアーは『リモート』『旅』でヒットしたので参加してみました」と話していた。

 また、今回のバーチャルツアーでは、デジタルコンテンツやライブ配信による視覚と聴覚のほかに、磯の香りと貝の美味しさが味わえる味覚と嗅覚が満たされたことも満足できた点だと答えていた。機内シーンでは、普段目にすることのない景色や機内ドリンク、専用チケットが用意されていた点も評価されていた。それに加え今後の要望としては、「JALさんのグルメも味わいたいので、機内食も用意してもらえるとうれしい」といった声も聞かれた。

 好評だったこのバーチャルツアーは、実施経験の多い海士町スタッフのアテンド力とJALの工夫、視覚と聴覚以外の五感に響く内容が奏功した要因であり、新型コロナが終息した折には実際に訪れてみたいと思った人も多かったことだろう。JALでは、この経験と要望をもとに第2弾を8月から秋口にかけて実施する予定だ。

島民の盛大なお見送りのシーンでバーチャルツアーは終了。往来が減った現在、まずは島のよさを知ってもらうことで新型コロナ終息後の来島につなげたい考えだ