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ソラシドエア、長崎県五島市とのコラボ「五島へGO号」就航。世界遺産で観光客増加中の地域にフォーカス
2019年12月17日 15:07
- 2019年12月17日 実施
ソラシドエアは12月17日、同社が運航する飛行機を利用して地域振興を図る機体活用プロジェクト「空恋~空で街と恋をする~」の新たな取り組みとして、長崎県五島市による「五島へGO号(ゴーゴー)」の運航を開始し、長崎空港で就航セレモニーを実施した。
空恋プロジェクトとしては第27弾。長崎県では過去に、長崎県大村市「おむらんちゃん号」(2013年11月21日~2014年11月26日運航)、長崎県南島原市「手延そうめんのまち 『おいしい南島原号』」(2017年9月29日~2018年11月8日運航)、長崎県波佐見町「陶器のまち HASAMI号」(2018年11月9日~2019年11月12日運航)の3自治体とコラボレーションしている。
つまり、2017年、2018年に続いて3年連続でコラボレーションすることになる(関連記事「ソラシドエア、長崎県波佐見町のPR機『陶器のまちHASAMI号』就航。波佐見高生が機体デザイン考案」「ソラシドエア、長崎県南島原市とコラボした『手延そうめんのまち おいしい南島原号』就航」)。
五島市とコラボレーションした「五島へGO号」は、登録記号「JA802X」の機体を使用。約1年間運航する。
乗降に用いるL1ドアの脇にはマスコットキャラクターの「つばきねこ」が描かれ、「いい旅になりますように」とお辞儀をしてお出迎え。機体後方には、上部に「Goto五島!」、下部に五島椿とともに自治体名を大きく描いている。
同機内ではシートポケットで五島市の観光ガイドブックを提供するほか、Wi-Fiを利用した機内エンタテイメントサービス「ソラタイム」で五島市のプログラムを用意。CA(客室乗務員)もL1ドア脇と同じデザインの「つばきねこ」が描かれた特別エプロンを着用してサービスを行なう。
12月17日のSNA38便(長崎12時25分発~羽田13時55分着)搭乗口で行なったセレモニーでは冒頭、長崎県五島市長の野口市太郎氏があいさつ。五島市は、2018年7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成要素としてユネスコの世界文化遺産に登録された天主堂や教会などが建つ地域であることから、「五島はいま、たいへん元気。2017年に21万人だった観光客が、2018年は24万人、今年は25万人台後半に落ち着きそうだが、26万人に届くのではないかと期待している。世界遺産に合わせ、美しい自然景観、美味しい食べ物、島民をあげたおもてなしの心で観光客をお迎えしている」と観光客が増加している現状を紹介。
今回の空恋プロジェクトについては、「吉永小百合さん主演の『最高の人生の見つけ方』のロケ地になり全国で上映していただいたところだが、今回このプロジェクトで、空港や飛行機の利用者を中心に五島をPRしていただくことをありがたく思う。PRしていただいた以上は、しっかり観光客の皆さまをお迎えして、またソラシドエアに乗って長崎経由で五島に来たいと思っていただけるように頑張りたい」と述べた。
野口市長によると、2018年の観光客数は過去最高だが、2019年の25万~26万人という数字で前年を更新することは確実とのこと。五島市へ行くにはORC(オリエンタルエアブリッジ)などの空路や、船を使う海路を通ることが必要となるが、このキャパシティにはまだまだ余地があるという。その点からも、「全国から観光客をお迎えするには、まず五島を知ってもらわなければならない」と、今回の飛行機を使った周知に期待を寄せる。
一方、インバウンドについては、「1%ほど」とのことで、「キリスト教関連遺産ということで、欧米の方に五島の魅力を発信したい。今年、フランス国籍の方を五島市の職員に採用した。欧米を中心に五島市をPRしていきたいと思っているところ」と、旅行日数の長い欧米旅客の来訪を待望した。
続いて、ソラシドエア 代表取締役社長の髙橋宏輔氏がマイクの前に立ち、空恋のプロジェクトについて紹介。五島については「西海国立公園や大瀬崎灯台などの景観が素晴らしいし、なにより海産物が美味しい。そしてツバキなどが有名なイメージだったが、近年は世界遺産登録された江上教会や旧五輪教会など、悲しい歴史とともにあるが、素晴らしい文化遺産があることも注目されている。これからますます観光客が増えていくと思うし、我々もそのお手伝いをしたい」とコメント。
搭乗客に向けては、機内エンタテイメントサービスのプログラムで、福山雅治さんが島々を紹介する「長崎ブルーアイランズプロジェクト」や、秋吉久美子さんが世界遺産を紹介する動画を提供していることを紹介した。
今回、就航空港から陸路で行けないという空恋プロジェクトでも珍しいケースとなるが、「さまざまな県のデスティネーションをしているなか、空港から距離のある場所も紹介している。飛行機や船には乗る必要はあるが、五島も長崎空港から行けるデスティネーションの一つ」との認識を示した。
また、2019年度の空恋プロジェクトでは、熊本県の天草地域とコラボした「VISITあまくさ号」、宮崎県日南市とコラボした「ウィーラブニチナン号」、今回の長崎県五島市とコラボした「五島へGO号」の3機を就航させることになったが、この背景については「世界遺産に関連するものが2自治体、合併10周年で移住にフォーカスしたのが1自治体。自治体のニーズがあって、弊社の視点がつながっていることが大切」と、双方の取り組みが合致した結果であるとした。
このほか、2019年について「ワールドサーフィンゲームスのスポンサーをし、そのあとサーフィン推しを展開した。また、ソラ鉄も展開し、新しいことに取り組んでいる。これまで取り組んでいることも継続的に取り組んでいる」とコメント。航空業界では飲酒問題や保安検査などの問題が発生しているが、「弊社はゼロ。頑張っている」と胸を張った。一方、2020年に向けては、2020年度に経営計画を見直し、新中期経営計画をスタートする方針を示しており、「その意味では新たな中期経営計画を作る年」と先を見据えた。
セレモニーではその後、テープカットや記念撮影を実施。搭乗時には、就航記念品として搭乗証明書や五島の観光ガイド、そして「五島手延べうどん」が搭乗客にプレゼントされた。