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銀座線渋谷駅、年末年始の移設工事完了。供用開始式典で新駅舎から始発列車が出発!

2020年1月3日 供用開始

表参道駅務管区長による出発合図

 東京メトロ(東京地下鉄)は1月3日、銀座線渋谷駅(東京都渋谷区)において新駅舎供用開始式典を実施した。

 銀座線渋谷駅が開業したのは1938年12月。商業ビルの中に設けられる構造は当時としては先進的であった一方で、大規模な改修が行ないづらいというデメリットを抱えていた。近年では1日の乗降客が約22万人と膨れあがったこともあり、ホーム幅の狭さや上下移動が階段のみといったサービス面での課題が生じていたものの、前述の理由により手を付けることが難しかった。

 こうした状況のなか、2005年12月に渋谷駅周辺が「特定都市再生緊急整備地域」に指定されたのを受け、2008年6月には東京都と渋谷区が「渋谷駅街区基盤整備方針」を策定。JR東日本(東日本旅客鉄道)を含めた駅施設の利便性や耐震性の向上、バリアフリー化をはじめ駅前広場や道路、河川、環境などを改善をすべく周辺一帯の整備が行なわれることになった。

 銀座線渋谷駅においては、東急百貨店3階からJR渋谷駅と渋谷ヒカリエの間、明治通りの上空へと東へ約130m移動すると同時に、降車用ホームと乗車用ホームを一体とした島式に変更。ホーム幅を約6mから約12mへと広げるとともに、エスカレーターやトイレを新たに設置するなど、施設の充実化が図られることになった。

 移設工事は2009年2月に着手され2016年11月、2018年5月に続き、この年末年始に線路切り換え工事を実施。3回目となる今回の工事は駅施設の移動を伴う大がかりなものとなったが、12月27日の終電後からわずか6日間というスピードで完了。この日の始発から新駅舎の利用が開始された。なお、ホーム面やイスなどは仮設置の状況で、今後、仕上げとともにホームドアの設置、トイレの増設などが順次行なわれる。

新駅舎供用開始式典ではテープカットを実施した
式典列車の入線~始発列車発車

始発列車の出発前に新駅舎供用開始式典を実施

 始発の出発を前に行なわれた新駅舎供用開始式典では東京メトロ 代表取締役社長の山村明義氏が登壇。冒頭で「本日、1月3日の始発より新駅舎の供用を開始します」と述べたあと、「1927年12月30日に東洋唯一の地下鉄として浅草~上野間に開業」「1938年12月に青山6丁目(現在の表参道)~渋谷間の開業」「1939年9月に浅草~渋谷間の相互直通運転を開始」と銀座線の歴史を紹介した。

 銀座線渋谷駅については「東京の西の玄関口として開業して以来、今では1日平均22万人ものお客さまにご利用いただける、東京メトロでも主要なターミナル駅となっております」として、「世界で初めて整列乗車を実施した」とのエピソードを交えつつ、「昨年の12月27日に旧駅舎はその役割を無事終えることができました」と、81年に及ぶ利用への感謝を述べた。

 そうした一方、「乗車ホームと降車ホームが分かれていただけでなく、幅の狭い改札口、ホームや分かりにくい通路、上下の移動が分かりづらい構造であり、そのほとんどが階段」となっていたため、「安全サービスの面で大きな課題を抱えていた」と旧駅舎の問題点に言及。しかし、「駅のホームを百貨店内に設置している構造から、抜本的に手を入れることが難しい」ことから、大きな改修工事が行なわれなかったと述べた。

 だが、2005年に駅周辺が都市再生緊急整備地域に指定されたことにより、「一連の再開発に合わせて駅の現状の課題を改善し、安全性や利便性、快適性の向上」を図るため、再開発事業と連携して移設工事を実施。11年の工事期間を経て新ホームの供用を開始するとともに、「戦後、この駅で始まった整列乗車は引き続き実施」と利用者に協力を求めた。

 この新駅については「昨年11月オープンの渋谷スクランブル口側の改札口(アーバンコア)が各鉄道路線との結節点となり各路線の渋谷駅に案内する動線設計」となっているため、「すべての工事が終了すると縦に横に伸び分かりにくいとされる移動のしにくさの改善」に繋がると利用者のメリットを紹介。また、駅舎のデザインについても「新駅舎の上屋はデザインが特徴的で長スパンを実現するM形屋根を採用」しており、「遠くからも視認できランドマークとしての街の分かりやすさ、回遊性の向上に繋がる」と確信しているとした。

 最後に「今後も渋谷駅をより一層安全で便利な魅力溢れる駅とするために、引き続き、本年7月から開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてホームドアの設置をはじめエレベーターの設置、トイレ整備工事が継続されます。将来は宮益坂方向と道玄坂方向を結ぶ歩行者デッキがM形屋根の上に掛かり、渋谷の街の回遊性がさらに高まります」と、今後も継続して行なわれる工事への理解と協力を求めた。

 関係者によるテープカットや表参道駅務管区長の出発合図による式典列車の進出を実施。式典列車はそのまま5時1分発の始発列車となり所定の位置に停車後、浅草方面へと向かう乗客を乗せ渋谷駅をあとにした。

東京メトロ 代表取締役社長 山村明義氏
5時1分初の始発列車

銀座線渋谷駅新駅舎

スクランブルスクエア側から見た新ホーム。右側が頭端式となる1番線
渋谷ヒカリエ側から見た新ホーム。左側が1番線
乗車と降車が同ホームとなるため先発を案内する表示を設置
ホーム上の案内板
ホーム上面は仮仕上げでイスは仮設置。ホームドア設置などにあわせて最終的な仕上げが行なわれる
銀座線渋谷駅発祥となる整列乗車は継続
1番線側から表参道側の眺め
2番線側から表参道側の眺め
渋谷ヒカリエ側に設置されるエスカレーター。奥に階段がある
渋谷ヒカリエ側の改札は明治通りに面した場所。東急東横線、副都心線の乗り換えはこちらを利用する。将来的に渋谷ヒカリエ2階に接続する改札口も設置される予定
自動改札機と券売機
改札内部から明治通り改札の眺め
ホームに向かうエスカレーター
エスカレーターの反対側には階段もある
階段で2階に上がったところにトイレを用意
2階には多目的スペースを用意
AC100Vコンセントもある
スクランブルスクエア側改札
券売機
渋谷スクランブルスクエアへの連絡通路
旧降車ホームは京王井の頭線などへの連絡通路として利用される
2番線からは旧ホームを経由して車庫へつながっている