ニュース

ソラシドエア、国際線向けにUSB電源&機内食用オーブンを搭載した新造機「JA813X」の機内公開

11月上旬に国内線で運航開始予定

2018年10月31日 公開

2018年11月上旬 運航開始予定

ソラシドエアが3年7か月ぶりに導入する新造機「JA813X」の機内を公開した

 ソラシドエアは10月31日、国際線就航を見据えて導入したボーイング 737-800型機の新造機「JA813X」の機内を報道公開した。従来機からの相違点を中心にお伝えする。

 ソラシドエアは2011年から機材の切り替えを進め、現在はすべての機材をボーイング 737-800型機に統一して運航している。ソラシドエアにとって3年7か月ぶりの新造機導入となる13機目「JA813X」は、外観こそ従来のソラシドエアの機材とまったく同じながら、機内は大きく変更が加えられた。

 中期経営計画で掲げる「2019年度までの国際線定期便化」を見据え、国際線で運航するうえで求められる機能を装備したのが特徴となる。ソラシドエアでは2019年度までに同じ仕様の機材をもう1機納入するほか、現在運航している機材の一部についても、国際線で運航するために機内の改装を行なう予定だという。

5V/2.1AのUSB電源を全席に装備。素材や収納などシートを刷新

ソラシドエアが受領し新造機「JA813X」の機内

 客室の変更点は非常に多い。1つ目はシートの変更だ。シートは従来機と同じくRockwell Collins製だが、別モデルのシートを採用した。3-3の6アブレストで、174席の仕様は従来機と同じ。

 シート素材は従来のファブリックからレザー素材とすることで、食事などによる汚れを拭き取りやすくしている。色合いは従来機と同じライトグレーを基調としているが、ヘッドレスト部や座面にはダークグレーを配することでコントラスト感と機内空間の明るさを演出している。

 また、ヘッドレストカバーは同社のコーポレートカラーであるピスタチオグリーン。レザー素材の縫い目(ステッチ)の糸も同じようにピスタチオグリーンを使っている。

 シートポケットは、上部に機内誌などを収納できるラック風のポケットを備えるタイプで、足下に自身の小物を収納できるネットポケットを装備。機内誌などを上部に収納することで足下が広く感じられるような設計とする一方、ネットポケットを装備してペットボトルなどを収納できるようにしている。

 上部のラック風ポケット部にはタブレットスタンドも装備。海外航空会社の機材に多い溝にタブレットをはめるものではなく、バネを使ってタブレットを固定する仕組みになっている。最前方席はシートテーブルの一部が起き上がることで、タブレットを立てかけることができるが、バネで固定する2列目以降に比べると固定力は弱い。

 また、各座席にUSB電源を装備した。USB電源はシート手前側の足下にあり、3席につき4個の割合で装備している。出力は5V/2.1A。前述のタブレットスタンドとの位置関係を考えると、充電しながらタブレットスタンドを利用する場合は、2m程度のケーブルがあると便利そうだった。

3席1ユニットのシート。背もたれのライトグレー、ヘッドレストや座面のダークグレーでコントラストを付けている
ヘッドレストカバーはピスタチオグリーン
レザー素材の縫い目(ステッチ)もピスタチオグリーンの糸を使っている
シート背面。上部に機内誌などを収納するラック風の収納ポケットを装備
下部は機内誌などを置く必要がなくなったが、ペットボトルなどを収納できるネットポケットを装備している
最前列のバルクヘッド席の収納
上部の収納にあるレバーを持ち上げるとタブレットスタンドが開く。このレバーは、そのままタブレットを上から固定する器具にもなる
5インチスマホは固定できないが置くことは可能だった
最前列席のタブレットスタンドは、シートテーブルに装備。こちらは固定器具がなく、立てかけるイメージになる
2列目以降の席のシートテーブル。1枚板のテーブルだが、手前に引き出すことは可能
12.5インチのノートPCを置いてみた様子
足下に5V/2.1AのUSB電源を装備。3席につき4個のポートを備えている
使い勝手に大きな違いはないが、最前列と2列目以降ではシートベルトの形状が異なっている
カーペットは枯山水をイメージした円をモチーフに使ったデザインは同じだが、縫製が変わり、消臭効果の高い素材になったという
照明は従来機と同じ、ボーイングのSky Interiorを採用
上部の読書灯など
オーバーヘッドコンパートメントの仕様は従来と同じ。レバーを押しても引いてもロックを解除できる
非常口は13列目と14列目。12列目と13列目の席がリクライニングしない席となる

 ラバトリーも完全に刷新。機能面では、内部の両側面に鏡を備えた(従来は片面のみ)ほか、鍵をかける前にも青い照明が点灯しているようになった。また前部に1か所、後部に2か所という数は従来機を踏襲するが、従来はポートサイド(左舷側)の前後2か所にしかなかったおむつ台が、スターボードサイド(右舷側)後方のラバトリーにも備えるようになった。

 そのほかにも、コップやソープの置き場所が変わったり、後部2か所のラバトリーはトイレ側に開く扉から、通路側に開く扉に変わったりと、細かな点で変更が見られる。ポートサイドの後部ラバトリーは「女性優先」の「ソラ女子ルーム」となる。

後部ラバトリー。通路側に開く扉となった
ラバトリーの内部。おむつ台は3か所すべてのラバトリーに備えるようになった
ポートサイド(左舷)の後部ラバトリーは女性優先の「ソラ女子ルーム」
ラバトリーの内部レイアウトは変更になった。鏡は両側面に備える
鍵を閉める前にも青色の照明が常時点灯しており、ロックすると電球色のライトに変わる
前方1か所のラバトリー

機内食を温めるオーブンを5台搭載。収納式のテーブルも拡充

後部ギャレー

 ギャレーには、国際線でホットミール(温かい食事)を提供するためにオーブンを搭載した。前方に2台、後方に3台の計5台で、各32個、同時に計160個を温めることができる。座席数は従来機と同じ174席なので、搭乗率が90%を超えると1度では人数分を温められない可能性はあるが、配膳中にも温めることでサービスが途切れないようにする運用になるようだ。

 このほか、ギャレーの床面に水が落ちないように給湯設備の受け皿の形が変わったほか、後部ギャレーには折りたたみ収納式のテーブルを2個追加。オーブンがあった場所も元々収納棚として使っていたそうで、このテーブルは作業スペースの“純増”となる。

国際線でのホットミール(温かい機内食)提供を想定したオーブンを搭載。後部ギャレーには3台装備
給湯設備の受け皿の形状を変更。水がギャレーの床にこぼれ落ちないように工夫
折りたたんで収納可能なテーブルを装備
サイズは異なるが、同様の収納可能テーブルを両サイドに追加した
前部ギャレー。オーブンは2台で前後合わせて5台搭載する
入り口のラック
コックピット

 このJA813Xは、現地時間の10月25日に米シアトルのボーイング・フィールドを出発し、途中、アンカレジ、新千歳を経由して、10月27日12時53分に羽田空港に到着。その後、10月30日までに税関手続きや受領後整備などを終えており、11月上旬に国内線で運航を開始する予定となっている。

 また、ソラシドエアからは2018年12月30日と2019年1月2日に福岡空港~台北・桃園国際空港線のチャーター便を運航することが発表されているが、この運航機材としても利用される予定だ。