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首都高、横浜環状北西線のトンネル貫通。掘削を終えたシールドマシンを公開

東名高速 横浜青葉ICと第三京浜 港北ICの接続は2020年

2018年9月7日 現場公開

横浜環状北西線のシールドマシンが約3.9kmを掘り進め、8月9日に都筑区東方町に到達。報道向けに現場公開を行なった

 首都高(首都高速道路)と横浜市は共同で横浜環状北西線(北西線)事業を進め、東京2020オリンピック・パラリンピックまでの開通を目指しているが、2017年3月に横浜市緑区北八朔町から発進した横浜環状北西線のシールドマシンが約3.9kmを掘り進め、8月9日に都筑区東方町に到達した。

 9月7日には東方町の到達立坑ヤードで現場見学会を開催したので、レポートする。

到達立坑ヤード内で横浜環状北西線について説明があった

さらなる物流の効率化や人々の生活や観光の利便性の向上を狙う横浜環状北西線

 横浜環状北西線は東名高速道路 横浜青葉IC(インターチェンジ)と第三京浜道路 港北ICを結ぶ、延長約7.1kmの自動車専用道路。現在、東名高速から大黒ふ頭までの移動には、横浜町田ICから保土ヶ谷バイパスを経由して約40分を要しているものが、横浜青葉IC~北西線~横浜北線(K7)を経由したルートでは約20分まで大幅に短縮される見込みだ。これにより東名高速と横浜市の中心部や湾岸エリアとの移動効率がよくなり、物流への貢献も高く期待されている。

横浜環状北西線の概要。東名高速と横浜市街・横浜港とのアクセスが向上する
工事の進捗状況

 公開したシールドマシンの直径は約12.6m、全長は約12.8m、後続台車を含めると重さ約2300トンで、その高さは4階建てビル相当という巨大さ。掘削時に高圧で泥水をカッターヘッドに送り、掘削した土砂を泥水と混ぜ流体として地上施設へ送る「泥水式」と呼ばれるタイプで、総推力は1800トン。横浜環状北西線の路線延長7.1kmのうち、横浜市緑区北八朔町から都筑区東方町までの地下を約3.9km、最大深さ約65m、2車線分のトンネルを、1日約16m掘り進めてきた。

 北八朔 発進立坑ヤードから掘削を開始したシールドマシンは、-5%の角度で最深部まで掘り進んだのちに、発進立坑から約1.5km続く泥岩主体の地盤を+0.3%の角度で上り、続く約1.4kmの砂質土主体の地盤を+0.3%の角度で掘り進め、泥岩主体の地盤が約1.0km続く最終区間では+3%の角度で上り東方町 到達立坑に進んだとのこと。

 今回の工事で特殊だった点については、掘削と合わせて床板下を施工し、配管や支持金物、ケーブルやブラケット類の接地も行なったことで、これによる工期の短縮も図れたそうだ。

 また、横浜北線の「横浜北トンネル」と同様に、床板下に「道路下安全空間」を設けた2層構造となり、車道部と道路下安全空間をつなぐための「すべり台式非常口」も設置される予定とのことだった。

シールドマシンやトンネル位置などを解説する首都高速道路株式会社 神奈川建設局 北西線工事事務所 所長の塩澤健次氏
シールドマシンは直径は約12.6m。1日約16mのペースで掘り進めてきた
シールドマシンが掘り進めたルートは硬い地盤を通過するため、地上に影響を与えず安全に工事できるとのこと
横浜北線の「横浜北トンネル」と同様に、床板下に「道路下安全空間」を設けた2層構造となる

眼の前で見る大きなシールドマシンは圧巻

東方町に到達したシールドマシン。写真右が港北JCT方面、写真中央が横浜青葉JCT方面へのトンネル。一緒に写っている人物と比較していただくと、その大きさが想像できるだろう
東方町到達立坑のシールドマシンを上から眺めてみた
クレーンの向こうに見える、到達立坑の上にある建物は東方換気所
立体模型。上に見えるのが東方換気所
到達立坑から港北IC方面を見る
県道 東方町交差点から見上げた橋梁
立体模型

 この東名高速 横浜青葉ICと第三京浜 港北ICを結ぶ延長約7.1㎞の自動車専用道路の開通で「観光はもちろん、横浜港の物流機能の向上による国際競争力の強化も期待されている」と北西線工事事務所 所長の塩澤健次氏も話していたが、本当に開通が待ち遠しい路線である。