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首都高、大黒PAに「すべり台式非常口」を体験できるVR施設

3月18日から毎週日曜日

2018年3月18日 開始

首都高は大黒PAですべり台式非常口のVR体験を始める

 首都高(首都高速道路)は、横浜北トンネル すべり台式避難方法のVR(Virtual Reality:仮想現実)体験施設を大黒PA(パーキングエリア)に整備し、3月18日から運営を開始する。

 2017年3月に開通した横浜北線(首都高速神奈川7号横浜北線、K7)の「横浜北トンネル」では、首都高で初となる「すべり台式非常口」を採用しているが、今回の施設は事故や火災などの万一の事態に備えて、VR技術を活用して避難を事前体験できるようにするもの。横浜北線の開通1周年となる3月18日からの運用開始に先立ち、3月16日に報道関係者を対象とした先行公開を実施した。

横浜北トンネルすべり台式避難方法のVR体験施設

所在地:大黒PA 本館1階 情報コーナー
体験時間:日曜 9時30分~13時(6月まで)、土日祝 9時30分~13時(7月以降)
所要時間:3分程度
対象年齢:13歳以上推奨
料金:無料

横浜北トンネルは「車道部」と緊急時に避難する「道路下安全空間」の2層構造

 横浜北線は、全体の約7割が全長5.9kmの横浜北トンネル。「区分地上権」というトンネルが通過する部分だけの土地の権利を取得する制度を利用し、トンネル上部の地表面の住宅が移転せずに工事が進められた。トンネル区間の大部分は車両が走行する「車道部」と、緊急時に避難する「道路下安全空間」の2層構造であり、車道部と道路下安全空間をつなぐために、首都高として初めて「すべり台式非常口」を設置している。非常口表示灯や、3個の黄色回転灯で構成される非常口強調灯により、一目で場所が分かるように工夫されているのはもちろん、非常口にはすべり台の使用方法が表示されているので迷うことはない。

 すべり台の設置数は北線で76カ所。約250mに1カ所設置されていることになるが、避難経路の勾配なども考慮した脱出想定時間から設置場所を決めているようで、必ず250mおきではないとのこと。道路下安全空間の避難通路出口は、新横浜出入口付近の「新横浜縦坑」「新横浜換気所」、馬場出入口付近の「馬場換気所」、岸谷生麦出入口付近の「子安台換気所」の4カ所にある。

 VRを用いた体験施設を導入する趣旨について、首都高の神奈川建設局 設計課 担当課長の及川宗敏氏は、「すべり台式の避難方法はお客さまにはなじみが薄く、初めてのことなので、VR技術を用いて避難を体験していただくために設置しました」とコメント。

「横浜北トンネルは断面として見ると、上側がクルマが通る車道で、下が道路下安全空間という2層の構造になっています。その車道から道路下安全空間に降りる際、すべり台で避難できるようになっています。この構造は首都高では初めてで、現在建設を進めている(横浜環状)北西線でも北線同様にすべり台を採用することになっています。今回は、トンネル内で火災に遭遇した場合を想定して、クルマを停めて非常口に避難するところから、非常口の扉を開いて、すべり台を使って避難通路に出るところまでを、VRで体験できるようにしました」と説明した。

横浜北線のトンネルの防災設備や避難方法について記載されたパンフレットと、体験施設にディスプレイされた横浜北トンネルのカットイメージモデル。防災設備や避難方法について詳しくはPDFファイルを参照してほしい

避難時の注意点も含まれているVR映像

 横浜北線の開通前に実施した防災訓練ですべり台式非常口を体験する模様は以前紹介しているが(関連記事「首都高、3月18日開通の横浜北線でトンネル内火災事故を想定した防災訓練実施」)、大黒PAでのVR体験の手順は、

  • 火災発生を想定しクルマを停めて非常口へ
  • 非常時の脱出ボタンを押して扉を開ける
  • すべり台を利用して道路下に避難
  • 避難道路を通って地上へ脱出

の4段階になっている。椅子に座った状態でヘッドセットとVR用マスク(いわゆる忍者マスク)、ヘッドフォンを装着し、非常口の扉を開くボタンを押すためのコントローラを持ってスタートする。操作説明のあとにコントローラのトリガーを引くと体験開始で、クルマのなかに居るシーンなどでも顔を後ろに向けるとリアシートが表示されるなど、エンタテイメント系のVR映像にはおよばないが、しっかりと作られているようだった。

 また、避難時の停車位置に関する注意事項や消火設備などの説明も含まれているので、横浜北線利用者でなくともドライバーは一度は見ておいた方がよいだろう。

ヘッドセットと体験設備に関する説明を行なう首都高 神奈川建設局 設計課 担当課長の及川宗敏氏。当然ながら、体験者はノートPCのディスプレイは見ずにヘッドセットの映像を見る
VR体験のスタートや非常口の開扉ボタンを押す際には、コントローラのトリガーを引く。体験設備の上には、周囲の閲覧者向けに、体験者の視界と同じ映像が表示される
被験者が非常口の開扉ボタンをクリックして、すべり台を利用して道路下安全空間に降りるまでの動画。首を横に向ければ横の映像が描画される
体験施設で観られる映像(首都高提供)。避難時の停車方法などの注意事項も含まれてるので、ドライバーは一度見ておくべきだろう