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首都高、横浜環状北西線工事のシールドマシン発進式開催

東名高速~横浜湾岸部の利便性向上。2020年開通を目指す

2017年3月27日 開催

横浜環状北西線シールドマシン発進式

 首都高速道路、横浜市、大成・佐藤・東洋特定建設工事共同企業体、安藤ハザマ・岩田地崎・土志田・宮本土木建設共同企業体は3月27日、横浜環状北西線(北西線) 北八朔発進立坑ヤード(横浜市緑区)内において、「横浜環状北西線 シールドマシン発進式」を開催した。

 横浜環状北西線は東名高速道路 横浜青葉IC(インターチェンジ)と第三京浜道路 港北ICを結ぶ、延長約7.1kmの自動車専用道路。開通すれば、3月18日に開通済みの首都高速 横浜北線(K7)と一体となり、横浜市北西部と横浜都心部、湾岸エリアが直結される。

 現在、東名から大黒ふ頭までは横浜町田IC~保土ヶ谷バイパス経由で約40分~60分を要しているが、横浜青葉IC~北西線~K7経由では約20分と大幅に短縮される。事業期間は2021年度まで設定されているが、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の開通を目指して事業が進められている。

立坑に並んだ2台のシールドマシン
横浜市副市長 平原敏英氏

 シールドマシン発進式では、まず主催者を代表して横浜市副市長 平原敏英氏が登壇し、市長の林文子氏からのメッセージを代読した。メッセージではまず、2012年の事業開始からわずか4年ですべての事業用地を取得できたことに感謝を述べるとともに、この3月に「南本牧はま道路」「横浜北線」など、横浜市内で進めてきた道路ネットワークが次々と完成したことを報告。

 続けて、「横浜港と国土軸である東名高速が直結することで所要時間が大幅に短縮され、国の国際コンテナ戦略港湾に指定され先進的な施設整備を推進している横浜港の物流機能が大きく向上し、国際競争力が確実に強化」「災害時において市民の皆さまの生命安全を守る緊急輸送路の確保や生活道路における渋滞解消効果」など、北西線の完成に期待を寄せ、「東京2020オリンピック・パラリンピックを目標に、1日も早い開通を目指しております」と締めくくった。

首都高速道路株式会社 代表取締役社長 宮田年耕氏

 続けて首都高速道路 代表取締役社長 宮田年耕氏が登壇。「建設中の横浜環状北西線は東名高速道路につながることで、横浜北線と一体となって、さらなる物流の効率化や人々の生活や観光の利便性の向上をもたらす」と期待のコメント。

 シールドマシンについては「路線延長7.1kmのうち、約4kmのトンネル区間を掘り進みます」と説明。「横浜北トンネル」「山手トンネル」など近年建設した「大断面長距離シールドトンネル」で培った、プロジェクト管理や設計施工に関する技術力を最大限に発揮し、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目標に、横浜環状北西線の早期整備に向け全力を尽くしてまいります」と述べた。

横浜市会議長 梶村充氏

 来賓の祝辞では、まず横浜市会議長 梶村充氏が登壇。現状では横浜港湾部から東名高速道路へのアクセスは日本一混雑する保土ヶ谷バイパスのみと問題点を挙げ、先だって行なわれたイベントでは事故により開会式への影響があったと実例を紹介。「横浜市は、北西線が完成すれば港と日本の背骨ともいわれる東名高速が連続して使えるようになる」「港の経済は横浜市の経済の1/3を担っているといわれる。道路ができることによって荷物も増えるのではないか」と、港湾部の活性化のために北西線の早期開通を願っているとした。

横浜市幹線道路網建設促進協議会 副会長 小此木歌藏氏

 横浜市幹線道路網建設促進協議会 副会長 小此木歌藏氏は「(結成から30年間)私共が要望してまいりました横浜市の幹線道路網が、続々と開通しております」と前置きし、先だって開通した横浜北線では「わずか15分ぐらいで通ってしまっていいのだろうか」と、その効果を実感。北西線についても横浜港が今後観光の港として活性化していくためには観光地への定時性が大事であると述べ、「横浜港や横浜経済にとっては必須の道路」であると、その重要性を説いた。

横浜市道路局長 中島泰雄氏

 祝辞に続いて横浜市道路局長 中島泰雄氏により事業説明が実施された。まず、横浜環状北西線は「東名高速道路の横浜青葉ICと第三京浜道路の港北ICを結ぶ延長約7.1㎞の自動車専用道路」であり、「緑区北八朔町から都筑区東方町の約3.9kmを、地上への影響を最小限に抑えるシールド工法で構築する」と工事の概要を説明。「2015年4月よりシールドマシンの拠点となる発進立坑、および入口となる開削トンネル工事を順次実施し、1年半かけて2016年10月に完成した」と、これまでの施工状況についても触れた。

 今回発進するシールドマシンについては、「直径12.6m、長さが約13m、重さは約2000t」「これまで横浜市内で使用されたシールドマシンとしては最大」「工場で仮組み立てしたマシンを一度解体し特大トレーラーで発進立坑まで運搬。クレーンで立坑内に挿入、組み立て、試運転を順次行い、6カ月かけて組み立ててきた」と説明。

「並行してトンネルのセグメントを製作、現在延長で約1.5㎞分の製作が完了」「土を搬出するエリアには防音設備を設置し周辺環境への影響を低減する取り組みを実施している」と述べた、今後については「4月中旬に青葉行きのシールドマシンが発進」「1日あたり最大約20mのスピードで掘り進み、2018年夏頃に都筑区東方町の到達立坑に到着する予定」であるとした。

工事概要
シールドトンネルの概要
2016年8月時の立坑および開削トンネルの工事状況
2台のシールドマシンには愛称は付けられていない。右側が青葉行きトンネル、左側が港北行きトンネルを掘削する
青葉行きシールドマシン
港北行きシールドマシン
実際のトンネル壁面となるセグメント
泥水処理プラントの整備状況
発進ボタンが押されると2台のシールドマシンが動き出した

 主催者および来賓によるシールドマシンの「発進スイッチ押釦」が行なわれたあと、施工者挨拶として、安藤ハザマ・岩田地崎・土志田・宮本土木建設共同企業体を代表して、安藤・間 代表取締役会長の小野俊雄氏、大成・佐藤・東洋特定建設工事共同企業体を代表して大成建設 代表取締役副社長の台和彦氏が登壇。

株式会社安藤・間 代表取締役会長 小野俊雄氏

 小野氏は今回の工事について「大変重要な工事」であり、「完成の暁には横浜地区、ひいては関東全域の経済活性化に大きく寄与するものと確信している」と前置き。「プロジェクトに参画できるのは光栄であるとともに責任の重さを痛感している」としつつも、「今までの経験を十分に活かし、共同企業体の総力を結集し品質、工程、すべてを立派なものに仕上げて、工期末までにお納めする」「安全はすべてに優先するというスローガンのもと、全工期無事故無災害で行っていく」と、工事への決意を表明した。

大成建設 代表取締役副社長 台和彦氏

 台氏は「当事業は横浜市都心部より半径10㎞から15㎞を環状でつなぐ大規模な事業」であり、「完成によりこれまで以上に横浜市の活性化が期待される事業と伺っている」と述べ、その重要性から「改めて身が引き締まる」とコメント。実際の工事については「シールドマシンはトンネル内径が11.5mの大断面施工であり、掘削延長は3890mの長距離施工」という難工事でありながら、「慎重かつ迅速な施工が求められる」とし、その実現に向けて「当社の持てる技術および企業体の英知を結集していく」と語った。

 発進式終了後、メディア向けにシールドマシンが公開された。今回使用されるシールドマシンは先頃開通した横浜北線で使用されていたもの(外径12.5m)よりひと回り大きく12.6mの外径を持ち、横浜市内で使われるものとしては過去最大となる。また、横浜北線の「泥土圧式」ではなく「泥水式」と呼ばれるタイプで、これは掘削時に高圧で泥水をカッターヘッドに送り、掘削した土砂を泥水と混ぜ流体として地上施設へ送る方式となる。

 青葉行きトンネルを掘削するシールドマシンでは、トンネルの外壁となるセグメントは幅約2mで厚さが約0.45m、重量約10トンのものが使われる。これを9個、円周状に並べることで1つのリングを形成、完成するトンネルの内径は11.5mになる。1つのリング分、約2m進むのにおよそ2時間あまりを要し、1日に約16m堀り進む予定になっているという。

東名高速道路 横浜青葉IC付近の模型
第三京浜道路 港北JCT(ジャンクション)付近の模型
横浜環状北西線と横浜北線
概要と整備効果
防災設備と関連道路の整備
開削トンネル入口。奥に立坑がある
トンネルの奥ではセグメント自動搬送装置などの準備が進行中
開削トンネルから横浜青葉IC方面
立坑に並ぶ2台のシールドマシン
青葉行トンネルを掘削するシールドマシン
港北行トンネルを掘削するシールドマシン
マシン後方に見える水色のパイプが送泥管、オレンジ色のパイプが排泥管
中央付近
最下部から
2台のシールドマシンの間隔は意外と狭い
カッターヘッド部分。最大で約2分で1回転する
カッターヘッドの動作
後方から見たシールドマシン
シールドジャッキの操作盤
シールドマシンを前進させるためのジャッキ部分。設置したセグメントをこのジャッキで押すことにより前進する
トンネル部分から泥水が流れ込むのを防ぐ4段のテールシールを装備