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エアアジア、SKYTRAXの「ベスト・ローコスト・エアライン」10年連続受賞を記念してマレーシアで記者会見開催

計画中のセントレア~台北路線は「まもなく就航」と説明

2018年7月17日(現地時間)実施

エアアジアがSKYTRAXの「ベスト・ローコスト・エアライン(World's Best Low-Cost Airline)」を10年連続で受賞したことを受け、クアラルンプールで記者会見を開いた

 エアアジアは7月17日(現地時間)の夜、同社の本社があるマレーシア・クアラルンプール国際空港に隣接するホテルで、エアアジア グループCEO トニー・フェルナンデス氏が出席して記者会見を開いた。航空サービスリサーチ企業の英SKYTRAXが毎年選定している「ワールド・エアライン・アワード」の2018年度版において、10年連続で「ベスト・ローコスト・エアライン(World's Best Low-Cost Airline)」に選ばれたことを発表した。

 また、会見の質疑応答のなかでフェルナンデス氏は、IoTやスマートフォンを利用した決済などITへの投資を積極的に行なっていくと述べたほか、エアアジア・グループ傘下のエアアジア・ジャパンが名古屋-台北の新路線を計画中であることに言及し、その就航について「まもなくだ」と述べている。

SKYTRAX「ワールド・エアライン・アワード」の「World's Best Low-Cost Airline」を10年連続で受賞

 SKYTRAXはイギリスの航空サービスリサーチ企業で、世界の航空会社のサービスのリサーチやその結果などを公開している。毎年6月~7月ごろにイギリスとフランスで交互に行なわれる航空ショー(今年はイギリス・ファンボローで開催されている)に合わせて公開しているのが「ワールド・エアライン・アワード」と呼ばれる賞で、SKYTRAXが利用者などに聞き取りを行なった結果をもとに、賞の選定が行なわれており、グローバルなエアライン・ビジネスにおいて最も権威がある賞だとされている。

授賞式はロンドンで行なわれた

 そのSKYTRAXには複数の部門があるが、エアアジアが受賞したのは「ベスト・ローコスト・エアライン(World's Best Low-Cost Airline)」、つまりは世界で最高峰のLCCに贈られる賞になる。エアアジアは昨年(2017年)までにベスト・ローコスト・エアラインを9年連続で受賞しており、2018年で10年連続の受賞となった。

エアアジア グループCEO トニー・フェルナンデス氏

 エアアジアが7月17日の夜に開いた記者会見において、トニー・フェルナンデス氏は「今日は非常に重要な日だ。2001年に2機でこのビジネスを始めた日には、こんな素晴らしい日が来るとは思っていなかった。本当に本当にハッピーだ。我々の従業員がこれを成し遂げてくれたのだ。10年連続なんてワールドカップに10回勝つようなものだ」と述べ、10年連続の受賞を喜んだ。

フェルナンデス氏の左がエアアジア共同創始者のダトック・パハミン・ラジブ氏、右が同じくエアアジア共同創始者のダト・アジズ・ベイカー氏

 フェルナンデス氏は「2001年まで、ワーナーミュージックでアーチストの管理をしていた。だが、航空会社のビジネスを始めたくなってここにいる(共同創始者の)2人とエアアジアのビジネスを始めた。そしてビジネスはどんどん大きくなって、今では後ろに並んでいる、たくさんの上級幹部たちを抱えるような大きな会社になった。ここにいる幹部たちも、CA(客室乗務員)から上がってきたCEOもいれば、ファッション業界から転職してきたCEOもいれば、銀行出身者もいる。そうした多彩な人材に支えられている」と述べ、従業員への感謝の言葉を繰り返した。

 実はフェルナンデス氏は、記者会見に来る前に会場に隣接する同社本社ビルで行なわれていた従業員向けのパーティーでもスピーチをしており、そこで時間を割いたため、記者会見には遅れて登壇。その開口一番「遅れて申し訳ない、通常エアアジアは定時運航なのだが」とのジョークで記者の爆笑をとって、遅れてきたことを帳消しにしている。従業員を大切にしているフェルナンデス氏の姿勢が垣間見えた記者会見となった。

エアアジア・ジャパンが計画中の「セントレア~台北」線は「まもなく就航する」とフェルナンデスCEO

 フェルナンデス氏のスピーチのあとは、会見に出席した各社の記者からの質疑応答になった。ここでも駆け引き上手なフェルナンデス氏は「次に開設したい路線の目的地はどこか?」という女性記者からの質問に、「オーケー、ではアナタはどこになら行きたい?」と逆質問。少し考えた記者が「ハワイ」と答えたところ、「よし、ではアナタにはハワイ行きのチケットをプレゼントしよう、だが30秒以内にこの会場の誰と行くか決めてほしい」と無茶振りをして、やはり会場の笑いを誘っていた。

ジョークなども交えながら記者の質問に答えていくフェルナンデス氏

――エアアジアが10年連続でこの賞を取った理由は何だと自己評価しているか?

フェルナンデス氏:フレンドリーで、ロゴが格好よいからだ(笑)。冗談はともかく、本当にローコストで低価格な料金を提供し続けており、かつ多様な目的地へのネットワークを構築できているからだ。

 2つ目としてローコストというのはロークオリティという意味ではないことだ。ハイクオリティをそれなりの価格で提供していくのでユーザーに支持されている。それ以外にもテクノロジーへの投資なども行なっている。非常に忙しいビジネスではあるが、今後も低価格な料金は維持していく。

――次の航空機導入はどうなるか? また、今後注目している目的地は?

フェルナンデス氏:(次期航空機の質問には答えずに)逆にアナタはどこに行きたい? (記者がハワイと答えると)では、アナタにはハワイ行きのチケットをプレゼントしよう(エアアジアは長距離路線を運航するエアアジアXが関西国際空港とホノルルを結ぶ路線を運航している)。

 今後の新しい目的地としては中国、インド、インドネシアなどに大きな可能性があると考えている。

――この10年でチャレンジだったことは?

フェルナンデス氏:大変なことはたくさんあったが、緊急事態に備えることが大変だった。火山の噴火、タイの津波などは予想ができず、それに対処することが大変だった。また、政府が所有しているフラッグキャリアとの競争も大変なことだった、向こうは赤字を出しても政府が補填してくれるのだから……。

 今後もエアアジアが就航する都市を増やしていきたい。ロンドン、米ロサンゼルス、マニラ、ハワイなどにフライトを就航させ、日本でも便を増やしていきたい。我々は日本にエアアジア・ジャパンを設立しており、すでに日本のレガシーキャリアとの競争を開始している。

 我々の戦略はシンプルで、低価格で何便も飛ばすというものだ。例えばソウルには1日8回就航しており、私の夢はすべての国に乗り入れすることだ。長距離線のエアアジアX向けにはまもなく機内Wi-Fiサービスも開始する計画だ。

――飛行機を買い入れるとなると財務への影響があるのではないか……

フェルナンデス氏:先ほど同じ質問をされたが、その角度を変えた質問だ……。もちろんエアラインのビジネスをしている以上、飛行機が必要なことは間違いない。が、それに関しては正しいタイミングで、プレスリリースなどの形で発表したい。

――ITの活用戦略についてうかがいたい

フェルナンデス氏:3つのことを考えている。1つは商業上の対応だ。ユーザー個人に特化したWebサイト、さらにはWeChatを利用して予約することができるシステムなどを構築してよりユーザーフレンドリーにしていきたいし、機内Wi-Fiの導入も進めていきたい。

 2つ目としてはIoT(Internet of Things)の活用を検討している。天気の情報をもっときめ細かく得たりすれば、遅延への対応などのオペレーションをもっとよくできると考えている。

 そして3つ目がすでに我々が持っている顧客データの活用だ。AirAsia BIGという会員制度があり、これがプラットフォームとして存在している。そして我々はBP(BigPay)という支払い手段も持っている。これはAliPayのエアアジア版といってよいと思うが、それらを利用して通販や旅行関連のWebサイトなどを拡充していきたいと考えている。

――次の新しい路線はどこになるのだろうか? 私は台湾から来たので、バンコクから高雄などをお願いしたいが……

フェルナンデス氏:台湾は素晴らしい観光地だ、食事も人々も素晴らしい。我々は台湾を重視しており、台北から名古屋という便を現在計画中で、まもなく(soon)開設する予定だ。もっとも日本の“まもなく”は、どうもマレーシアの“まもなく”とは違うみたいだが、日本の当局との話がまとまれば開設されることになるだろう。いま、日本担当の責任者が当局と話を進めている。

 バンコクから高雄に関しては計画はあるがいつとはまだいえない状態で、その前にタイ・チェンマイ~台北線が開設されることになるだろう、こちらはマレーシア的な意味でのまもなくだ。