ニュース

福島の風評被害を乗り越えるためにも「目指すはパーク日本一」。星野代表が「星野リゾート アルツ磐梯」を語る

オリンピック・スノーボード女子代表の鬼塚雅選手がホームグランドにするスノーリゾート

2017年12月23日 冬期営業開始

星野リゾートと平昌オリンピック・スノーボード女子代表(スロープスタイル、ビッグエア)の鬼塚雅選手は2年間の所属契約を結んでいる(画像提供:星野リゾート)

 星野リゾートが福島県耶麻(やま)郡にあるスキー場「星野リゾート アルツ磐梯」の今冬の営業を2017年12月23日にスタート、隣接する宿泊施設「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」では12月23日から2018年3月25日までの期間、チェックアウト時刻を13時にするなど「スキーヤーファースト」の営業体制にした。現地で行なわれた発表会については、関連記事でお届けしたとおり。

 本記事では星野リゾート アルツ磐梯に関するそのほかの施策や、原発の風評被害の影響がまだ残る福島エリアのインバウンドについて、星野リゾート 代表の星野佳路氏が発表会で語ったことを中心にお伝えする。

星野リゾート 代表 星野佳路氏

鬼塚雅選手がホームグランドとする「星野リゾート アルツ磐梯」

 星野リゾートは2003年から、スキーリゾートとして「星野リゾート アルツ磐梯/猫魔スキー場」を運営しており、2005年から2009年までスノーボードの競技会「日本オープン」「アジアオープン」を開催。両スキー場はスノーボーダーに人気となり、フリースタイル系のスキーヤーも多く来場しているという。

 そのアルツ磐梯や猫魔スキー場を幼いころから練習拠点にしてきたのが、平昌オリンピックのスノーボード女子代表(スロープスタイル、ビッグエア)が決まった鬼塚雅選手。星野リゾートはその縁もあり、鬼塚雅選手と2017年7月から2年間の所属契約を結びサポートをしている。

 そして星野リゾート アルツ磐梯に、鬼塚雅選手の国内練習拠点となる国際レベルの練習パークがオープンする。

パークのイメージ(画像提供:星野リゾート)

 星野リゾートでは、パークに設置するJIBと呼ばれる人工物のアイテムを自社工場で制作しており、国際クラスの大会でのパーク造成に携わった実績を活かし、鬼塚雅選手の練習環境をサポート。パークの目玉は20m級のキッカーで、1月からこの大きさのキッカーを作るのは全国的にめずらしいという。すべてのアイテムが完成するのは1月中旬を予定しており、完成後アルツ磐梯で鬼塚選手の国内練習パークお披露目会を予定している。

 一般的にスキー場に設けられたパークを利用するのは、来場者数の20%にも満たないという。星野代表も「最初は怖いという思いがあるのかもしれない」と語っており、その心のハードルを下げるためにパーク内を難易度別に5段階に分けるようにした。レベル1を試してもらい、その起伏や仕掛けを楽しみ、「もう大丈夫かな」と思ったら次のレベルに挑戦してみる。そうやって多くの人にパークというものを楽しんでもらい、それをアルツ磐梯の特徴にして、「目指すはパーク日本一」というスローガンのもと、世界にもアピールしていきたいという。

鬼塚雅選手は小学校1年のときに星野リゾート アルツ磐梯で開催されたインディーパークジャムで初優勝を果たすなど、星野リゾートと縁が深い
「目指すはパーク日本一」

福島の風評被害を乗り越えるため、「目指すはパーク日本一」で世界にアピール

 星野代表は今の日本のインバウンドの伸びについて、日本という国のポテンシャルを認めたうえで、テロが頻発する世界で平和な観光地日本が選ばれたこと、円安なことなどが要因で「実力以上の数字になっているのでは」と語る。

 日本人が日本を旅行する市場のほうが現状は圧倒的に大きな市場だが、やはりインバウンドは大事な市場であり、アルツ磐梯や猫魔スキー場がある福島県もそれは同様となる。

伸び続けるインバウンド市場。それは星野リゾートにとっても、福島エリアにとっても重要な市場となる

 星野代表はインバウンド誘客のため、アジアやオセアニアなどに出かけて海外の旅行業者やメディアとも交流しているが、「福島」という言葉が出ると「彼らのテンションが下がるのが分かる」という。海外の人にとって「FUKUSHIMA」という言葉は地名というよりも「原発の代名詞的存在」になっていて、風評被害の大きさを実感しているそうだ。

海外の人にとって「FUKUSHIMA」という言葉は地名というよりも「原発の代名詞的存在」になっていて、風評被害の大きさを星野代表は実感したという

 この問題を認識してどう克服していくかが重要なテーマだとして、その足がかりとなるのがスノーリゾートにおける「パーク」の存在だという。北海道や長野のスキー場、パークの話になると「彼らの反応がよくなる」そうで、パークに力を入れ「目指すはパーク日本一」を掲げることが、福島の風評被害を乗り越えることになるとして、アルツ磐梯や猫魔スキー場の方向性が固まった。

 ただし、インバウンドも含めたアピールということで、ビジュアル面でも日本のほかのスキー場と「テイストを変えていく必要がある」として、デザイナーの山崎若菜氏やSadam Yoshizawa氏に依頼してメインビジュアルを刷新。日本国内にも世界に向けても、パークが自慢のスノーリゾート「星野リゾート アルツ磐梯/猫魔スキー場」を、このメインビジュアルとともに発信していく。

山崎若菜氏による「星野リゾート アルツ磐梯」のイメージイラスト
Sadam Yoshizawa氏による「星野リゾート アルツ磐梯」のイメージイラスト
Sadam Yoshizawa氏による「星野リゾート 猫魔スキー場」のイメージイラスト
「星野リゾート アルツ磐梯」概要

営業期間:2017年12月23日~2018年3月25日
リフト運行時間:平日8時30分~16時30分、土日・祝日8時~17時
ナイター営業日:2017年12月29日~2018年3月3日のうち毎週土曜、12月29日~1月3日/7日、2月11日の17時30分~21時
所在地:福島県耶麻郡磐梯町大字更科字清水平6838-68
アクセス:東北新幹線郡山駅下車、郡山駅西口からの有料シャトルバス(要予約、1000円)で90分~100分、東北自動車道郡山JCT(ジャンクション)経由、磐越自動車道磐梯河東IC(インターチェンジ)から約10km・15分~20分
ゲレンデ面積:121ヘクタール
コース数:29コース
総滑走距離:30km
最大滑走距離:3km
最大標高差:580m
最大斜度:37度
コース・レベル比率:初級35%、中級40%、上級25%
稼働リフト機数:ゴンドラ1基、ペアリフト5基、クワッド2基、スノーエスカレータ1基
リフト券料金:1日券・大人4700円、中高生3500円、シニア4000円、小学生2000円
Webサイト:星野リゾート アルツ磐梯

「星野リゾート アルツ磐梯」