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スカイマーク、2017年度入社式をヤマトジェット機内で実施。そのままサプライズフライトへ

125名が入社。定時出発率日本一を目指す

2017年4月3日 実施

スカイマークが実施した「2017年度入社式 ~空飛ぶ入社式~」

スカイマークは4月3日、羽田空港に隣接するスカイマーク格納庫において、「2017年度入社式 ~空飛ぶ入社式~」を開催した。2016年度は民事再生手続きを行なった関係でわずか5名だったが、今年度は男性28名、女性97名の計125名が入社式を迎えた。

 格納庫には就航したばかりの特別塗装機「ヤマトジェット」(ボーイング 737-800型機 登録記号:JA73NG)が駐機し、その前に役員や現役社員が整列。新入社員を迎え入れた。

 航空会社の入社式は格納庫内で実施されることがあるが、今回は役員ともどもタラップを上がり、ヤマトジェット機内で行なった。実はこの時点では新入社員らにフライト予告はされておらず、「珍しいことをする会社だな」程度の認識だったはずだ。

会場となった格納庫ではヤマトジェットと森雪さん(のパネル)が待ち構える
役員や先輩社員もお出迎え
ヤマトジェットの機内へ
スカイマーク株式会社 代表取締役会長 佐山展生氏

 機内ではまず、同社代表取締役会長 佐山展生氏からの祝辞が述べられた。佐山会長はまず新入社員達に歓迎とお礼を述べたあと、「昨年度は社員の皆さんの頑張りもあり、非常にいい業績でした」とコメントするとともに、2016年度の4月から6月までの定時出発率は11社中トップ3で90%以上、欠航率は0.55%で日本一だと説明。

 続けて「航空会社は何よりも優先すべきは安全です。次いで優先すべきは定時性。これに社員一丸となって取り組んできた結果、今日のトップクラスまできています。ただ、トップクラスというだけじゃ十分じゃないんです。スカイマークは定時出発率日本一を目指します。月によっては日本一を達成していますので、そう遠くない日に日本一になれるのでは、と思っています」と目標を掲げた。

 そして、その目標を達成するためには、まず社員一人一人がプロになることが必要だと説いた。「仕事を好きになること、仕事を面白いと思うこと、それがトッププロになる必要条件だと思っています。どんな世界も、素人の人から見ればプロの人は確かにプロ、(しかし)本当のプロはどの業界も5%未満だと思っています。

 プロは知識がありますから素人から見ればプロのように見えますが、実は知識だけで仕事をしている人が多く、本質まで分かっていないことが多い。皆さんにはぜひ、本質まで理解したプロになっていただきたい。

 そのためには単に知識をつけるのではなく、何か教えてもらったときに『なぜそうしているんだろう、なぜこうしないんだろう』と聞いてみてください。自分で納得して、今のやり方がおかしいと思ったらどんどん言ってください」と佐山会長。

 最後に「皆さんと一緒に安全、定時性、社員満足度、顧客満足度、すべてに日本一になるような会社に皆さんと一緒にしていきたいと思っています。ぜひ今日の気持ちを忘れずに頑張ってほしいと思います」と述べ、祝辞を締めくくった。

 続けて代表取締役社長 市江正彦氏からも祝辞が送られた。市江社長は125名の新入社員たちに、この飛行機の定員はこれよりさらに多い177名であり「毎日、この人数を130便以上皆さんが飛ばすことになります。1日で2万人のお客さまです。毎日これだけのお客さまを安全に、時間どおりに欠航せず、気持ちよく乗っていただく。こういう大変な仕事だと思います」と、心構えを説いた。

 佐山会長が掲げた社員満足度日本一に触れ、「お客さまにサービスをするのは社員の皆さんなんです。我々が仕事に満足できないと、お客さまも満足することはできないだろう」と、コメント。

 社員満足度を高めたうえで「お客さまが旅行に行く、飛行機に乗る。そのときに一番最初にスカイマークの便を調べてみる、スカイマークにまず乗ってみる。『スカイマークはサービスがいいし、値段もいつも安い。スカイマークを選んでいれば間違いない』、そんなところを目指している」と目標を述べた。

 そして、目標達成のために大事なのはチームワークであると説明。毎日130便、2万人のお客さまをお運びするためには、飛行機に関わる各部署の専業スタッフによるチームプレーが重要であり、そのためにはコミュニケーションが重要。

「もし何かあって乱れても立て直すことができるよう、それには皆さんのコミュニケーションが一番大事になってきます。経営陣もそれができるよう会社作りをしていきたいと思っています。皆さんそれぞれに声をかけていけるような、そんな会社を目指しています」と述べた。

スカイマーク株式会社 代表取締役社長 市江正彦氏
新入社員に祝辞を述べる
新入社員代表 東郷美帆さん

 役員紹介のあと、新入社員代表として東郷美帆氏による挨拶が行なわれた。事務系に配属となる東郷さんは「私たちにとって社会人として第一歩を踏み出す記念すべき日」と前置き。スカイマークの一員として「1便1便フライトを作り上げていく、その一翼を担う喜びでいっぱいです。新入社員一同、高い志と熱い情熱を持ち、本日より全力で取り組んでまいります。今の気持ちを忘れることなく、1日も早く戦力となれますよう日々精進していきます」と、抱負を述べた。

 ここで役員が退席し入社式は終了となるはずだったが、専務取締役 矢口秀雄氏がマイクを握り「スカイマーク一同からプレゼントがあります」との前置きのあとに「これから飛びます!」とサプライズフライトを発表。一瞬「?」となった新入社員たちだったが、事態を飲み込むと大きな歓声が上がった。

スカイマーク 専務取締役 矢口秀雄氏によりサプライズフライトが発表される
フライトルート

 フライト準備が整うまでに機外では佐山会長、市江社長とともに、新入社員の吉田佳代氏(客室乗務部配属)、田村將氏(ライン整備部配属)を交えて囲み取材が行なわれた。

 今回のサプライズフライトについては、吉田氏は「泣きそうになりました。スカイマークだからできるサプライズだと感じた」、田村氏は「うれしく思いました。こういう形で迎え入れていただいたことをとても感謝しております」と、ともにビックリした様子。

 今後に向けて、吉田氏は「お客さまに安心・安全なだけでなく、感動を与えられるフライトを提供し、さらに多くのスカイマークのファンを作っていきたい」、田村氏は「スカイマークだからできることを成し遂げていきたいと思っている。定時運航、安全を大切に努めてまいりたい」と抱負を語った。

 今回、125名の新入社員を迎えたことについて佐山会長は「若い人たちがこれだけ入っていただいたのは大変素晴らしく、復活したなと実感している」「(今回入社したのは)旅客(部門)が多いですが、整備や事務職、自社養成のパイロットも女性を含め3人(3期生)。予想より少なかったが現在40名ぐらい候補生がいるので毎年5、6名は入っていただきたい」「法人は毎年若い血が入っていく。このなかから社長が出ればいいな、とお迎えした。会社が若返っていくのは大事なことだと改めて思った」とコメント。

 市江社長は新入社員に対して「仕事を好きになってもらって、その道のトップを目指してほしい」「自分で考えるという習慣をつけていただきたい」「将来(スカイマークを)背負って行ってもらいたい」とコメント。業績については「3月は搭乗率が90%を超えている」とし「神戸に行くときに満席なので新幹線に乗ることが結構ある」と嬉しい悲鳴を挙げた。こうした好業績について「非常にありがたい」と述べるとともに、「定時性日本一を目指す、欠航率も低い、というあたりがリピーターが増えている理由ではないか」と分析。今後の展開についても触れ、2020年の羽田空港国際線枠増加への対応をはじめ、「神戸空港を含め茨城、福岡、千歳など地方空港についても今まで以上に力を入れていく」と、さらなる発展を視野に入れているとした。

機外で報道陣の取材に対応

 出発準備が整うと機体はトーイングカーによって格納庫から格納庫前の207番スポットへ。新入社員たちを歓迎する特別便、「SKY2017」便は12時04分にスポットを離れ、A滑走路から飛び立った。

 機内ではこの日の操縦を担当する機長の浅井宏祐氏、副操縦士の中尾立人氏からの祝辞が送られた。浅井機長はまず、この便に乗った125名は同期であり「つらいことも楽しいことも、ライバルになることもあるでしょうが、同期はとてもいいものです。力を合わせて頑張ってください」と応援。

「パイロットや客室乗務員がスポットライトを浴びがちですが、飛行機を運航するためには多くのセクションがあり、定時に飛ばすために頑張っている」と述べ、そうした人たちが一所懸命バックアップしていることを忘れないでほしいとコメント。「来年、皆さんの後輩が入ってきますが、スカイマークでよかったなと思ってもらえるよう頑張ってください。我々、先輩も皆さんをフォローしていきます」とエールを送った。

 中尾副操縦士は、7年前はボーイング 737型機12機で運航していたと入社した年を振り返り、現在では26機の737型機を運航していると説明。これには「さまざまな困難もありましたが、本日皆さんをお迎えできたのは新生スカイマークとして全社が一丸となって取り組みを続けていること、何よりもスカイマークを応援し、乗ってくださるお客さまのおかげであり、お客さまへの感謝の気持ちを忘れてはならない」との思いを強くしながら日々乗務しているとコメント。

 また、「飛行機はチームで飛ばすものです。今日皆さんが乗られているこのフライトも、想像するよりも多くの方々の大変な調整、努力があって実現しています。皆さんにはそれぞれに驚きや感動を味わっていただいたことと思います。今度は皆さんが社員として、お客さまにお届けする番です。会社のどこに配属され、どのような業務を行なっていても、それはお客さまの笑顔に直結する大切な業務です。ぜひ、それぞれのフィールドで大いに活躍していただきたいと思います」と、エールを送った。

出発前の機内
機外では役員らによるお見送り
先輩のCA(客室乗務員)が出発前のサービスや案内を実施
格納庫から離れるまでずっとお見送り
A滑走路から西へ
SKY2017便のチケットを手にして特別フライトを喜ぶ新入社員たち
景色を楽しむ
雪化粧した富士山上空を通過
機内で配られるキットカットがここでも登場
先輩CAとの話も弾む

 SKY2017便は琵琶湖上空で進路を東に向け羽田への帰路へ。機内ではクイズ大会が実施された。

 問題はボーイング 737-800型機や同社に関するもので「ボーイング 737型機の全長は40mである(答え:×)」「最大離陸重量は約70トンである(○)」「スカイマークは創立してから20年以上経った(○)」「社員数は2000人以上である(○)」「パイロットは300人以上いる(×)」「タイヤは6本付いている(○)」「スカイマークは7月1日から仙台に飛ぶ(○)」といった内容。最終的に3名となり、それぞれにプレゼントが贈られた。

クイズ大会を実施
最後に残った3名は菅生氏が勝ち抜け
執行役員 寺田成利氏から非売品のヤマトジェットモデルプレーンを受け取った
残ったアイテムはじゃんけん大会の勝者に

 最後に新卒で入社してから7年目となる、先輩CAの藤本美智子氏から「大変なことやつらかったこともありましたが、楽しいこともたくさんありました。人間関係が良好なところがスカイマークのよさ。多くの先輩や同期、後輩に支えられて7年間仕事をしてくることができた。皆さんも一緒に入社した同期の方と仲よくなって、先輩のよいところや、わるいところをたくさん見て、毎日の業務を頑張ってほしい」とのエールが送られた。

 羽田空港に近付くと、シートまわりの掃除とポケットの整理を新入社員たち自ら行なった。シートポケットの収納は奥から「機内誌」「エチケット袋」「安全の栞」順で、同乗する先輩CA(客室乗務員)が見本を持ってまわり内容をチェック。最後に「シートベルトをクロスして降りる」ことが説明された。

 房総半島沖をぐるりと旋回したSKY2017便はB滑走路にランディング、14時30分に207番スポットに到着。トーイングカーで格納庫に移動して、入社式とサプライズフライトが終了。新入社員たちは4月4日から仕事に就くことになる。

伊豆半島上空を通過
このフライトのCAを務めた藤本美智子からも祝辞
降機時に座席ポケットの整理やシートベルトの処理などを行なうことを説明
SKY2017便はB滑走路に着陸。フライトを終えた新入社員は「入社式でフライトできるとは思っていなかったので驚き。飛行機に携わっていく仕事なのでうれしい」「貴重な体験でうれしかった。反面、これが最後のお客さん気分。これから責任を持ってやっていきたい」「入社式で飛べるとは思えなかった。これから頑張っていきたい」「すごく楽しかった。忘れられない思い出」とコメント。ヤマトジェットの前で記念撮影を楽しんでいた