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NEXCO西日本、民営化10年に伴い高速道路整備効果を紹介した「高速道路整備によるストック効果集」を公開

新規開通区間を中心に事例を紹介

2015年10月28日 発表

 民営化10年を迎えたNEXCO西日本は10月28日、新規開通区間を中心に「高速道路整備によるストック効果集」を同社のWebサイトにて公開。高速道路の整備したことによる地域産業の活性や救急医療、災害復旧などに貢献した事例を掲載している。掲載内容は以下の通り。

 東九州自動車道では、養殖ぶりの主要生産地の佐伯市において、大阪府中央卸売市場への出荷時間が開通前に比べ約2時間短縮。鮮度の高い魚を確実に届けられるようになったこともあり、大阪の市場シェアの拡大に貢献している。

東九州自動車道の整備による地域産業の活性化

 四国地方では高速道路ネットワークの整備により、消費地へ迅速かつニーズに対応した出荷が可能となったこともあり、マダイのシェアは約4倍、ナスのシェアは約5倍といったように、農水産品の市場シェアが増加した。

四国地方の高速道路ネットワーク整備による地域産業の活性化

 第二京阪道路が開通した影響としては、沿線に大規模商業施設・工場・物流拠点が新たに立地されたことが挙げられる。沿線に位置する京都府八幡市では法人市民税収が2.2億円増加するなど地域経済の発展に貢献している。

第二京阪道路の整備による地域産業の活性化

 山陰自動車道は斐川IC(インターチェンジ)を中心に工場が新設・増設が進み、工場集積に伴い人口も増加するといった効果も生んでいる。

山陰自動車道の整備による地域産業の活性化

 四国地方で整備された高速道路沿線にはコンビニエンスストアや大規模小売店舗が数多く出店するようになり、店舗展開を行ないやすい環境になることで、地域産業の活性化につながっている。

四国地方の高速道路ネットワーク整備による地域産業の活性化

 一方、九州地方では、高速道路ネットワークやスマートICの整備により、北部九州の自動車産業の発展に貢献していると発表。

九州地方の高速道路ネットワーク整備による地域産業の活性化

 2014年に舞鶴若狭自動車道が全線開通、沿線地域の企業立地・増設が進み、新規学校卒業者の求人数が約4割増加、内定率も3ポイント上昇し、雇用増加、ひいては地域経済の活性化に貢献につながっている。

舞鶴若狭自動車道の整備による地域経済が活性化

 第二京阪道路・阪和自動車道の整備で、観光地である田辺・白浜地区へのアクセスも向上。観光入込客数も約112万人/年(約15%)増えた。移動時間短縮により観光地滞在時間も延びたことにより、年間1人当たりの観光消費額も約300億円増加したことがわかった。

第二京阪道路・阪和自動車道の整備による地域経済の活性化

 新名神高速道路の開通により、関西圏から訪れる観光客が増加。三重県北勢地域の観光地には、関西圏からの観光客が開通前より約4割増え、年間の観光消費額も約135億円増加している。

新名神高速道路の整備による地域経済の活性化

 舞鶴若狭自動車道では、全線開通したことで北陸地方や中部地方から京都府北部地域の観光地へのアクセスが向上。京都府北部地域の所要観光施設では、全線開通後6カ月で月間の入込客数が約10万人増加、あわせて観光消費額も約2.5億円増えた結果となっている。

舞鶴若狭自動車道の整備による地域経済の活性化

 山陰自動車道の開通による観光地へのアクセス向上したデータも発表。例としては出雲大社へ参拝に訪れる観光客が約2割増加したことが挙げられる。出雲大社への参拝に出雲ICを利用するようになり、周辺一般道の混雑緩和にも効果があるとしている。

山陰自動車道の整備による地域経済の活性化

 中国地方の高速道路ネットワークの延伸により高速バスの路線、便数が増加した。これにより以前は下宿や寮に入らなければ通えなかった環境も緩和され、地域の定住化に貢献する形になった。

中国地方の高速道路ネットワーク整備による広域交流の活性化

 東九州自動車道(延岡市~宮崎市)が開通したことで、高速道路を活用したドクター
カーの運用も始まった。救急医療以外の通院にも使われており、医療活動に貢献している。

東九州自動車道の整備による救急医療への貢献

 中国・四国地方では、整備した高速道路ネットワークを活用することで、献血された血液を効率よく集約・製剤し、迅速かつ安定的に各血液センターへ供給できるようになった。

中国地方の高速道路ネットワーク整備による救急医療への貢献

 新名神高速道路は、救急搬送にも利用されるようになった。搬送時間の短縮、ストップ&ゴーの回数が減ったことにより安定した搬送が可能になり、搬送車の負担軽減につながっている。2013年に台風18号が発生した際に、一般道が通行止めの状態だったが高速道路を使うことで救急搬送には支障がでなかったという事例も紹介している。

新名神高速道路の整備による救急医療への貢献

 山陰自動車道も救急医療へ貢献している。段差やカーブが少ないため搬送者の負担を軽減しやすく、山陰自動車道を利用した搬送件数は約3倍に伸びている。

山陰自動車道の整備による救急医療への貢献

 2014年8月に広島市で大規模な土砂災害が発生した際は、土砂等の運搬に高速道路を活用(無料通行措置)することにより被災地の早期復旧に貢献した。

山陽自動車道・広島自動車道の整備による災害復旧への貢献

 発生が予測されている南海トラフ地震による災害発生に備え、徳島自動車道が復旧作業や緊急輸送路としての機能に期待されている。沿線の自治体と連携し、高速道路と一体となった津波一時避難場所を整備している。

徳島自動車道の整備による地域と連携した防災力の強化

(藤縄優佑)