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航空会社や鉄道会社と連携して北海道観光をアピールする「生HOKKAIDO」キャンペーンスタート

北海道観光振興機構がJAL、ANA、AIR DO、HAC、JR東日本、JR北海道と共同展開

2017年7月20日 発表

北海道観光振興機構と航空会社4社、鉄道会社2社が共同で「生HOKKAIDO」キャンペーンを展開

 北海道観光振興機構は7月20日、道外からの観光客誘致のため「生きてる北海道を、めぐる旅。生HOKKAIDO」をキャッチコピーとし、航空会社や鉄道会社ら交通事業者や、旅行会社と連携した大規模な北海道観光キャンペーンを展開することを発表した。同日都内で、JAL(日本航空)、ANA(全日本空輸)、AIR DO、HAC(北海道エアシステム)、JR東日本(東日本旅客鉄道)、JR北海道(北海道旅客鉄道)の代表者とともに発表会を行なった。

 このキャンペーンでは、旅行会社に対する北海道旅行商品造成の支援、旅行者に対するプレゼントキャンペーンの実施やイベントなどのほか、航空会社とJRが持つ機内誌や車内誌、駅施設メディアといった媒体を利用するなど、さまざまな場面で北海道旅行の魅力を訴求していく。

「生きてる北海道を、めぐる旅。生HOKKAIDO」のロゴマーク
生HOKKAIDOキャンペーンのキービジュアル。National Geographic Travel Photographer of the Year 2016のネイチャー部門1位を獲得した井上浩輝氏が撮影した北海道の自然や生き物の写真を採用した
公益社団法人北海道観光振興機構 会長 堰八義博氏

 発表会で挨拶した北海道観光振興機構 会長 堰八義博氏は、「交通事業者、エアライン4社と鉄道会社2社で共同・共通の誘客キャンペーンを実施する。これまでにも各社のいろいろな媒体でPRさせてもらったが、6社と私どもとが共同・共通のキャンペーンを展開するのは初めての試み。まさに、北海道オリジナルの“デスティネーションキャンペーン”を実施する」と紹介。2016年から研究会を立ち上げて議論を重ねた結果、このような形での取り組みが決まったという。

 堰八氏は、2016年度の北海道観光の明るい話題を2つ紹介。1つは北海道新幹線の開業で「在来線との比較で44万人増えて115万人が新幹線を利用して北海道を訪れた。航空利用者も24万人増えているがそれを大きく引き離す数字。北海道新幹線効果が北海道観光をリードしたといっても過言ではない」と説明。

 2つ目には訪日外国人観光客の伸長を挙げ、「2015年度に208万人と初めて200万人を突破。2016年度は数字が確定していないが、推計では240万人程度だろうと考えている。アジア圏を中心に多くの外国人が訪れた」と喜びを示した。

 一方で、北海道を訪れる道外からの国内旅客が伸び悩んでいる状況であるとし、「過去のピークは平成11年度(1999年度)の615万人で、いまだにこの数字を超えられず、600万人目前で足踏みしている。2016年は北海道には珍しく台風が3つ上陸し、1つがかすめていくという過去にない自然災害に見舞われ、交通網も寸断されたので、特に道東や道北エリアでは観光にも多大な影響を与えた」と指摘。

 とはいえ、北海道庁の観光局が発表している数字では、「2015年度は(年間で)577万人。2016年度は上期だけで352万人という数字が出ているので、2016年度の通期の正確な数字が出れば、600万人を久しぶりに上回れたかも知れないと思っている」と2016年度の上期の数字を元に期待感を示した。

公益社団法人北海道観光振興機構 広報・国内プロモーショングループ担当部長 橋屋哲氏

 続いて、北海道観光振興機構 広報・国内プロモーショングループ担当部長 橋屋哲氏が登壇して、キャンペーンの内容を説明した。

 橋屋氏は「“生”というと、生ビール、イコール北海道、のような予想もあると思うが、副題にあるとおり“生きてる北海道をめぐる旅”がテーマ。広い北海道を1度で満足してもらいたいという思いとともに、何度も訪れてもらいたい。瞬間瞬間の“生きた北海道”をどうアピールするか、これを北海道観光振興機構だけでなく、交通事業者や旅行会社の皆さまと手を取って進めていく」と、キャンペーンの狙いを説明。

 交通事業者とのプロモーション計画や、イベントの出展などの取り組みを紹介。橋屋氏も交通事業者との取り組みには特に言及し、「北海道のデスティネーションキャンペーンは5年前の2012年にあったが、これだけ大きな規模のキャンペーンはそれ以来。デスティネーションキャンペーンのスキームとは異なるので、“初めての形”と表現できる」と説明した。

「生きてる北海道に、会いに来てください。」と題したメッセージ

 今回発表された具体的な取り組みの内容は下記のとおり。

交通事業者や旅行会社との連携

交通事業者が持つ媒体を活用した情報発信

 JAL、ANA、AIR DO、JR東日本と連携。各社が持つ媒体を活用したプロモーションを展開する。

JAL:機内誌「SKYWARD」やJAL Webサイトなどで北海道の魅力や情報、キャンペーンを発信。ダイナミックパッケージによる北海道旅行の需要喚起を図る。
ANA:機内誌「翼の王国」や機内動画でのタイアップ企画や、空港のラウンジなどでの告知、ANA SKY WEBでキャンペーンや北海道の情報を発信する。
AIR DO:機内誌「repora」や、Web、SNS、メールマガジンなどを活用した告知、首都圏でのイベント実施により、キャンペーンのキャッチフレーズや北海道内の情報を発信する。
JR東日本:管内駅へのポスター掲出、新幹線車内サービス誌「トランヴェール」や首都圏主要ターミナル駅での「J・ADビジョン」による告知、東京駅にある「TOKYO MARU-VISION」を活用した告知を実施。キャンペーンのキャッチフレーズや北海道内の情報を発信する。

CA(客室乗務員)によるパンフレット配布

 東京都・お台場のフジテレビ本社屋ならびにお台場・青海エリアで開催中の「お台場みんなの夢大陸2017」に出展している北海道ブースにおいて、連携する交通事業者の客室乗務員によるパンフレット配布を7月20日の16時から行なう。参加するのは、JAL、ANA、AIR DO、HAC、JR東日本、JR北海道各社の乗務員で、先着1000名に配布する。

旅行会社との連携

 北海道新幹線の利用促進や道内地方空港を活用した下期商品に対し、総額5000万円の販売支援を実施する。

プレゼントキャンペーンの実施

 9月1日~2018年3月31日の期間に北海道を訪れる旅行を予約した道外在住者を対象とするプレゼントキャンペーンを実施。募集期間は9月1日~12月31日を予定。

「生HOKKAIDO」キャンペーンで連携する航空会社4社と鉄道会社2社
交通事業者や旅行会社と連携して行なう施策の概要

イベントへの出展など

 道外で実施される各種イベントに出展し、北海道プロモーションを実施。詳細はイベント実施前に告知。下記イベント以外の活用も検討している。

お台場みんなの夢大陸2017

実施期間:7月15日~8月31日
場所:フジテレビ本社屋ならびにお台場・青海エリア(東京都)
内容:会場内に北海道ブースを設置。イベントやサンプリングなども実施予定。

東北夏祭り

実施期間:8月1日~8月8日
場所:盛岡さんさ踊り(JR盛岡駅、8月1日~2日)、青森ねぶた祭り(JR青森駅、8月2日~3日)、福島わらじまつり(おまつり広場、8月4日~5日)、仙台七夕まつり(おまつり広場、8月6日~8日)
内容:夏祭りの開催に合わせて、最寄り駅に北海道コーナーを設置。イベントやサンプリングなどを実施予定。

ツーリズムEXPOジャパン2017

実施期間:9月21日~24日
場所:東京ビッグサイト
内容:北海道ブースを設置し、北海道内のさまざまな情報発信を行なうほか、イベントやサンプリングなども実施予定。

大宮駅プロモーション

実施期間:10月14日~15日
場所:JR大宮駅内
内容:大宮オータムフェスタ2017ならびに大宮RENKETSU祭と連携し、北海道ブースを設置するほか、イベントやサンプリングなどを実施予定。

出展などを計画しているイベント

 発表会では、共同でキャンペーンに取り組む航空会社4社、鉄道会社2社の代表者と客室乗務員が各社の取り組みなどを紹介した。

 JAL 北海道地区副支配人 兼 札幌地区販売部長の安部圭太氏は、本キャンペーンで3ステップで北海道への送客拡大を図るとし、「1つ目は、月間300万名に見ていただいている機内誌『SKYWARD』で生HOKKAIDOをプロモーションする。2つ目は『OnTrip JAL』というWebサイトで北海道の旅の楽しみ方、巡り方の提案をする。3つ目は団体旅行から個人旅行にニーズが移っていることから、生HOKKAIDOをダイナミックパッケージで売り出していきたい」と取り組みの詳細を説明。旅行会社とも連携した生HOKKAIDOを巡る旅を企画したいとした。

日本航空株式会社 北海道地区副支配人 兼 札幌地区販売部長 安部圭太氏(写真左)

 ANA 北海道支社副支社長の宮坂純子氏は、生HOKKAIDOキャンペーンの取り組みを6点紹介。「約400万人に閲覧いただいている機内誌『翼の王国』に、キャンペーンと連動した取材記事を1カ月間掲載する」「当該記事を冊子にして、羽田空港や伊丹空港のラウンジに用意し、利用者に閲覧してもらう」「当該記事の写真を抜き出し、映像化して機内ビデオプログラムとして上映する」「羽田空港の出発ロビーにある大型ビジョンで同じ映像を上映する」「2018年に北海道の命名から150周年を迎える事業とコラボレーションしたWebページを開設する」「道内6300円という『旅割』運賃を、下期も同様に展開し、生HOKKAIDO展開につなげる」の6点を挙げた。

 また、ANAセールスでもダイナミックパッケージの旅作や、生HOKKAIDOと連携した旅行商品などを展開する予定だという。

全日本空輸株式会社 北海道支社副支社長 宮坂純子氏(写真左)

 AIRDO 営業本部 営業部副部長の大鎌信子氏は、「北海道の航空会社として、常に北海道の旅行を発掘して、多くのお客さまに発信することに力を入れている」とし、今回の取り組みでは道東にフォーカスすると説明。Webサイトで道東での体験を提案する特設サイトを用意し、それらを自社の媒体で継続的に発信する計画とした。

 また、首都圏では体験型イベントを計画。「そちらに参加した方には、冬の北海道へ行って、自分で感じてみたいと思っていただけるよう、魅力を最大限に案内していきたい」と話した。

株式会社AIRDO 営業本部 営業部副部長 大鎌信子氏(写真左)

 HAC 取締役の吉野紀之氏は、同社が2017年に創立から20周年を迎えたことを紹介するとともに、「就航地における隠れた名所や食、人について社員総出で取材し、北海道における生き生きとした地域の魅力を紹介する機内誌を作成している」と北海道の魅力を伝える活動を行なっていることを紹介。

 また、「7月上旬には、より快適な空の旅を楽しんでいただけるよう、すべての機材の機内シートを刷新した」と説明。この新シートについては、弊紙でも別記事「北海道エアシステム、足下が6cm広がった新シート導入機を7月9日就航。機内を事前公開」で紹介している。

株式会社北海道エアシステム 取締役 吉野紀之氏(写真左)

 JR東日本 鉄道事業本部 営業部 次長の森崎鉄郎氏は、「キャンペーンを機に、航空会社、北海道新幹線を利用して立体的に北海道観光を、まさに『生HOKKAIDO』を楽しんでいただければ」と切り出し、具体的な取り組みを紹介。

 1つは旅行商品の造成への取り組みで、「同社グループのびゅうトラベルサービスはもちろん、在京の旅行会社各社に生HOKKAIDOキャンペーンを活用した造成を働きかけていく」とした。

 また、JR東日本が持つ媒体での情報発信について、「管内駅にポスターを貼っていく。ベーシック(な手法)だが、まだまだ交通媒体は注目度が高いので、東京駅などさまざまな駅にキャンペーンのポスターを貼って告知したい。また、駅にもデジタルサイネージが登場しているので、こちらでも訴求していく」「新幹線の車内誌『トランヴェール』を通じで魅力を存分に伝えたい」と説明し、「キャンペーンのキャッチフレーズ、北海道観光の旬の魅力を発信して盛り上げていきたい」と話した。

東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 営業部 次長 森崎鉄郎氏(写真左)

 JR北海道 鉄道事業本部 営業部長の萩原国彦氏は、「JR東日本、各航空会社が送客いただいたお客さまを、北海道の観光関係者と一緒になってしっかりおもてなししたい。そのためにも安全、安定輸送をしっかり整えて、多くのお客さまをお迎えしたい。本州の旅行会社向けに、鉄道情報や、観光情報を伝えて、具体的な旅行商品造成にしっかりと協力したい」と、北海道の地上交通機関としての立場で挨拶。

 さらに、「北海道に来ていただいた際には、お客さまたちが少しでも楽しんでいいただける企画を」と話し、7月20日に発売したばかりの「JR北海道わがまちご当地入場券」を披露した。

 これは、JR北海道の駅が立地する北海道内100自治体と、青森県内の同社管轄駅である奥津軽いまべつ駅のある青森県今別町の計101自治体に呼びかけて制作した、自治体独自の入場券を各地のみどりの窓口やきっぷ売り場、観光施設などで販売するもの。入場券に付いている応募券を集めた人への「列車カード」のプレゼントや、各自治体による特典の提供など、さまざまな企画も用意している。7月20日にはまず81自治体で販売を開始した。

 萩原氏は専用コレクションファイルに入ったご当地入場券を手に「郵送もネット販売もしません。ぜひ北海道に来て楽しんでほしい」と呼びかけた。

北海道旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 営業部長 萩原国彦氏(写真左)