トピック

「プリウス」誕生から20年、トヨタの最新ハイブリッドセダン「カムリ」で宮城を巡る旅

おいしい食事と鳴子のダムにこけし。松島、瑞巌寺で東北の底力を感じる

鮮やかなエモーショナルレッドのトヨタ自動車「カムリ」で宮城に行ってきた

 トヨタ自動車のハイブリッド車は、世界販売台数が1000万台に到達。そのなかでも世界中で愛されているカムリ。北米では15年連続でトップセラーを記録しているが、今回のフルモデルチェンジでさらに洗練度を増し、グローバルカーとしての魅力を一層輝かしいものにしている。

 そして、フォーカスされるポイントはエンジンからハイブリットシステム、クルマの土台となるプラットフォームまですべてを一新したことだ。TNGA(Toyota New Global Architecture)と呼ばれる設計思想は2016年にプリウスから始まったが、エンジンまで含めたいわばフルTNGAはカムリが初めてとなる。

「エモーショナルレッド」のカムリが相棒

 そのエモーショナルレッドのカムリで東北まで足を伸ばしてみよう。市街地から高速道路、郊外からワインディングロードまでバラエティに富んだコースを走るのは、子供のころの遠足に似てちょっとワクワクする。

 早朝、都心を出発してまず目指すのは東北自動車道の那須高原SA(サービスエリア)。高速道路は折からの連休で所々で渋滞も発生するほどの混雑だが、カムリをドライブしていると気持ちに余裕ができるのか少しも苦にならない。ゆったりした乗り心地とハンドルに伝わる安心感。そして、静粛性はドライバーに余分な緊張感を与えないからだろう。

 流れ出した高速道路で全車速追従機能付きのクルーズコントロールをONにすると、適正な車間をとりながら速度を微妙にコントロールしてくれ、それだけでも疲労が少なくなるのが分かる。意外とドライバーは気付かないようで細かい動作をしているのだ。また、クルーズコントロールの設定速度の上限が上げられ、実際の実用性が高くなっていることもグローバルカー、カムリらしい。

 カムリが左右の白線を認識しているときに車線を逸脱しそうになると、警告音で注意喚起すると同時に場合によってはハンドル修正を行なってくれる。いずれも、事故の比率が高い追突や車線逸脱などの事故から乗員を救おうという人に優しいシステムだ。

カムリはドライバーの疲労軽減や衝突などの危険回避に役立つ「プリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)」「レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付)」「オートマチックハイビーム」「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」がセットになった予防安全システム「Toyota Safety Sense P」を標準装備
昼食に立ち寄ったのは東北自動車道 那須高原SA(下り)

 東北自動車道の起点からおよそ160km離れた那須高原SAに、いつの間にか到着した。広い駐車場にカムリを止め、少し早い昼食をとることにする。

 レストランでは、お勧めの「こもれび7段御膳」をいただく。おもてなし感、美味しさを堪能していると、アッと言う間に楽しい食事の時間は過ぎてしまった。

レストラン「ダイニング こもれび」でお勧めの「こもれび7段御膳」(3,218円、10月末までの期間限定メニュー)をいただく
こもれび7段御膳を前に笑顔がこぼれる
サーロインステーキ丼(2700円、写真左)や那須野ヶ原ステーキ丼(3024円、写真右)など地元特産品を活かしたお肉料理も充実
フードコートなどでは鮎の塩焼き(500円)も食することができるほか、お土産コーナーも充実
「高原ベーカリー by APETITO」で「とちおとめジャージーヨーグルト」(600円)を購入
カムリのインテリア。使いやすさを考えたスイッチの配置がされている

 次の目的地、宮城県の北部にあるリゾートパーク ホテルオニコウベを一気に目指す。いろいろな路面のある高速道路だが、ロードノイズはよく抑えられており、オーディオから流れる音楽も心地よい。そのオーディオをはじめとするスイッチなどの操作系も、自然に手の届くところにあり親切だ。パネルスイッチの使い方も巧みで、必要以上に隠していないのが好ましい。

 TNGAによるプラットフォームはエンジンやドライバーズシートを低くでき、物理的にも心理的にも安心感をもたらす。低いところに座ってもまったく圧迫感がないのは、ヘッドクリアランスの広さと明るいキャビンがバランスよく設計されているからだ。合わせてダッシュボードも低くされているので、直前視界もクリアで斜め前方視界も優れている。安全に直結する視界を真摯に向き合って開発するのはいつも感心する。

 カムリはドライバーズカーでもあり、キャビンが広いだけではなくセンターコンソールが高い位置に配置され、解放された明るさとともに包まれる安心もうまくデザインされている。

今回使用したカムリの「G」グレードは、2.5リッターエンジンとハイブリッドシステムを組み合わせて、JC08モード燃費は28.4km/Lとなる
ゆったりとした後席で車窓を眺めるのも楽しい

 ちなみに、運転を代わってもらって後席にも座ってみた。レッグルームの広さは驚くべきもので、余裕で足が組めるほどだ。こちらもセンターアームレストを出し、絶妙の角度のバックレストに身をもたせ、のびのびとした姿勢で流れゆく景色を楽しむ。静かなキャビンはフロントシートのパッセンジャーとの会話も声を大きくする必要はない。

 再びハンドルを握り、高速道路を降りて一般道をのんびりと走る。世界販売台数1000万台に到達し、電気で走る領域を拡げられたハイブリットは、気付くとびっくりするような燃費を示している。熱効率は41%という驚異的な値を出している新開発2.5リッターのハイブリットエンジンは、トルクもあって使いやすくアクセルレスポンスも滑らかで、余裕のある加速を感じさせてくれる。

ホテルへ向かう前に立ち寄った鳴子ダムは、日本人が造った最初のダム

 鬼首(おにこうべ)に着く前に、日本人の手による最初のダムとなった鳴子ダムに寄っていく。圧倒的な構築物は心に響くものがある。途中の狭いワインディングロードも優れたプラットフォーム、重量配分の適正化で軽快だ。ゆったり走っているときのLクラスセダンが、ここではミドルクラスのスポーティカーのように振る舞う。ハンドルの正確性や自然な応答性は、ドライバーに4つのタイヤの状態をよく伝えてくれ、同時に前後のロールバランスが優れているおかげで、ドライバーに抜群の安心感をもたらしてくれる。

鳴子ダム管理所の前で記念撮影
観光地によくある双眼鏡で巨大なダムを間近に見ることができる
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 鬼首はその昔の古戦場から名づけられた一読すると恐ろしげな地名だが、ホテルの支配人をはじめみなさん温かく迎えてくれ、美味しい食事、手足を伸ばせてリラックスできる温泉。心も体もほっこりする。

ひと晩お世話になるリゾートパーク ホテルオニコウベ(宮城県大崎市鳴子温泉鬼首字大清水26-17)
カムリのトランクは広々としていて奥行きが深い。旅の荷物も余裕で積める
ホテルの部屋
鳴子・鬼首は昼夜の温度差と恵まれた土壌による豊かな農作物が自慢。今回の夕食は和風懐石をチョイス。気仙沼産ふかひれの海鮮鍋、たらの芽やふきのとうの天ぷらなどの名物料理が並ぶ
仙台名物の牛タンは陶板焼きでいただく
宮城県に酒蔵がある「一ノ蔵」の地酒飲み比べセットも堪能

 翌日は1体ずつ顔が違う鳴子こけしの里を訪れ、その後、一気に松島を訪れる。1840mmの全幅にもかかわらず、狭い道でもボディの感覚をつかみやすく、鳴子の道でもそれほど苦にならない。そして、相変わらず燃料計の針は余裕の燃費を示している。

伝統的なこけし技法に若者にも親しみやすい表情を取り入れ、「どんぐりこけし」「帽子」など豊かな発想で作品の幅を広げる工人 柿澤是伸さんに作業を見学させてもらった
帽子をかぶったこけし
どんぐりこけし
1体ずつ木を削って顔を描くため、同じこけしは作ることができない
鳴子からは一気に松島へ

 久々に訪れた松島の瑞厳寺は震災前と変わらず迎えてくれ、ほっとすると同時にここでも温かい気持になった。行き交う人もきっと同じなのだろう。みんな穏やかな顔をしているのが印象的だ。

震災前と変わらない姿で迎えてくれた瑞巌寺に、力強い復興を感じた
平成の大修理が行なわれている国宝 瑞巌寺の参道を散策し、中門から本堂へ。空中孔雀の間から仏間、文王の間と、その荘厳な佇まいは震災前と何ら変わっていない
「すかし橋」を渡り、伊達政宗公が建造したという五大堂(重要文化財)を見学。趣深い構造建築は、TNGAにもつうじる部分がうかがえる
本堂障壁画群をはじめ、数々の什宝物を保存展示している青龍殿(宝物館)。10月には特別展示室の公開もあるので、訪れてみてはいかがだろうか
松島湾からは数々の島を巡ることができる観光船が運航している

 ここまで旅をともにしたカムリを改めて眺めると、大きく広いキャビンに改めて余裕を感じるとともに、トランクが広く、奥行きが深いことに気が付いた。前モデルではリアシートの後ろに置いていたハイブリッドバッテリーを、リアシートの下に配置できたことで実現したのだ。これなら嵩張る荷物も容赦なく積むことができる。

 華やかさと凛とした佇まいの中に東北の底力を感じ、カムリにもつうじる日本の美しさを見た思いがする。ロングドライブだが、元気をもらった旅でもあった。

提供:トヨタ自動車株式会社

撮影協力:
東北自動車道 那須SA下り レストラン「こもれび」
ネクセリア東日本株式会社/ロイヤル空港高速フードサービス株式会社
http://www.royal-ahf.jp/
国土交通省 東北地方整備局 鳴子ダム管理所
http://www.thr.mlit.go.jp/naruko/
リゾートパーク ホテルオニコウベ
https://www.oni3800.com/
柿澤こけし店
http://sky.geocities.jp/kakizawa_narugo/
松島 国宝 瑞巌寺
http://www.zuiganji.or.jp/
重要文化財 五大堂
http://www.zuiganji.or.jp/keidai/godaidou.html
日本三景 宮城県松島公園管理事務所
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/mts-park/

※車両走行シーンの撮影および車両外部への撮影機材取り付けについては、宮城県警察本部/鳴子警察署/塩釜警察署と事前相談ならびに諸手続の上、安全に十分配慮して実施しています

日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。

Photo:高橋 学
Movie:石岡宣慶