トピック
トヨタ「C-HR」のルーツを訪ねて「トヨタ産業技術記念館」まで日帰りドライブ。「山本屋本店」で味噌煮込うどんも堪能
20年で大きく進化したトヨタ ハイブリッドシステムを走って見学して実感
2017年3月31日 17:11
人にしてもモノにしても、興味を持ちだすとそのルーツを辿りたくなることはないだろうか? 今、目の前にある現実に至るまで、どのようにして育ち成長してきたのか。原点と経緯を知ることで現在をさらに好きになれる。だからこそ、ルーツを辿りに出かけたくなるのだ。
そんな旅に出たいと思ったのは、トヨタ自動車「C-HR」のハイブリッドモデルに乗ったときだった。現在流行りのSUVボディを持ちながらも、スポーツカーのような振舞いもこなしつつ、ハイブリッドシステムによって燃費もいいという“全部盛りグルマ”だから恐れ入る。実はコレ、とても難しいことなのだ。背が高いクルマをスポーツカーのように走らせることは至難の業。レーシングカーのようにペッタンコなクルマで走りがいいのは当たり前だが、C-HRの場合はその逆を行きながら、華麗な身のこなしを実現している。そしてそもそもハイブリッドカーである。駆動用バッテリーをはじめとするハイブリッドシステムを搭載することにより、鈍重で走りはバツ。以前ならそれが当たり前の世界だった。初代「プリウス」が世に出たころは、こんなクルマが誕生するなんて夢にも思わなかったのだから……。
そこで今回目指したのは、愛知県の名古屋市にある「トヨタ産業技術記念館」だ。そこにC-HRに至るまでのハイブリッドシステムが並べられていると聞き、東京からロングドライブをしてみようとなったわけだ。朝の8時に編集部に集合してC-HRで走り出せば、お昼過ぎには到着する計算である。見学して食事をとってトンボ帰りすれば、なんとか日帰り旅行を達成できそうだという計画だ。とはいえ、片道およそ350km。順調にいって4時間ちょっとという行程だ。ハイブリッドカーだからペースを抑えて燃費を出してみたい気もするが、今回はそこに気を遣ってはいられない。それにガマンするような旅は疲れるだけだし、というわけで、エアコンも25℃設定のまま走った。
都内の渋滞を抜けて東名高速道路に入ると、改めてC-HRは快適なクルーザーだと感じる。SUVで走れるクルマだと聞けば、足まわりは引き締められて乗り心地がわるいのではと思う人もいるだろう。だが、決してそんなことはない。路面の凹凸を見事に吸収しながらフラットライドを可能にしてくれる。ドイツ・ニュルブルクリンクのレースに出場してまで鍛え上げた強靭なボディとシャシー、空力性能にこだわったエクステリア。そして路面の凹凸に応じてハイブリッドシステムのトルクをリアルタイムに操ってクルマの姿勢を抑え込む制御もまた活きている。だからこそフラットに走り、目線もブレず疲れない。ほどよくホールドしてくれるシートもまた一役かっているのだろう。結果として名古屋往復を1人でドライブしたが、明日も元気でいられそうな余力を残していた。それはC-HRの快適性があったからこそではないだろうか。そんな走りを演じながらも、燃費は23.3km/Lを記録。フツーに使ってそれだけ走れば十分である。
さて、そんなこんなでトヨタ産業技術記念館に到着した。この地はトヨタグループ創始者である豊田佐吉氏が自動織機の研究開発をするために「豊田自働織布工場」を設立した場所だそうだ。この記念館は「研究と創造の精神」と「モノづくり」の素晴らしさに触れられるようにと、これまでのトヨタグループの歩みを紹介している。自動織機の技術で特許を得ていた自信をトヨタ自動車の創始者である豊田喜一郎氏が受け継ぎ、自動車の開発に乗り出していった流れがこと細かに展示されている。その歴史を元に制作され、最近第2弾が放映されていたTBSのTVドラマ「LEADERS II」で使われた「トヨダ トラック G1型」もそのまま置かれている。エンブレムは劇中車用に製作された「AICHI」を残しており、ドラマファンにはたまらない演出が行なわれている。
そして最後は、C-HRのご先祖様となるプリウスの展示に駆け寄ってみる。そこには1997年に登場した初代プリウスと共に、これまでのハイブリッドシステムが4世代に渡って並べられていた。一見して理解できることは、バッテリーがみるみる小型化された経緯だ。初代のバッテリーはかなり大型であり、それをリアシートの背もたれの奥に搭載していたのだから、運動性能など見込めるわけがないことが理解できる。バッテリーが小型化され、搭載位置が次々に低重心化されることによってクルマが安定するようになったというわけだ。また、駆動系やモーターもまたコンパクトにまとめられるようになり、長さも抑えられるようになったこともまた運動性能に直結している。重たいバッテリーやエンジン、駆動系をクルマの低い位置、さらには中心にできるだけ配置することができるようになったことが、今日のC-HRに繋がっているのだと改めて理解することができる。ハイブリッドシステムの進化なくして“全部盛り”のC-HRはなかったというわけである。
名古屋に来たシメには、やっぱり味噌煮込みうどん! というわけで駆け込んだのは「山本屋本店」さん。コシがある麺と甘すぎない味噌の味が絶妙なバランスで大ファンになりました。名古屋周辺にはいくつか店舗を出しているので、皆さまもぜひお試しあれ。
こうして、たった数時間の見学ではあったが、トヨタの歴史とハイブリッドの流れを目の当たりにすることで、今ある現実は確実に先駆者の研究と創造の精神の賜物であることがよく理解できた。帰り道、すべてが当たり前のような快適性と走りを堪能していると、いつしかトヨタとC-HRがもっと好きになっていた。
前回記事はこちら「新型コンパクトSUV、トヨタ「C-HR」に乗って“へぎそば 中野屋 湯沢本店”へ」
協力:トヨタ自動車株式会社