週末駅弁
松阪駅「元祖特選牛肉弁当」
2026年10月30日 12:00
和牛の産地として全国にその名を知られる三重県松阪市。今回紹介するのは松阪駅前で1895年(明治28年)に創業した老舗 新竹商店が手がける「元祖特選牛肉弁当」です。
松阪駅は1893年(明治26年)に参宮鉄道の開通に伴い誕生し、現在は紀勢本線の駅として現在に至ります。この紀勢本線の全線開通(亀山~和歌山)に合わせ1959年(昭和34年)に登場し、現在も販売されている超ロングセラー駅弁が「元祖特選牛肉弁当」です。
松阪牛を使用したこの駅弁は発売当時150円と全国で最も高価な駅弁だったとのこと。それでも、冷めても柔らかく美味しい駅弁をこの価格に抑えるための開発は、とても大変だったそうです。
発売から67年、現在の価格は2000円と少々お高めではありますが、全国最高というほどではなく、味は当時の味が今でも引き継がれているそうです。
主役の牛肉は、昭和時代よりも柔らかい料理が増えてきた令和の駅弁としてはそれほど柔らかい部類ではないと感じますが、今となってはほどよい食感も美点で、甘めのタレと相まってご飯が進みます。副菜もオーソドックスで、煮物は総じてほんのり甘めながらさっぱりとしています。
全体的に地味な印象ではありますが、レトロブームの今、昭和の味をかたくなに引き継いできた駅弁を今でも楽しめるのは旅の思い出としてはうれしいポイントです。
ちなみに2002年(平成14年)に松阪牛の選定基準が変更になり、現在この駅弁は国産黒毛和牛と表記されていますが、肉自体は発売当初から変わらず松阪市内の老舗精肉店から仕入れた厳選されたものを使用し続けているとのことです。
駅弁の個性を引き立たせる掛け紙は35種類(購入時は1つ売り切れていたので34種類)のデザインが選べ、現行の特急列車から昭和の国鉄車両までさまざまな写真のうち1つを選べます。今回はキハ82系の特急南紀を選びましたが、味とは直接関係ない掛け紙選びは思いのほか楽しいものでした。
余談ですが、新竹商店は1970年代に当時の国鉄から廃車にした蒸気機関車の購入を打診され「(駅弁販売などを通じて)機関車にご飯をたべさせてもらった恩返し」として1台購入し国鉄の経営再建に一役買ったとか。このとき購入したのが後に大井川鐵道で活躍したC11 312であり、その個体は現在 大井川鐵道 門出駅に隣接した体験型複合施設「KADODE OOIGAWA」に静態保存されています。
駅弁はその名のとおり「駅」と密接に関係したお弁当ですがこれほど鉄道と関係が深く、今なおその味を楽しめる「元祖特選牛肉弁当」は貴重な存在と言えそうです。
「元祖特選牛肉弁当」
価格: 2000円
販売駅: 松阪駅
購入場所: 松阪駅あら竹売店
購入日: 2026年10月3日


























