週末駅弁

東京駅「東京肉三昧弁当(東京ステーションホテル総料理長監修)」

東京肉三昧弁当(東京ステーションホテル総料理長監修)

 地域の特色を活かした駅弁を通して、各地域の魅力を発信するとともに地域活性化を推進することを目的として、JR東日本が毎年開催している「駅弁味の陣」。

 10月1日~11月30日で開催中の「駅弁味の陣 2023」では、JR東日本の枠を超えた地域からも参加があるなど大きな規模で開催していますが、今回紹介する「東京肉三昧弁当(東京ステーションホテル総料理長監修)」は、東京エリアの新作としてエントリーしている駅弁です。

 その名前からも分かるようにこの駅弁は、東京駅丸の内駅舎内に位置する東京ステーションホテルの総料理長、石原雅弘シェフが監修した、贅沢な駅弁となっています。筆者は肉好きということもありますが、一流のシェフが監修しているということもあって、フタを開ける前から期待感が大きく高まります。

 この駅弁の最大の魅力は、黒毛和牛、豚、鶏と3種類の肉を一度に楽しめるという点です。弁当箱のフタを取ると、牛、豚、鶏のお肉がぎっしりと詰め込まれていて、見た目にも食欲をかき立てられます。

フタを取ると、びっしり敷き詰められた牛、豚、鶏のお肉が目に飛び込んできて、否が応でも食欲が沸き起こる

 それら3種類のお肉ですが、それぞれお肉の美味しさを最大限楽しめるように、異なる味付けとなっています。

 黒毛和牛は、東京の醤油醸造所が作った丸大豆しょうゆを使って甘辛焼きに仕上げられています。そう聞くとすき焼き味を想像するかもしれません。確かに見た目もそのような雰囲気ですが、実際は甘さ控えめのすっきりとした味わいとなっています。そのおかげで、黒毛和牛の旨味もしっかりと感じられて、想像以上に美味しく感じられます。ここまで味わい深い牛肉を駅弁で楽しめるのは、ちょっとびっくりします。

東京の醤油醸造所が作った丸大豆しょうゆを使った黒毛和牛の甘辛焼き
甘さ控えめですっきりとした味わいが、黒毛和牛の旨味を引き立てている

 次に豚肉。こちらは豚ロース肉の生姜焼きに仕上げられています。生姜の風味が強めの、安心の生姜焼きの味わいが楽しめます。肉質は、ちょっと歯応えがありますが、クセもなく、とても上質な旨味が口いっぱいに広がります。またそれがちょっと強めの生姜の風味ともマッチして、まさに洋食レストランの味わいが楽しめます。

豚ロース肉は安心の生姜焼き。洋食レストランの味わいが楽しめる
やや歯応えのある肉質だが、上質な豚肉の旨味と強めの生姜風味がよく合う

 そして鶏肉。こちらは江戸甘味噌を使った味噌焼きとなっています。甘味噌ということもあって比較的甘みを強く感じますが、それがまた鶏肉との相性抜群です。駅弁ですので冷めてはいますが、肉自体のジューシーさが失われていないこともあって、こちらもかなりの美味しさです。もちろん鶏肉独特のくさみもまったく感じません。

鶏肉は江戸甘味噌を使った味噌焼き仕立て
こちらは比較的甘みが強く、ジューシーな鶏肉と味噌の味わいがベストマッチ

 お肉は、いずれもやや濃い目の味付けとなっていますので、お肉の下に敷き詰められたご飯がどんどん進みます。また、箸休めのにんじん、ごぼう、いんげん、椎茸の煮物やれんこんのきんぴらなどは上品な味わいに仕上げられていますので、うまく口のなかをリセットしてくれます。この辺りも、一流のシェフが監修しただけのことはあると感心しました。

にんじんやごぼう、いんげん、椎茸の煮物、れんこんのきんぴらは上品な味わいで、濃い目のお肉の箸休めにぴったり

 一点気になったのは、駅弁の宿命でもある、冷めているという点です。お肉は、温かい方が間違いなく美味しいので、これが温かかったら、と思うとちょっと残念な気もします。最大限美味しさを楽しみたいなら、家に持ち帰って電子レンジで温めて食べた方がいいかもしれません。

 価格は1850円と、駅弁としては高い部類です。それでも、その金額に十分見合う美味しさが楽しめるのは間違いありません。特に肉好にはぜひとも手に取ってもらいたい駅弁と感じました。

「東京肉三昧弁当(東京ステーションホテル総料理長監修)」

価格: 1850円
販売駅: JR東京駅
購入場所: 東京駅構内 駅弁屋 踊
購入日: 2023年10月2日