荒木麻美のパリ生活

パリで最大の公園、ラ・ヴィレットに行こう!

科学・音楽関連施設やショッピング・レジャーセンターでは、親子で楽しめるプログラムが充実

パリで一番大きな公園「La Villette(ラ・ヴィレット)」。パリ19区にあります

 パリ19区にあるLa Villette(ラ・ヴィレット)はパリで一番大きな公園です。かつては食肉処理場でした。公園中央にはウルク運河が流れており、年間をとおして市民の憩いの場となっています。

 35ヘクタール(35万m 2 )ある敷地内には、科学産業博物館、ショッピング・レジャーセンター、大小の音楽施設や文化施設なども点在しています。子供向けのプログラムも充実しているので、家族で1日を楽しめることでしょう。

La Villette

所在地: 211 Avenue Jean Jaurès, 75019 Paris
Webサイト: La Villette(英語)

La Villette(ラ・ヴィレット)
広い公園のあちらこちらで、ジョギング、サイクリング、サッカー、ピクニックなど、人々は思い思いに過ごしています。カフェやレストランもたくさんあります

 まずはCité des Sciences et de l'Industrie(シテ科学産業博物館)から行きましょう。

シテ科学産業博物館。目の前には古い品種だというニワトリが飼われています
Cité des Sciences et de l'Industrie

Webサイト: Cité des Sciences et de l'Industrie(英語)

 私が訪れた日はイースター休暇中だったのですが、シテ科学産業博物館は休暇中でなくとも、親子や学校の行事などで子供たちが年間をとおして多く訪れる施設です。大人も楽しめる場所ではあるのですが、子供向けの展示や施設が多いからですね。

シテ科学産業博物館
入り口ではペッパー君がお出迎え

 施設は3階建てです。1階にはCité des enfants(子供たちの都市)という、子供たちが体験をとおして科学を学ぶコーナーがあります。2歳から7歳までのコースと、5歳から12歳までのコースに分かれています。どちらも1時間半の交代制なので、ゆっくりと見て回れそうですね。

 2階と3階が展示とプラネタリウムとなっています。私が行った日は、ロボット、腸内細菌、鉄道、人体とスポーツ、といった展示内容となっていました。プラネタリウムは自然や宇宙に関する内容が多いです。

 ブティックでは腸内細菌の展示に合わせ、体によい食べ物について解説をした子供向けの本や、宇宙関連グッズ、貝の化石のレプリカ、鉱石、元素記号の書かれたトートバックなど、シテ科学産業博物館らしい品ぞろえ。

地下には小さいですが水族館も。ここは無料です

 シテ科学産業博物館の屋外施設としては、Géode(ジェオード)という、オムニマックスというシステムを使ったドームシアターと、Argonaute(アルゴノート)という潜水艦があります。

 ジェオードは2018年11月から閉館中ですが、2020年に再開予定です。アルゴノートは1958年に進水し、1982年まで実際に使われていた潜水艦。中を見学することもできます。

ジェオード
アルゴノート

 シテ科学産業博物館のすぐ横がVill'Up(ヴィラップ)。2016年にオープンしたショッピング・レジャーセンターです。年中無休で最上階には映画館も入っています。

Vill'Up(ヴィラップ)
Vill'Up

Webサイト: Vill'Up(仏語)

 中に入っているブティックでよいなと思ったのはPoooW!(ポーウ)という、フランスのクリエイターたちによる作品だけを売っているお店。ここ以外にもいくつかの店舗がありますが、ほかではなかなか買えないものもありそうなので、覗いてみてはいかがでしょうか?

Pooow!

 レジャー施設としては室内スカイダイビングのi FRY PARIS(アイ・フライ・パリ)や、レーザーゲームといったものが入っています。

室内スカイダイビングは大盛況

 Vill'Upを出て、次は音楽施設を訪ねます。サーカス小屋のようなCabaret Sauvage(キャバレー・ソバージュ)、Zénith Paris(ゼニット・パリ)、Trabendo(トラベンド)の前を通ってPhilharmonie de Paris(フィルハーモニー・ド・パリ)に到着です。

キャバレー・ソバージュ
ゼニット・パリ
トラベンド

 ちなみに私はキャバレー・ソバージュ以外に何度か入ったことがありますが、ゼニット・パリではスティングを見に行ったことが一番の思い出となっています。トラベンドでは最近なにかと話題の石野卓球さんが昨秋、DJをしに来ていたので見に行きました。トラベンドは中庭があるため適宜外で休憩ができてよかったです。

Cabaret Sauvage

Webサイト: Cabaret Sauvage
収容人数: 約1200人

Zénith Paris

Webサイト: Zénith Paris
収容人数: 約6800人

Trabendo

Webサイト: Trabendo
収容人数: 約700人

 フィルハーモニー・ド・パリに戻ります。ここは2015年1月に誕生した総合音楽施設です。フランス人建築家、ジャン・ヌーヴェル氏が設計し、鳥の形のアルミパネルを組み合わせた、大変美しい建物です。建物は屋上まで上がれますので、上からラ・ヴィレット全体を眺めてみるのも、敷地の大きさがよく分かって興味深いです。

フィルハーモニー・ド・パリ
屋上と屋上からの眺め
Philharmonie de Paris/Cité de la musique

Webサイト: Philharmonie de Paris/Cité de la musique(英語)

 フィルハーモニー・ド・パリのメインホールは2400人から最大3600人収容可能で、ステージを360度から囲むようになっています。パリ管弦楽団の本拠地ですが、そのほかにも世界のトップオーケストラやアーティストたちによるプログラムが充実しており、よいプログラムはすぐに完売になってしまうようです。

 音楽に関連する展示会もバリエーションに富んでおり、私が最近行ったのは「Exposition Electro」。私はテクノが好きなのですが、エレクトロミュージックの歴史や機材の変遷、クラフトワークの3Dライブ映像、ダフト・パンクの「Technologic~先端論理」のミュージックビデオに出ていたロボットが映像そのままに動いているのを見られるなどできます。8月11日まで開催されているので、エレクトロミュージック好きにはお勧めのイベントです。

 フィルハーモニー・ド・パリは市民に向けた一流の音楽教育を提供する場でもあるので、音楽関係の講演会や子供向けの音楽アトリエも多く開催されています。メディアテークもあります。

 さて、フィルハーモニー・ド・パリから歩いて数分のところにあるのがCité de la musique(シテ・ドゥ・ラ・ミュージック、別名:フィルハーモニー2)。ここでも音楽に関する展示やコンサート、ダンスなどが行なわれています。私はここでは坂本龍一氏やテクノミュージシャン・DJのジェフ・ミルズ氏などを聞きに行ったことが印象に残っています。

Cité de la musique(シテ・ドゥ・ラ・ミュージック、別名:フィルハーモニー2)

 ラ・ヴィレットの紹介もそろそろ終わりに近づいてきました。シテ・ドゥ・ラ・ミュージックの横にあるのがGrande Halle de la Villette(ラ・ヴィレット大ホール)です。ラ・ヴィレットが元市場だったことが分かる唯一の建物がここです。中は3か所に分かれており、展示会やイベント、コンサートなどが行なわれています。今のメイン展示会は「ツタンカーメン展」。9月15日までの開催です。

Grande Halle de la Villette(ラ・ヴィレット大ホール)
ラ・ヴィレット大ホール正面横にはLittle Villette(リトル・ヴィレット)という、子供向けの人形劇や映画を上映する施設が。無料のものも多いです
ラ・ヴィレット内には子供向け遊戯設備もたくさんあります
Grande Halle de la Villette

Webサイト: Grande Halle de la Villette(英語)

 ラ・ヴィレットでは夏に向けて、無料の野外上映会「Festival de Cinéma en Plein Air」やジャズのフェスティバル「Jazz à la Villette」といった大きなイベントも予定されています。パリ中心部からは少し離れていますが、ご興味と機会があればラ・ヴィレットにもぜひどうぞ。

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/