荒木麻美のパリ生活
パリの「ゼロ・ウェイスト」への取り組み(後編)。修理・修繕会、ブティック、レストラン……関連スポットを訪ねる
2019年4月30日 09:00
前回に続き、今月もパリのゼロ・ウェイストに関するお話です。
La Maison du Zéro Déchet(ラ・メゾン・デュ・ゼロ・デシェ、ゼロ・ウェイストの家)やZero Waste France(ゼロ・ウェイスト・フランス)の講演会やアトリエに参加後、紹介されたゼロ・ウェイストに関するイベントやお店、レストランに行ってきました!
Repair Café Paris
Webサイト: Repair Café Paris(仏語)
まず訪れたのは、2013年に設立された「Repair Café Paris(リペール・カフェ・パリ、パリの修理カフェ)」というアソシエーションによる、壊れたものを持って行くと無料で直してくれるイベントです。
私が持ち込んだのは15年前に買ったトースター。焼けたパンが上がってこなくなってしまって、うっかりすると焦げていました。もう買い替えようかなと思っていたのですが、見事に復活! オーディオ機器やアイロンなど、たくさんの人が壊れたものを持ちこんでおり、少々待たなくてはなりませんでしたが、捨てなくて済んだので大満足でした。
この日は小型の電化製品を持ち込む人が多かったですが、おもちゃや卓上ランプといったものも、1人につき1点まで持ち込めます。すべてを直せるわけではないのですが、1つ直るたびに全員が「わー!」と言いながら拍手が起こるという、とても和やかな雰囲気にも癒されました。義務ではありませんでしたが、アソシエーション支援のために少しだけ募金をして帰路に着きました。
この修理会は不定期開催で会場も変わるので、アソシエーションのサイトで確認してくださいね!
day by day
Webサイト: day by day(仏語)
BIOのお店(関連記事「パリのBIOチェーン、新規店舗が続々開店」)などでも、一部の食品や洗剤などを量り売りしているのですが、お店の全商品が量り売りというお店が「day by day」です。2013年に1号店が開店し、今ではフランス各地にお店があるのですが、私が今回行ったのはパリ17区にあるお店。
自分で容器を持ち込んでもよいですし、店内には外から持ち込まれたらしい空きビンがたくさんあるので、好きなビンをもらっても構いません。商品を入れる前にビンの重さを事前に量り、油性ペンでビンに重さを書き込みます。商品を詰めてレジに持って行くと、事前に量っておいた重さを引いて計算してくれます。洗剤や液体石鹸類だけはお店指定の容器に入れないといけませんが、1回買えばずっと使えます。
ただ、商品の価格はBIOのお店とあまり変わらないので、お店が近所にない限りゼロ・ウェイストに対する熱意がないと続かないと思います。私も近所にはお店がないので、メトロに乗ってまで通うかといわれたら今のところはないですね。
Lamazuna
所在地: 31 Rue Louis Blanc, 75010 Paris
Webサイト: Lamazuna(仏語)
La Maison du Zéro Déchetでもたくさん売っていたLamazuna(ラマズナ)の商品はBIOのお店などでもよく見かけるのですが、ブティックはパリ10区にあります。固形のシャンプー・歯磨き粉・デオドラントといったコスメを中心に、洗って繰り返し使えるコットン、歯ブラシ、使い捨て綿棒の代わりとして人気の竹の耳かき、月経カップなども扱っています。どれもデザインもすてきなのでお土産にもお勧めですよ。
ブティック2階では定期的にアトリエが開かれており、すべて無料です。自然派のお掃除グッズ製作アトリエや手づくりコスメアトリエなどのほか、私の本職である自然療法のアトリエを開催したこともあるとか。
アトリエについてはLamazunaのFacebookページに随時お知らせが出ています。
私は今回、破れた衣類を修繕するというアトリエに参加しました。フランスの刺繍や日本の刺し子のテクニックなどを組み合わせて直していきます。
私は修繕したい服がなかったので、布切れに名前を刺繍してみましたが、たったこれだけで1時間半! 以前参加したお直し教室(関連記事「パリにオープンしたばかりの『繊維屋さん』でお直し教室に参加」)もそうでしたが、衣類を直して着るというのは、なかなかの手間と時間がかかりますね。
Simone Lemon
所在地: 30 Rue le Peletier, 75009 Paris
Webサイト: Simone Lemon(仏語)
最後はパリ9区にあるレストランSimone Lemon(シモーヌ・レモン)です。
パリを中心とするイル=ド=フランス地方では、形がわるいといった理由で廃棄される野菜や果物が、全収穫物のなんと約40%もあるとか。2015年に若い女性2人が始めたこのレストランは、こういった野菜や果物を使った料理を提供しているのですが、すべての料理が量り売りです。スープが4ユーロ(約520円、1ユーロ=約130円換算)という以外は、料理の単価は一律となり、野菜料理、肉・魚料理、デザートが100グラムで2.8ユーロ(約364円)となります。
客としては本当に食べたいものを食べたいだけ購入するので、破棄されるはずの食材を減らすだけではなく、食べ残しを減らしているのですね。
私が今回取ったのは「チコリ、ホウレンソウ、オレンジのサラダ」「ココナツミルク風味の鶏肉」「スモークサーモン入り、リコッタチーズとアボカドクリームのオレンジレンズ豆」「ニンジン入りキアヌサラダ」「ブロッコリーとカリフラワー焼き」です。これで7ユーロ(約910円)なので、外食の高いパリではうれしい価格。しかもとっても美味しい! パンはほしければ無料でもらえます。
なお、営業は平日のランチ(11時45分から14時45分まで)と週末のブランチ(11時半から17時半まで、27ユーロ=約3510円で食べ放題)だけなので注意してくださいね。
2回に渡ってお届けしたパリのゼロ・ウェイストの動きですが、探せばまだいろいろありますので、これからもフォローしていきたいと思っています。パリ市はゴミ削減に積極的なのですが、町中に散乱するゴミを見ても、パリのゼロ・ウェイストはこれからです。私もできるとこから「楽しんで」取り組んで行きたいと思っています。ミミズコンポストもいつか我が家に来るかな!?