旅レポ

リグレー・フィールドに響く「Go, Cubs, Go」。PCAが攻守に躍動するシカゴ・カブス本拠地に行ってきた

シカゴ・カブスの本拠地、リグレー・フィールドに行ってみた

 メジャーリーグに興味のない人からすると、「PCA(ピーシーエー)」と聞いても「パソコン用語か医療用語か」と思われてしまいそうだが、PCAとは今シーズン大谷翔平を抑えてナ・リーグのMVP候補筆頭になっているシカゴ・カブスのピート・クロウ=アームストロング(Pete Crow-Armstrong)のことだ。2002年生まれの24歳。

 記者がPCAを知ったのは、東京ドームで行なわれた2025年シーズンのMLB開幕戦「ドジャース対カブス」。打席が回るたびに場内で「ピーシーエイ! ピーシーエイ!」のコールが湧き上がり、そこで初めて“名前が長すぎて省略形で呼ばれている”のだということに気が付いた。

 当日はご多分に漏れず大谷選手目当てだったのだが、その呼び名が強烈に印象に残っていて、以降のシーズンでは気になる選手の一人に。2026年は第6回WBCのアメリカ代表に選出されているので、そこで知ったという人もいるかもしれない。ちなみにクロウは母親の姓、アームストロングは父親の姓だ。

そんなわけで鈴木誠也選手でもなく、今永昇太投手でもなく、現地ではPCAのTシャツを購入して着ていた

ホームゲームは地元ファンでごった返す街中のスタジアム

 村上宗隆擁するシカゴ・ホワイトソックス本拠地「レート・フィールド」が市街中心部の南にあって、広大な駐車場を備える郊外型スタジアムなのに対し、カブスの「リグレー・フィールド」(1060 W Addison St, Chicago, IL)は住宅地に突然現われる4万1649人収容の都市型スタジアム。徒歩1分未満の距離にシカゴ交通局(CTA)レッドラインの駅(Addison)がある。

 駐車場もあるが球場の真横というわけではなく、周辺に散らばっている。日本の感覚からするとおもしろい取り組みに思えるのは、シカゴ公立学校の駐車場をシーズン中のナイターや週末のデーゲーム、夏休み期間中の平日デーゲームなどに開放していること。

 通常のゲートオープンは試合開始90分前だが、日本から観戦に行くのなら、少し早めに入場してリグレーの歴史を解説してもらえるスタジアムツアーへの参加をお勧めしたい。所要時間は75~90分ほど。(試合のある日と試合のない日で内容が異なる)。

リグレー・フィールド
スタジアムを背にして交差点を撮影した様子。本当に普通の街中にある
スタジアム最寄りの「Addison駅」
事前のスタジアムツアーでは場内さまざまな席に着席しつつリグレー・フィールドの歴史を教えてもらうことができる
リグレーといえば、この外野のツタ。ここのボールが入ってしまうとグラウンドルールダブル(日本でいうエンタイトルツーベース)で2塁打扱いになる

 球場内にも複数の施設があるが、真横にある公式グッズストア「Chicago Cubs Team Store」にはぜひ立ち寄っておきたい。2階建てのストア内部はアパレルを中心に公式球やトレーディングカード(Topps)、ボブルヘッド人形など充実の品揃えで、PCAはもちろん鈴木・今永両選手のアイテムも手に入る。付近の歩道にそこまで余裕があるわけではなく、ゲートオープン以降は周辺がかなり混雑して歩きにくくなるので、試合開始2時間以上前には着いていると落ち着いて買い物できるはずだ。

 なお、MLBの球場は手荷物制限が厳しいので、試合前に大量に買い込むと身動きが取れなくなってしまう可能性がある。観戦前はジャージやキャップ、Tシャツなど身に着けられる物にとどめて、大型のグッズは別日に購入するのがよいだろう。

 ところで、公式ストアはアパレル中心のラインアップだが、近隣の店舗をいくつか見て回ったところ、カーペットやBBQ用品(グリルやミトン)、ルームミラーなど生活雑貨がとにかく充実していて、「暮らしのすべてをカブスにしたい」という地元ファンのニーズの強さを感じられた。

よく見ると拡張した外野席ではなく、隣接するビルの屋上にシートが設置してある(Wrigley Rooftops)。これもリグレーの特徴の一つ

110年超の歴史あるスタジアムは見どころだらけ

 1914年に開業したリグレー・フィールドは、外野のツタや手動のスコアボードなど伝統ある外観も魅力の一つ。

 スタジアム開業当時の外野は壁ですらなく、ロープを張って「越えたらホームラン、下を転がると二塁打」という大変緩い基準で運用していたそうで、カブスの選手が打席に立つとこっそりロープを下げるというズルもあったとか。それから10年ほどして木製の壁になり、1937年には現在のレンガの壁を設置。壁に絡まるツタは「ボストン・アイビー(Boston Ivy)」と「ジャパニーズ・ビタースイート(Japanese Bittersweet)」の2種類が使われており、現在も手作業で剪定を行なっている。

 同じく1937年の外野席増設に伴い生まれたスコアボードは、試合中は3階建ての内部に5人のスタッフが常駐し、水道も冷暖房もないなか、真夏には45℃以上(!)にもなる過酷な環境下で作業にあたっているという。

 その上にはナ・リーグ15チームのペナントがはためき、試合が終わるとカブスが勝ったのか負けたのかが一目で分かるように「W」「L」のフラッグが翌朝まで掲げられる。

今でも使われている手動のスコアボード
ナ・リーグ15チームのペナントがはためく
2016年にワールドシリーズを制覇した際に球場外壁のレンガにファンがチョークで書き込むのが社会現象になったそうで、これはそれを再現したもの。現在の「チョークの壁」は球場の内側にある
カブスの殿堂入り選手を称える展示も。背番号21番、サミー・ソーサはマーク・マグワイアとの本塁打争いが記憶に残っている人もいるのでは

 隣接ビルの屋上に設置されたルーフトップ席(Wrigley Rooftops)は、かつては住民がプライベートで勝手に観戦していたものがいつしか人気を集め、やがてビルの補強や観客席の設置などを行なって現在に至るという。

 ちなみにこれらのビルの所有・運営はカブスのオーナー(リケッツ家)が行なっており、2500席もあるルーフトップはリグレーの公式座席数にはカウントされていないため、チケットの売り上げはMLB機構との分配に含まれていないとのこと。そのため、ルーフトップ席は専用のWebサイトを通じて購入する必要がある。

 そして、リグレー・フィールドに行くなら絶対に覚えておきたいのが、カブスが勝ったときにスタジアムみんなで歌うアンセム「Go, Cubs, Go」。2024年の入団会見で今永投手が放った「Hey! Chicago, what do you say? The Cubs are gonna win today.」はサビの一節で、地元でも大きく取り上げられ、瞬く間にファンに愛される存在になったが、この歌がそれだけ大切に受け継がれていることの表われでもあるのだろう。

この日の先発は今永昇太投手。シカゴで「SHO TIME」といえば今永投手のものだ
当日はバックネットの200レベル(2階席)から観戦
MLBのスタジアム飯といえばホットドッグ。ケチャップを使わないのがシカゴ流で、写真はマスタードすら塗っていない素の状態だが、かなり濃いめの味付け
シカゴ発の「ギャレット・ポップコーン」。ギャレットミックスはチーズ味とキャラメル味を混ぜたもの
当然ながら手動スコアボードだけでなく、電光掲示板もある
場内にもチームストアがあるので、アパレルはここで揃えてもいいかも
CUBS WIN!で最高潮に盛り上がる場内。この日、PCAは自身初のサイクルヒットを記録している
リグレー・フィールドに行くならサビだけでも覚えていきたい「Go, Cubs, Go」
特別に見せていただいたグラウンドレベルで、試合前に練習する鈴木誠也選手。そこはPCAじゃないのかよ、と思うかもしれませんが、私も帰国してからそう思いました
編集部:松本俊哉