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鉄道運休で所要時間が5倍以上に。鹿児島本線・肥薩おれんじ代行バス、現地を見てきた
2026年9月7日 13:04
7月28日に発生した「令和8年熊本地震」は、震源地である熊本県の鉄道網に、軒並み強烈な被害をおよぼした。9月4日現在でも、九州新幹線・鹿児島本線・肥薩おれんじ鉄道が被害を受け、一部区間で運休が続いている。
在来線の代行バスは、通常時の鉄道と比べると、どうしても不便さが際立つ。なかには、朝と晩しか列車が来なかったり、鉄道に比べて5倍以上の所要時間がかかることも……。そんな代行バスに乗車しつつ、各地域・各区間ごとの問題や、課題について探ってみよう。
なお、記事内の乗車は8月27日・28日。地元の方々で混み合っていた一部区間は乗車を見送っている。
鉄道は針、代行バスはホッチキス?(鹿児島本線代行バス 宇土駅~八代駅)
JRの不通区間の代行バスで、もっとも悩ましいのが、「所要時間の差」だ。
宇土~八代だと、通常の鉄道移動は22分。ところが、代行バスだと110分かかる。区間別でみても、宇土~松橋は20分(鉄道4分)、松橋~小川は30分(鉄道5分)もかかってしまうのだ。代行バスの乗り場に並ぶ人々の表情が疲れ果てているのは、もはや言うまでもない。
圧倒的に時間がかかる原因は「代行バスのルート選定」にあるだろう。鉄道だと専用の軌道でまっすぐ進むが、代行バスは駅前通りから県道14号に出て、次の駅前通りが来たら曲がって、また駅前に出て、の繰り返し。ルートの形状でいえば、鉄道が“縫い針”なら、代行バスは“ホッチキスの針”のような形状、と言えばいいだろうか。
さらに地震で道路が損壊しているせいか、ほかのクルマも代行バスも、時速30km程度で走る。特に八代市内の路面は、少しでもスピードを上げるとアスファルト片が飛んでいきそうな危うさがあり、明らかにスピードを出せない。
もっとも実際には状況が改善されて20分、30分とかからず到着することも多いが、代行バスは実際の状況にカスタマイズされることもなく、次の発車まで10分以上も待っていたりする……。代行の時期が数年におよんだJR日田彦山線・日高本線などは一定の改善がされたが、すべてのリソースが少ないなか、短期での改善は難しい話なのだろう。
今回代行バスが仕立てられた宇土~八代間は1日の輸送密度が1万人前後と、JR九州のなかでもかなり乗客が多い。2016年の震災では1週間内に復旧しており、ここまでの被災やバスの手配は、おそらく誰も予想していなかっただろう。代行バスが走破に時間がかかり過ぎて、朝晩のみしか手配できないのも、やむを得ない話だろう。
運転手不足もあって代行バスは限られていたものの、2学期明けからは増便と1便2台での運行がされているようだ。この区間では2700人が鉄道で通学しているようで……。近隣に高校がある松橋駅(松橋高校)や小川駅(小川工業高校)には、宇土駅から10分~20分間隔で別途シャトルバスを運行するなど、バス会社・JRともに限られた条件で奮闘している。
高規格・高密度ゆえの難航 復旧が遅れる納得の理由
一刻も早い鉄道復旧が見込まれるところだが、目視するだけでもホームや駅の損傷が激しく、エレベーターも各駅で停止している状態。JR九州の資料でも「軌道変状約100か所、橋梁変状29か所、乗降所変状12か所、電柱損傷27本、架線金具300か所」とあり、周辺道路の損傷も明らかに激しい。宇土~小川間あたりが区間復旧すれば状況も変わるものの、2か所とも駅の損傷がかなり激しく……。
駅舎も軌道も軒並み高規格であるがゆえに、復旧作業も手間取ってしまう。今のところ「宇土~八代間は10月復旧」の見込みも、やむを得ない印象を受けた。
エースのはずの「くまモンバス」も。貸切バス会社の苦悩
各区間の代行バスに乗車したなかで、目立ったのは「観光に振り切った仕様のバスの多さ」だ。
観光客の来熊キャンセルが相次ぐなかで、普段ならどう考えても代行バスには導入されないであろう「くまモン仕様」車両も多く見かけた。こういったエース級のバス車両を観光地に出せない現状を見る限り、震災がバス会社に与えた「キャンセル損失」がいかに甚大なものであるかが見て取れる。
運転手さんにもお話を伺ったところ「地震がなければ、夏場いっぱい観光地でフル稼働していただろう。この辺りは貸切で走るとしても国道(3号。県道の東側に並行)なので、まさかこの時期にこんな場所での仕事(県道14号沿いの代行バス。観光要素なし)になるとは、思ってもみなかった」とのこと。早期の鉄道復旧と、代行バス車両の手配に応じた貸切バス各社の労が報われることを願いたい。
ほぼ熊本県最南端! 肥薩おれんじ鉄道・代行バスに乗る
JR鹿児島本線と接続する「肥薩おれんじ鉄道」も、10月の復旧までのつなぎで代行バスを運行している。8月27日・28日時点で、鉄道なら1時間程度の区間を、実に2時間40分かけて走破している。
同社の輸送密度はJR鹿児島本線の不通区間の10分の1以下(2024年は「636人」)ではあるが、南隣の鹿児島県出水市から1~2割の越境入学を受け入れているとのこと。実際には購入助成があるスクーター通学組も多いものの、川内駅始発・水俣駅止まりの列車から代行バスに乗り継ぐ学生もそれなりに見られた。
なお、9月1日には水俣~肥後田浦駅が運転を再開し、残る肥後田浦~八代間は10月中旬の運転再開が見込まれている。
































