旅レポ
100万本の花が咲き乱れる開業30周年のハウステンボスに行ってきた!
2022年4月5日 10:00
ヨーロッパの街並みが好きで、お花が好き。そんな筆者がずっと行きたいと思っていたのが、長崎のハウステンボスだ。今まで何度か旅行を計画したのだが、長崎市街から離れていることから、なかなか足を伸ばせなかった。だが今年は30周年記念。さまざまなイベントが期待できることもあり、ハウステンボス最上位のホテル「ホテルヨーロッパ」の宿泊プランで行く機会を得た。
ハウステンボスと聞いてまず思い浮かぶのは、色とりどりのチューリップが咲き乱れる花畑に、オランダ風車がゆったりと回る景色。そんな風景をのんびり楽しむつもりで出掛けたのだが、実際に行ってみて分かったのは、ハウステンボスには実に多くの楽しみ方があるということだった。
17世紀オランダの街並みを再現
筆者はまず、街並みや風景を楽しむためにパーク内を散歩した。広さは東京ドーム約32個分の152万m 2 で、単独のテーマパークとしては日本最大。
そんな広大なスペースに17世紀オランダの街並みがリアルに再現されているので、見応えたっぷり。オランダには行ったことはないものの、ドイツやパリには行ったことがあるので、レンガ造りの建物や石畳の道を歩きながら、まるでヨーロッパに旅行に来ているような気分になった。
レンガ造りの壁面はところどころ、異国情緒を感じさせる写真で彩られていたり、だまし絵になっていたりするのがおもしろい。アーティスティックに装飾されている噴水の広場があったり、ギフトショップが並ぶ通りがアンブレラストリートになっていたりと、いたる所がフォトスポット。自動販売機やゴミ箱でさえもハウステンボス仕様になっていて、とてもワクワクさせられた。
広大なハウステンボスの目印は、高さ105mのシンボルタワー「ドムトールン」。これはオランダのユトレヒトにある最も古く、最も高いゴシック様式の教会の塔を再現したもの。
地上80mの5階展望室からハウステンボスの全景が眺められるので、一望しておくと街の造りがよく分かるはず。大村湾に面しているので、ヨットハーバーや跳ね橋など、風光明媚な景色が眺められ、海から続く運河がパーク内に循環していることもよく分かる。
ハウステンボスにはオランダ風車のある「フラワーロード」、自然の森を活かしたアスレチックで遊べる「アドベンチャーパーク」、VRなどのアミューズメントが充実の「アトラクションタウン」、デジタルアートで幻想体験できる「光のファンタジアシティ」、ギフトショップが並ぶ街の中心「アムステルダムシティ」、グルメショップが並ぶ「タワーシティ」といったスポットに加え、大村湾に面した「ハーバータウン」、オランダの宮殿を再現した「パレス ハウステンボス」などの施設がある。これらのエリアの配置を理解しておくと、移動がスムーズにできるだろう。
100万本のチューリップが咲き乱れる
これぞハウステンボスという景色のオランダ風車があるフラワーロードは、まさに「フラワーフェスティバル」(5月6日まで)の「100万本のチューリップ祭」(4月10日まで)の真っ最中。色とりどりのチューリップの数に圧倒された。
一番の驚きは、すべてのチューリップが1本も枯れずにちゃんと咲いていること。この状態を保つためには、かなりの労力がかかっているはず。パーク内を歩いているとお花の手入れをしているスタッフを度々見かけたが、このようなスタッフがお花を素晴らしい状態でキープしてくれていることに感謝した。
品種もいろいろなものが使われているようで、なかでもハウステンボスのオリジナルのチューリップが美しかった。名前はそのままの「ハウステンボス」。花びらがフリル状で、淡いピンクのカラーがホントかわいい!
お花はパーク内のあらゆるところにあって、アムステルダムシティの花の広場は、王冠やチョウチョの装飾がステキ。お花の絨毯とも言えそうな「フラワーパサージュ」は、全部が生花で作られていることに驚きだった。
見逃せないのが、「パレス ハウステンボス」の花壇。「パレス ハウステンボス」とは、オランダ王室に特別に許可をもらい、忠実に再現したオランダの宮殿。その前に、世界的に有名なオランダの花の公園「キューケンホフ公園」をイメージした花壇が新しくできたのだそう。オランダの宮殿を背景に、美しい色合いのチューリップで彩られた花壇はホント美しかった。
宮殿の裏側には、ヴェルサイユ宮殿庭園設計者の弟子、ダニエル・マローが王宮のために設計して実現しなかった幻の庭園が、図面をもとに復元されていて、この庭園にも心が躍った。この左右対称のバロック式の庭園は、ヴェルサイユ宮殿に行ったときに見たものと同じスタイル。改めてハウステンボスのリアルさを感じた。
ハウステンボスの4大美術館
ハウステンボスには4大美術館があって、「パレス ハウステンボス」の「ハウステンボス美術館」もその1つ。筆者が訪れたときには「エッシャーとオランダ展」が開催されていた。
この美術館にはオランダにまつわる9000点もの収蔵品があるらしく、エッシャーのだまし絵に加えて、17世紀に活躍したオランダの画家、レンブラントの貴重な作品も鑑賞できた。
そのほか、「ポルセレインミュージアム」では伊万里やヨーロッパの磁器約3000点が楽しめ、「ギヤマン ミュージアム」ではヨーロッパのガラス芸術が満喫できる。そして「テディベア キングダム」では約700体ものかわいらしいテディベアが展示されている。アート好きなら、これらの美術館を巡るだけでも大満足できそうだ。
最先端のアトラクションが充実
街並みやお花を楽しんだあとはお待ちかねのアトラクション。「光のファンタジアシティ」ではクリエイティブカンパニーのネイキッドが手掛ける、最新技術のデジタルアートを楽しむことができる。筆者は「フラワーファンタジア」と「海のファンタジア」を体験。「フラワーファンタジア」は光の花を作り出す秘密の研究所という設定で、心地よい香りが漂うなか、足元に次々と咲き乱れる花や、合わせ鏡で延々と広がる光の花畑など、花のデジタルアートを楽しんだ。
「海のファンタジア」は深海の世界を体験できる空間。海のなかを優雅に泳ぐ魚たちや、カラフルな魚の群れなど、まるで本当の水族館のようなデジタルアートに癒された。なかでも一番気に入ったのが、「海のオアシス」という空間。真っ暗な部屋で、靴を脱いでイスに座ったり、寝転んだりしながら、頭上に映し出される海月や魚を見上げられる。ゆったりと漂う海月の映像に時間を忘れて見入ってしまった。
「アトラクションタウン」ではVRのアミューズメントを楽しんだ。「VR-KING」はVR映像によって世界最高、最長、最速のコースター体験ができる。実際にはあり得ない角度でコースターが落下するので大迫力だった。ただ、マスクをしているとVRのヘッドマウントディスプレイのレンズが曇ってしまうので要注意。筆者は期待と興奮から鼻息が荒くなったのか、結構、曇ってしまって、映像がぼんやりしてしまった。残念……。
「アトラクションタウン」では「ホライゾン・アドベンチャー・プラス」という体感シアターにも入った。800トンもの本物の水を使った波や竜巻、豪雨、洪水が繰り広げられる。これは実際にオランダで発生した大洪水らしく、水の迫力を体験することができた。このほかにもVRのアトラクションが複数ある。ファミリーなら、「アドベンチャーパーク」でフィールドアスレチック的なアトラクションを楽しむのもよいだろう。
このほかイベントやショーも盛りだくさんで、生花で飾られた美しいパレードカーやキャラクター、ダンサーたちが場内を華やかに巡るパレードを見た。ほかに春の訪れをお祝いする祝祭「メイポールダンス」は、ダンスをしながらキレイにリボンがポールに巻き付けられていく様子がおもしろかった。仮面ダンサーが懐かしいディスコナンバーに合わせて踊る「仮面ダンスパーティ」も見たのだが、見ているお客さんも一緒になっていて踊っていて盛り上がっていた。
日本一のイルミネーションが魅力
すでにここまでで十分、満足していたのだが、ハウステンボスのお楽しみはまだまだこれから。夜にはパーク内全体がイルミネーションで光り輝き、さまざまな場所でイルミネーションショーが繰り広げられる。
なかでも一番見たかったのが「3Dプロジェクションマッピング」だ。オランダ・ゴーダ市にある市庁舎をモデルにした「スタッドハウス」が映像によってクラシックな城になったり、教会になったりといろいろな姿に変貌。花火が舞い上がったり、お花が咲き乱れたりと、迫力のある映像美に圧倒された。
昼間に見たフラワータウンやアンブレラストリートも、夜にはまったく違う印象。おもしろかったのは「光のチューリップ」で、花にライトを内蔵されたチューリップが楽しげな曲に合わせて光り輝く。光の噴水ショーの「ウォーターマジック」や、幅66mの広大なスペースに映像が映し出される「光の滝」は美しさに感動した。
筆者は夜に観覧車に乗ったのだが、パーク全体がイルミネーションで輝いていて、ただただ美しかった。イルミネーションショーは一部を除いて複数回、開催されるのものの、時間が決まっているため、「パレス ハウステンボス」の庭園で行なわれる「ジュエルイルミネーションショー」を見逃してしまったのが残念だった。あらかじめ場所と時間を確認して、効率よく回ることをお勧めしたい。
運河を通って「ホテルヨーロッパ」にチェックイン
宿泊先の「ホテルヨーロッパ」には15時過ぎにチェックインした。シャトルバスを利用したり、パーク内から徒歩で向かうこともできるのだが、あえてカナルクルーザー(運河船)を使った。船でホテルに向かうなんて初めての体験。運河から見るパークも格別で、運河からホテルの内海に入ったときに、目の前にホテルの重厚な建物が迫ってくるのがドラマチックだった。
桟橋はもちろん、ホテルのロビーにもお花がいっぱい。ロビー横のアンカーズラウンジでは、バイオリンの生演奏が繰り広げられていた。このラウンジではナイトコンサートも開催されていて、音楽に浸りながら夜のひと時を過ごすのもステキ。
そして部屋はクラシックなヨーロピアンスタイルのインテリアで、大きな窓から内海が眺められた。洗面台にさりげなくチューリップが飾られていて、大きなバスタブや雨のように降り注ぐレインシャワーが備えられていたのも快適だった。
朝食はビュッフェか和定食からもチョイスで、筆者はビュッフェを選択した。チーズやベーコンなど、好みの具材を選んで、それを入れてシェフがオムレツを作ってくれる。プロの技に感激。パンの種類もいくつもあって、ついたくさん選んでしまった。
地元の味が楽しめる充実のレストラン&カフェ
1日目の夜ご飯に、筆者はパーク内の「ロード・レーウ」というレストランで、佐世保発祥の「リブロースレモンステーキ」を味わった。醤油ベースのやや濃厚なソースが、レモン果汁のおかげでさっぱりさわやかな味わいに。鉄板の上のソースはご飯を絡めて、残さずに食べるのが佐世保流なんだとか。
2日目には「ショコラ夫人の旧邸」というカフェで、数量限定の「ショコラ夫人のいちご畑モンブラン」をオーダー。店内絞りのモンブランはとにかく細く、見た目にキレイで、中身はカステラと生クリームで食べ応えも十分。店内の装飾もとてもかわいくて、フォトジェニックなお店だった。
朝はホテルのビュッフェでたっぷり食べたし、ボリュームたっぷりのスイーツだったことで、お昼ご飯は食べられず……。ハウステンボスにはレストランやカフェが充実しているので、もっといろいろなお店に入りたかった。旅行に来るといつも「もっとたくさん食べられたらいいのに」と思う。
多くのスポットで思い思いに楽しめる
ハウステンボスは広大なスペースに、ホテル、美術館、アトラクション、庭園、レストラン・カフェ、ギフトショップなどが並ぶ。それら約50施設のアトラクションやイベント・ショー、美術館、移動に便利なパークバスやカナルクルーザーなどは、大人7000円の「1DAYパスポート」で利用できる。追加で料金が必要な施設もあるのだが、筆者は「1DAYパスポート」だけで十分過ぎるほど楽しんた。
当初はのんびり景色を楽しもうと思っていたのだが、美術館やアトラクション、夜のイルミネーションとついよくばってしまった。でもまだまだ行きたい美術館やアトラクションなどがたくさんあった。ホテルでの優雅な滞在と、ハウステンボスを満喫するには1泊2日では足りないかも。
ハウステンボスは思い思いの楽しみ方ができる。あらゆるフォトスポットで写真を撮るのもいいし、美術館や庭園、花壇などを鑑賞するのもいい。アクティブにアスレチックやVRのアトラクションで遊ぶのもいいだろう。筆者はあれもこれもとよくばってしまったために、結局、行きたいところ全部には行けなかった。こんな失敗のないよう、最初にしっかり情報収集して、どんなことをしたいかテーマを決めておくと、より充実した時間が過ごせると思う。
ハウステンボスでは1年を6シーズンに分けてさまざまなイベントが行なわれている。行けなかった美術館やアトラクションを楽しむため、今年中にはまたハウステンボスに行ってみたいなと思っている。