旅レポ

ポーランド、オーストリア、チェコ、ドイツで絶対食べたいグルメ5選

ユーレイル旅で出会った巨大シュニッツェルや自家製ビール、森鴎外も通った地下酒場の料理など

ポーランド、オーストリア、チェコ、ドイツを旅するときに訪れたいレストランを5か所紹介

 ヨーロッパの鉄道などが一定期間乗り放題となるユーレイルグローバルパスを使って旅するプレスツアー。「音楽」をテーマにポーランド・ワルシャワからドイツ・ライプツィヒにかけて、8日間ほどかけて移動してきたわけだけれど、もちろんその間には各国のユニークなフードとの出会いもあった。

 今回はそのなかから、現地を訪れたときに必ず味わっておくべき絶品グルメのお店を5軒紹介したい。

ボリュームたっぷりのコース料理がどれもハイクオリティ。ポーランド・ワルシャワの「Rozbrat 20」

公園から歩いてすぐのところにある「Rozbrat 20」

 夏の間はショパン像の前でコンサート鑑賞も可能なワジェンキ公園。そのほど近くにあるのが「現代ポーランド料理」をコンセプトとした創作料理のレストラン「Rozbrat 20」だ。ここにはランチの時間帯に訪れたが、特別にディナーメニューを中心に用意していただいた。

店内の様子

 店内で目を引くのが、壁の棚一面に並んだワインボトル。ワインだけでなく、ウィスキーをはじめポーランド産のアルコール類を豊富に取り揃えており、ポーランドには思った以上に深いお酒文化があるのだと気付かせられる。また、ディナーのコース料理は6品または8品用意しており、フレンチのフルコースにも近い本格的なメニューとなっている。しかもそのどれもが、素材からこだわり抜いた完成度の高い料理だ。

ワインボトルが壁の棚一面に
酸味もほどよく、香り高いポーランド産ワイン
これ以外にもたくさんのポーランド産アルコールを用意している

 ポーランドというと伝統料理の餃子「ピエロギ」などシンプルなものも有名だが、Rozbrat 20のメニューはまさに現代的。コーヒー風味と勘違いしそうなくらいに濃厚な麦芽バターを、見た目に反して柔らかく味わい深いパンとともにいただくところから始まり、イカスミの皿に乗ったハーブのクリーム、魚のレバー、ビーフタルタル、ザリガニとパイクパーチのスープ仕立てと、見た目にも楽しいメニューが続々と現われる。一品一品はちょうどよい量だが、全体的にはかなりのボリューム。しかし、すべてをペロリと平らげてしまった。

手前にあるのが麦芽バター
左がタコス、右がイカスミが原料の皿に乗せたハーブのクリーム
パンプキンのマリネ。黒く見えるところは黒ニンニク
ここでようやくスターターの1つ目。アイスクリーム、チェリートマト、バジル、リコッタチーズ、薄く焼いたパンケーキなどを合わせたもの
マスのレバーにベーコンフレーク。半透明の丸いものはラード
カシューナッツなどを添えたビーフのタルタル
スープを注いでいただく、ザリガニとパイクパーチ
これがメインの1つ目
イベリコ豚。カリン、カブ、リンゴなどを添えたもの
ダークチョコレート、ソルトキャラメル、バニラアイスにジンジャーとヘーゼルナッツをまぶしたデザート
Rozbrat 20

所在地: ul. Rozbrat 20, 00-447 Warszawa, Poland
Webサイト: Rozbrat 20(英語)

巨大シュニッツェルと肉と魚と肉。オーストリア・ウィーンの「Palmenhaus」

「Palmenhaus」が入っている温室のような建物。色とりどりの蝶が見られるという「Butterfly House」と隣り合っている

 モーツァルト記念像のある公園に臨む、温室のような建物のレストラン「Palmenhaus」は、食事時になると外のテラス席まで人があふれかえるほどの盛況となっている。

 ここで注文する料理はポーションの大きなものが多い。オーストリアやドイツの名物料理の1つで、日本でいうトンカツのような「シュニッツェル」は、全長30cmはあろうかと思われるほど巨大なものが運ばれてくる。ランチメニューのメイン料理であるサーモンフィレや仔牛肉なども満足間違いなしのボリュームだ。ランチであっても前菜、主菜、デザートの3品構成となっているので、お腹の空き具合をあらかじめチェックしつつチャレンジしたい。

中に入ってみても、やはり温室。天井が高い
30cmはありそうな巨大シュニッツェルを注文できる
ランチメニューの主菜の1つ、プライム級の仔牛肉を蒸したもの
もう1つの主菜、オーストリア国内のラートルベルクというところでとれたサーモンフィレのグリル
こちらは前菜の1つ。オーガニックなローストビーフ
山羊のローストチーズをサンドイッチにしたものと、バルサミコ酢で和えた葉野菜のサラダ
Palmenhaus

所在地: Burggarten 1, 1010 Vienna, Austria
Webサイト: Palmenhaus(英語)

店内で醸造した自家製ビールと、特産チーズが味わえるチェコ・オロモウツの「RIEGROVKA」

トラムが走る旧市街の一角にあるステーキハウス「RIEGROVKA」

 ビールといえばドイツ、という先入観があるが、お隣の国チェコも負けてはいない。オロモウツにある「RIEGROVKA」は、なんと店内にビールの醸造施設があるのだ。店内で材料の仕込みから麦芽の発酵、熟成を行ない、2か月ほどかけて完成させ、タンクに保管したビールを直接店内のビールサーバーから注げるという、四国のみかんジュース蛇口もびっくりのシステムを備えている。

洞窟のような入口を抜けて店内へ
ビール製造に必要な一連の設備がすべて店内にある
地下で発酵、熟成中
タンクにつながっているビールサーバーから直接ビールを注ぐ
瓶詰めされたビールもある

 いわば“生を超えた生”とでも言うべきこのビールと合わせるのは、やはりオロモウツ名物のオロモウツチーズ「トヴァルーシュキ」だろう。ここでは衣に包んでベーコンと一緒に油で揚げたフライド・オロモウツチーズをおつまみにするのが吉。ジューシーなビーフバーガーや、チェコの伝統料理である茹でパンのクネドリーキもお勧めだ。

ビールと合わせるのは当然オロモウツチーズ
鴨のもも肉とクネドリーキ
ビーフのタルタル。ガーリックは奥のトーストに塗って食べるとゴキゲンだ(口臭注意)
ビーフバーガーはボリューム満点
RIEGROVKA

所在地: Riegrova 22, Olomouc, Czech Republic
Webサイト: RIEGROVKA(英語)

もっと肉成分を取り入れたいあなたに、チェコ・ブルノの「U Caipla」

ブルノの旧市街にある「U Caipla」
店の内装にはかわいらしい絵が描かれている

 シュニッツェルといえば豚肉を使ったものが一般的だが、鶏肉を使ったチキンシュニッツェルもある。豚肉よりもヘルシー感のあるチキンシュニッツェルにトライしたいなら、ブルノにある「U Caipla」を訪れてみよう。やはりここでも大ぶりな240gの肉厚シュニッツェルが出迎えてくれる。中は胸肉らしい淡泊さはあるものの、十分に味付けされてカリッと揚がった衣とちょうどバランスが取れており、ビールが進む。

 付け合わせのポテトサラダは日本の一般的なそれとは少し雰囲気は異なる。が、濃い味のポテトサラダという感じなので、これもビールに合う。そのほかにも、肉団子入りの牛肉エキスのスープや、豚リブ肉のロースト(400g)など、肉肉しいメニューが豊富に用意されている。

肉厚のチキンシュニッツェルとポテトサラダ
肉団子入りの牛肉エキスのスープ
豚リブ肉のローストとキャベツ
U Caipla

所在地: Kozí 115/3, 602 00 Brno, Czech Republic
Webサイト: U Caipla(英語)

森鴎外も訪れた、ドイツ・ライプツィヒの「アウアーバッハス・ケラー」

「アウアーバッハス・ケラー」
ゲーテの作品に関連する銅像が飾られている

 ライプツィヒ旧市街のほぼど真ん中にある「アウアーバッハス・ケラー」は、ライプツィヒで2番目に古い1525年創業のレストラン。ゲーテが通い、彼の作品「ファウスト」にも登場する酒場としても知られている。ドイツに留学し、ライプツィヒに滞在した森鴎外もこの店に通っていたとのことで、店内には留学中の鴎外とそれを回顧する鴎外、さらにファウストに登場するメフィストフェレスが描かれた壁画がある。

階段を降りて店内へ
壁画が多数描かれている
左端がメフィストフェレス、その隣に留学中の軍服を着た鴎外、右端に留学中の自分を回顧する和服姿の森鴎外。中央は同じくドイツ留学していた井上哲次郎

 そんなアウアーバッハス・ケラーで真っ先に注文したいのが、ドイツならではのバリエーション豊かなビール。ライプツィヒで製造されたオリジナルビールと、ラズベリーや甘いシロップが入ったフレーバービールを飲み比べたい。料理はクルトン入りのポテトスープや、ワイルドライス、トマトとモツァレラチーズグラタンが乗ったサーモンのグリルなど、ある意味“酒場”らしくない上品な見た目のメニューが提供されている。

左からシロップ入りフレーバービール、ラズベリーフレーバーのビール、オリジナルライプツィヒビール
クルトン入りポテトスープ
マトとモツァレラチーズグラタンが乗ったサーモンフィレグリル
野菜入りのワイルドライス。プチプチとした食感がクセになりそう
フルーツサラダとバニラアイス
左からクワークというチーズを使ったレモンケーキ、ベリーのコンポート、アイスクリーム
Auerbachs Keller

所在地: Grimmaische Strasse 2-4, D-04109 Leipzig, Germany
Webサイト: Auerbachs Keller(英語)

2019年からユーレイルパスがリニューアル。行動範囲が拡大し、安価に

ユーレイルグローバルパス

 今回の「音楽を巡るユーレイル旅」で利用した「ユーレイルグローバルパス」を含め、欧州の列車、フェリーなどが乗り放題となるユーレイルパスは、誕生から60周年を迎えるこの2019年、1月1日に大幅なリニューアルが実施されたことをご存じだろうか。

 まず、ユーレイルグローバルパスが最大37%値下げされたうえで、英国、FYRマケドニア、リトアニアが加わって、従来の28か国から31か国に対象国が拡大した。従来からあった53のギリシャの島々を周遊できる「ユーレイル・ギリシャアイランドパス」と、1か国内で使用できる「ユーレイルワンカントリーパス(1か国パス)」はこれまでどおり利用可能だ。なお、訪れたい国を好きなように選べる「ユーレイル セレクトパス」は、グローバルパスの値下げもあって今回のリニューアルで廃止された。

 11歳未満の子供が無料なのは変わらず、60歳以上のシニア割引(10%)が新たに加わっている。安価になり、行動可能な範囲が広がり、割引も追加されて、1人で、あるいは家族で旅行するのにお得なユーレイルパス。どこでも絵になるヨーロッパの車窓を眺めつつ、のんびりと列車旅を楽しみたい人にお勧めのチケットだ。

日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、モバイルサイト・アプリ運営、IT系広告代理店などを経て、執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、二輪・四輪分野などさまざまなジャンルで活動中。どちらかというと癒やしではなく体力を消耗する旅行(仕事)が好み。Footprint Technologies株式会社代表。著書に「できるGoPro スタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)などがある。