旅レポ
今すぐ家で作れる(かもしれない)エストニアの黒パンレシピ
北部の首都タリンの風景と第2の都市タルトゥにある全長355mの博物館
2018年11月19日 00:00
バルト三国の最も北に位置するエストニアでは、北欧でもよく食されているライ麦を主原料にした黒パンが主食の1つとなっている。レストランではほとんどお通しのように料理前に出てくることが多く、見た目はまさしく黒、もしくは濃い茶色だ。一切れのサイズはどのお店でもだいたい共通していて、日本の典型的な食パンのおよそ半分程度と小ぶり。その分どっしりと中身の詰まった、味わい深いパンとなっている。
お店によってプレーンのほか、ナッツやレーズンが入ったものなどさまざまなフレーバーがあり、その違いを楽しむのもエストニア旅の醍醐味と言えるかもしれない。ちなみに今回のツアーではエストニア各地でいろいろな黒パンをいただいたが、黒パンらしい酸味は少しあるもののクセはなく、触感や風味はそれぞれに個性があって、美味しく食べることができた。
エストニア名物の黒パンを日本の家庭でも?
そんな黒パンの作り方を、南部セト地方にある「Iti Leeväküük」で教えていただいた。ここは黒パン作りのワークショップを開催しているほか、カフェとしても営業している。ぜひ皆さんの自宅でも下記の手順で黒パン作りにチャレンジしてみてほしい。
黒パンの作り方
1. まずはライ麦粉を用意します
2. それを“白樺の木などでできた桶”のなかに入れます
3. 次にお湯(40~45℃)適量と、前回作成した“黒パンの生地”少量を加えます
4. 混ぜて一晩寝かせ、翌朝、砂糖、塩、ライ麦をさらに加えて混ぜます。しばらくすると生地が膨らみます
5. 適量をすくって、打ち粉代わりのライ麦の上で形を整えます
6. ひたすら形を整えます。次回分の仕込み用に1つ分程度、生地を残しておくとよさそうです
7. 生地表面に軽く切れ目を入れます
8. 250℃に熱したオーブンに入れて10分間焼き、次に180℃で50分間焼きます
9. できあがりです。できたては包丁だと切りにくいことがあるので注意しましょう
タリンの旧市街でヨーロッパらしい街並みを満喫
エストニアの全人口のおよそ3分の1となる45万人が集まっているとされる首都タリン。旧市街にそびえる城壁と石畳、オレンジの瓦屋根の街並みはまさしくヨーロッパのイメージそのもので、ロシアの名残がある南部のセト地方などとはまったく異なる雰囲気だ。
街自体はコンパクトで、半日~1日あれば中心部の主要な観光スポットを徒歩で巡ることができるだろう。なかでも、街を一望できる旧市街の山の手にある「パットクリ展望台」や「コフトゥ展望台」、市庁舎やタリン最古とされる市議会薬局がある「ラエコヤ広場」などは定番スポットで、ショッピングにも最適。旧市街にも近いバルト駅には、食品、服飾品、日用雑貨やアンティーク品などが集まる市場もあり、地元の生活の雰囲気を感じ取れる。
Skype開発者の椅子もあるタルトゥの博物館と屋外でエストニアの歴史を学ぶ
首都タリンから南に200km弱、クルマでおよそ2時間余りのところにあるエストニア第2の都市タルトゥを訪れるなら、ぜひ「Estonian National Museum」へ足を運びたい。料金は大人14ユーロで、常設・企画展すべてを観覧できる。
まず目を引くのがその建物の巨大さ。もともとは1909年に創設された博物館で、デザインを公募し、日本人を含むフランスのチームによる設計で2016年にリニューアルしたばかり。建設地はかつてソ連軍の空港だった場所とし、滑走路の平坦な土地を活かして全長355m、建物総面積3万4000mm2という細長い建物になっている。エントランスホールの天井高は15m、最も低い奥側の天井高は2.8mと、徐々に天井高が低くなっているおかげで、細長さがより際立っている。
常設展2つに加えて企画展も最大2つ実施され、常設展ではエストニアの歴史、文化、言語のほか、周辺国やユーラシア大陸に住む、あるいはかつて住んでいた民族に関する資料が多数展示されている。なかでも、1万1000年前から現代までの時間の流れに沿って当時の記録が並ぶ、奥行き126mの一直線の展示室は圧巻だ。1208年ごろに埋葬されたと考えられる女性の本物の人骨や、ソ連時代の遺品の数々、エストニアで開発されたチャットツール「Skype」の開発者の1人が座っていた椅子など、見どころは多い。