旅レポ
フィンランド・ヘルシンキ~エストニア・タリンを2時間で結ぶ大型客船「Megastar」の旅
優雅に過ごしてお土産もお得に購入できる、安価な贅沢路線
2018年10月25日 00:00
フィンランドの首都ヘルシンキは、ヨーロッパ圏を旅行する際の乗り継ぎ拠点としてもよく知られている。一方で、エストニアと聞いて具体的なイメージを思い浮かべられる人はそれほど多くないかもしれない。
エストニアはフィンランドの南方、フィンランド湾を隔てたところに位置し、東はロシア、南はラトビアと隣り合っている小国。エストニア、ラトビア、さらに南にあるリトアニアを合わせてバルト三国とも呼ばれている。日本の九州の面積より少し広い約4万5000km2の国土に、沖縄県の総人口に近い132万人(2017年1月時点。外務省ホームページより)が居住するという。首都はタリン。日本からの直行便はないため、ルートとしてはヘルシンキなどで飛行機を乗り継ぎ、タリン空港で降りるのが最も早い。けれど、もう1つ、フィンランド湾を渡るヘルシンキ〜タリン間の定期航路を利用する方法もある。少し時間はかかってしまうものの、贅沢な大型客船の旅を比較的安価に楽しめるのが魅力だ。
今回、エストニア政府観光局が主催、フィンエアーが機材協力を行なったプレスツアーに参加して、エストニアを旅してきた。その第一歩は、ヘルシンキ〜タリンの定期航路を結ぶTALLINK Shuttleの新造船「Megastar」のビジネスラウンジから始まった。
片道100ユーロ前後で食事付きの優雅な船旅
ヘルシンキからタリン行きの定期航路便に乗船するには、空港から列車やバスでいったんヘルシンキ市街へ入り、そこで乗り換えてヘルシンキ西港に向かう。空港からヘルシンキ西港まではだいたい1時間前後。朝日本を発てば、16時30分発のTALLINK Shuttleに乗って、だいたい19時ごろにはタリンに到着できることになる。ツアーなら貸切バスで30〜40分というところ。
ヘルシンキ〜タリン間は毎日6便運航しており、片道をおよそ2時間程度で結ぶ。TALLINK Shuttleの運航会社であるTALLINK SILJA LINE(タリンク&シリヤライン)は、ほかにも同じ区間を一晩かけて渡るオーバーナイトクルーズのプランや、スウェーデンやラトビアと結ぶ航路があり、いずれも大型の客船を運航している。
ヘルシンキ〜タリン間の定期航路は以前からあるが、現在この航路で利用されているTALLINK Shuttleの客船は2種類あり、どちらも比較的新しい。古い「Star」でも2007年に建造されており、今回乗船した「Megastar」は2017年に新造されたばかり。全長212.2m、全幅30.6m、収容可能な乗客数は2800人、総トン数4万9000という大型客船で、巡航速度は27ノットとなっている。
船内には、滞在可能なエリアだけでも4フロアあり、ビジネスラウンジをはじめとする複数のラウンジとレストラン、特急列車のような客室座席、2フロアにまたがるショッピングエリア、エンタテイメント施設などを備える。これら設備の充実度をアピールする一方で、液化天然ガスを燃料に用いた動力により、二酸化炭素の排出を低減するなど環境負荷を考慮した設計になっているのも特徴だ。
料金は、インターネット予約なら、通常の乗船チケット「STAR CLASS」が片道35ユーロ~(時間帯や混雑状況によって値段に幅がある)。ビジネスラウンジ利用はそれにプラスして1人65ユーロ。つまり合計100ユーロほどで、食事付きの静かなビジネスラウンジに入り、タリンまでの優雅なひとときを過ごせるわけだ。もちろん船内を散策してショッピングを楽しんだり、レストランやデッキで過ごしたりするのもいいが、広いだけに、片道の2時間で全て見て回ろうとすると慌ただしくなってしまうだろう。
個人的なおすすめは、往路はビジネスラウンジでゆっくり身体を休め、復路はショッピングを楽しむというもの。なぜなら、船内のショッピングエリアには免税店が多数あり、それらの商品が空港のスーベニアショップより軒並み安価な印象なのだ。さらにはJALマイレージカードを所有しているTALLINK Shuttle利用者には船内でのショッピングが一律8%オフになる「VIPカード」がプレゼントされるのも大きい。
帰国前の船内でゆっくりお土産探しをしておけば、空港で時間を気にしながらショッピングすることもない。少しのんびりした移動になることと、列車などの乗り換えの手間が増えることを気にしないのであれば、エストニア旅行に大型客船Megastarを利用することを検討してみてはいかがだろうか。