旅レポ
ダブルデッキを上へ下へ。ルフトハンザのボーイング 747-8型機のプレミアムエコノミーに乗ってみた
羽田~フランクフルトの「東京ファッションフライト」でCAが1970年代の制服を着用
2017年11月17日 00:00
ルフトハンザ ドイツ航空が「東京ファッションウィーク 2018」に合わせ、歴代制服を着用したCA(客室乗務員)によるファッションショーなどを都内で行なったのは既報のとおりだが、その翌日の10月21日には「東京ファッションフライト」を運航した。
東京ファッションフライトの対象になったのは羽田14時05分発~ドイツ・フランクフルト18時45分着のLH717便で、機材はボーイング 747-8型機。女性CAはベルリンのデザイナー「Werner Machnik」による1970年から採用された制服を、男性CAは1926~1938年に利用されていた制服を着用して乗務した。
1961年の就航以来「日本は重要な市場」
LH717便の出発前には107番ゲート前でセレモニーが開かれ、ルフトハンザ ドイツ航空 日本・韓国支社長兼スイス インターナショナル エアラインズ 日本・韓国地区社長のドナルド・ブンケンブルク氏が乗客へ挨拶した。
ブンケンブルク社長は1926年「ドイチェ ルフト ハンザAG」として創立されて以来の同社の伝統を、ファッションという形を通じて伝えるために東京ファッションフライトを企画したと説明。
1961年にボーイング 707型機でフランクフルト~ローマ~カイロ~ダーラン~カラチ~カルカッタ~バンコク~香港~東京と結んだ極東路線開設以来、「日本は重要な市場であり続け、そのなかでルフトハンザは大きな発展を遂げることができた」と語った。
これらの歴史はもちろん大事である一方デジタル化も重要であると、今年を「デジタライゼーション元年」と定め、2020年に向けてデジタル分野に5億ユーロを投資していくことを紹介し、「お客さまの旅をよりスムーズにするため、充実したものにするため注力してまいります」と述べ、挨拶を終えた。
メインデッキとアッパーデッキの2階層のボーイング 747-8型機
ルフトハンザ ドイツ航空のボーイング 747-8型機
全長: 76.3m
全幅: 68.4m
全高: 19.4m
最大巡航速度: 920km/h
航続距離: 1万3100km
搭載エンジン: General Electric「GEnx-2B67」×4基
東京ファッションフライトに使用されたボーイング 747-8型機は、メインデッキとアッパーデッキのダブルデッキからなる大型機。ファーストクラスは8席、ビジネスクラスは80席、プレミアムエコノミークラスは32席、エコノミークラスは244席という構成。アッパーデッキにはコクピットと、2-2で8列、32席のビジネスクラスがあり、それ以外が下にあるメインデッキに配置されている。
メインデッキはエンジンからもっとも遠い最前にファーストクラスの8席、ギャレーを挟んだ次に2-2-2の8列で48席のビジネスクラス、そしてエコノミークラスが3-4-3で36席入ったあとに、2-4-2で4列のプレミアムエコノミークラス、その後ろに再びエコノミークラスとなる。エコノミークラスの途中にプレミアムエコノミークラスがある、少し不思議な配置になっている。
ボーイング 747-8型機の機内を探検
記者も東京ファッションフライトに搭乗することができ、プレミアムエコノミークラスの最前列右端の席に座った。シートベルト着用のサインが消えると、CAがおしぼりと機内食のメニューを配り始めた。
ここで機内を見学。メインデッキの前方にあるファーストクラスへ行くと、引き出したテーブルにクロスが敷かれ、パンや前菜のキャビアがサーブされるところだった。
ちなみにファーストクラス専用のラバトリーものぞいてみた。窓があってとても明るく、アメニティも充実。着替えたり子供のおむつを交換したりするのに十分な広さがある。
続いて階段を上がってアッパーデッキのビジネスクラスへ。メインデッキは2-2-2だが、アッパーデッキは2-2の8列で32席。
プレミアムエコノミークラスでワンランク上の快適フライト
プレミアムエコノミークラスのシートは、エコノミークラスの3-4-3に対して2-4-2と余裕のある配置で、シートピッチにもゆとりがあり、身長176cmで中肉の記者はとても快適に過ごすことができた。レッグレストがあるので、足への負担を軽減できるのもうれしい。
肘掛けの下部にユニバーサルAC電源を1基、シートモニター付近にUSB電源を1基備えており、あとで紹介する機内インターネットサービス「FlyNet」を利用すれば快適にPC仕事やSNSができる。
ヘッドフォンやスリッパのほかに、日本では冷凍食品で知られる「PICARD(ピカール)」のミニケースがあり、中にはアイマスク、耳栓、歯磨きセット、体を拭くシート、靴下が入っている。
記者の席にもCAがまわってきて、おしぼり、機内食メニューを受け取る。日本からドイツへ向かう際の機内食は離陸後の昼食と、着陸前の夕食。メインを洋食か和食から選ぶことができる。
昼食のメインは和食の「鶏胸肉の山椒だれ丼、椎茸、錦糸卵」を選び、隣席のドイツ人男性が親切にも自身が選んだ洋食の「鶏胸肉のソテー、ペッパーコーンクリームソース、ブラバントポテト」を「これも撮りなさい」と撮影させてくれた。「鶏胸肉の山椒だれ丼、椎茸、錦糸卵」は甘めのタレに山椒が利いて食欲をそそり、ご飯が進んだ。洋食のメインは焼いた鶏肉と揚げ焼きしたポテトにソースをかけ、ボイルした野菜を添えたもの。ドイツ人男性によるとドイツ、オランダ方面ではポピュラーなメニューだそうで、「ビールを飲んでポテトを食べてパンを食べるから、ハードワークしないと」と笑顔で説明してくれた。
機内インターネット「FlyNet」は1/4/24時間から選択可能
昼食が終わると、外も機内の照明も次第に暗くなり、映画を見る人、眠る人と、それぞれの時間を楽しんでいた。機内エンタテイメントシステムは最大8カ国語に対応。もちろん日本語にも対応している。100種類以上の映画、200種類以上のテレビ番組コンテンツを用意しているという。手元のリモコンでも、タッチパネル式のシートモニターで直接でも操作可能だ。
機内インターネット「FlyNet」も試してみた。初めて利用する場合、ユーザー登録も行なう。PCやスマートフォンのWi-Fi機能で「Telekom_FlyNet」を選んでからWebブラウザを起動すると、「FlyNet」のポータルサイトが表示される。
ポータルサイトは英語表示だが、日本語にも切り替えられる。ユーザー登録とともにFlyNetの利用プランを選択する。「FLYNET CHAT(チャット)」は5ユーロ(約670円、1ユーロ=134円換算)。iMessageやLINEなどのメッセンジャー機能のみ利用できる。
「1 HOUR(1時間)」は9ユーロ(約1200円)、「4 HOUR(4時間)」は14ユーロ(約1900円)で、インターネットを時間制で利用できる。「FULL FLIGHT INTERCONTINENTAL(フライトプラン 国際線)」は17ユーロ(約2300円)で24時間、国際線であれば同社の別便に乗り換えてもインターネットを利用できる。
夕食を終えるといよいよフランクフルト空港へ着陸
着陸の約3時間前から夕食の準備が始まる。夕食もメインは和食と洋食が用意されており、記者は和食の「牛焼肉 もろみソース、野菜、梅しそご飯」を、隣席のドイツ人男性は洋食の「バイエルンソーセージ オニオングレイビーソース、ザワークラウト、マッシュポテトを添えて」を選んだ。甘塩っぱく焼かれた牛肉がご飯に合うのはもちろん、添えられた煮物が日本人にはうれしい塩加減だった。洋食は「これがジャーマンスタイル! 日本の料理は美味しいけれど、やっぱりこれを食べると元気になる」と隣人は笑っていた。
夕食を終えるといよいよフランクフルト空港に着陸。乗務員の厚意で着陸後に少し時間がもらえ、コクピットや上級クラスのシートを撮影できたので、最後にご紹介する。