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ルフトハンザ、新ビジネスクラスシート導入など5スターエアライン認定までの取り組みを語る

新デザインのブランドイメージは数年かけて置き換えていく

2018年3月9日 実施

ルフトハンザ ドイツ航空が新しいブランドデザインの狙いなどについて説明した

 ルフトハンザ ドイツ航空は3月9日、都内で会見を開き、一新したブランドデザインの狙いなどについて説明した。

 ルフトハンザグループは2月7日に新ブランドイメージを発表、イエローを基調とした従来のデザインから、濃いブルーを主体にイエローで補完するデザインに変わっている。ブルーとイエローの組み合わせは従来も使われていたが、例えばルフトハンザの鶴のロゴイメージは、地色とロゴ色の組み合わせに一貫性がなく、散漫な印象を与えていたという。新デザインでは「ブルーの地には白」「白地にはブルー」「イエローの地には白」とルールが明確になり、鶴のロゴ自体も細身になり、鶴を囲む輪も線を細くしてある。

 こうした新デザインは、機材をはじめ空港のカウンターや搭乗券、制服、機内で使われる食器、アメニティ、毛布、枕カバーなどにも導入され、順次置き換わっていく。

新デザインはルールが明確になった
ルフトハンザ ドイツ航空 日本・韓国支社長 兼 スイス インターナショナル エアラインズ 日本・韓国地区支社長 ドナルド・ブンケンブルク(Donald Bunkenburg)氏

 会見では、ルフトハンザ ドイツ航空 日本・韓国支社長のドナルド・ブンケンブルク(Donald Bunkenburg)氏が、2017年12月に航空産業の格付け会社であるSKYTRAX(スカイトラックス)からルフトハンザが「5スターエアライン」の認定を受けたことに触れ、「欧州で初めての5スターエアラインであり、非常に誇りに思っている」と喜びを表現した。

 現在、日本に対しては、羽田、成田、セントレア(中部)、関空(大阪)の4空港にルフトハンザ、スイス インターナショナル エアラインズの2ブランドで就航。5月16日からはオーストリア航空の成田~ウィーン線が週5便で再開するほか、ルフトハンザのセントレア~フランクフルト線が週2便追加で週5便となり、2018年夏期スケジュールはグループで週38便を運航する。キャパシティは昨対比で+19%になるという。

 また、ルフトハンザでプレミアムエコノミークラスの販売が好調であるという背景を受けて、再開するオーストリア航空もこの夏からプレエコを導入し、日本路線でも販売する。

ルフトハンザの概要。343の就航地、637の機材で1日あたり3000の離着陸を行なっている
グループ傘下にスイス インターナショナル エアラインズとオーストリア航空。ハブ空港以外の都市間はブリュッセル航空やLCCのユーロウイングスが結ぶ
2017年12月にSKYTRAXから5スターエアラインの認定を受けた

 機内Wi-Fi「FlyNet」の展開やスマートフォンアプリでの予約、リモワの電子タグへの対応など、同社がデジタル化を重要視していることは以前にもお伝えしているが(関連記事「ルフトハンザ 日本・韓国支社長 ブンケンブルク氏、日本市場の戦略やデジタライゼーションへの取り組みを説明」)、AR(拡張現実)やロボット(Pepper)の配備、チャットボットなどの導入を進め、2020年までに5億ユーロを投資すると説明した。

ANA(全日本空輸)との提携は5年目を迎えた
羽田、成田、セントレア(中部)、関空(大阪)の4空港に就航。5月16日からはオーストリア航空の成田~ウィーン線が再開する
オーストリア航空が夏からプレミアムエコノミークラスを導入する

 2017年12月に羽田~ミュンヘン間で運航を開始したエアバス A350-900型機については「評判のよい機材」と紹介し、CO2排出率25%削減、騒音50%削減、燃費25%改善という環境負荷の低さを挙げ、さらに「ある機長の話では、羽田~ミュンヘン間が以前のA340-600型機と比べて6割の燃料ですむ(40%削減できる)」というエピソードも披露した。

デジタライゼーション(デジタル化)を推進する
20205年までの機材計画。439億ドルかけて252機を投入する
羽田~ミュンヘン線に就航しているエアバス A350-900型機

 続いて、ルフトハンザ パッセンジャー エアラインズ 旅客体験デザイン・付帯サービス担当副社長のDr. ラインホルト・フーバー氏から、いかにしてアジア以外で初めて、そして欧州初の5スターエアラインとなったか、その取り組みが語られた。

ルフトハンザ パッセンジャー エアラインズ 旅客体験デザイン・付帯サービス担当副社長 Dr. ラインホルト・フーバー(Reinhold Huber)氏

 ルフトハンザは2013年の時点で4スターエアライン認定を受けていたが、5スターになるには何が必要か、同社からSKYTRAXにアプローチしたという。その結果、ファーストクラスシートは5スターだったが、ビジネスクラスとエコノミークラスでは4スター以下という状況であることが分かり、さまざまな分野で自らを強化していく必要があると方針を定めた。

 最初に取り組んだのは、長距離路線におけるビジネスクラスでの改善で、レストランのような体験を味わってもらうために、エアバス A380型機のモックアップを使って2万人のCA(客室乗務員)に新たなトレーニングを実施、直近の2年ではパーソナライズされたサービスを提供できるよう、取り組みを続けたという。シート自体も、2mのフルフラットベッドになる新しいビジネスクラスシートを、2年半かけて長距離路線へ7000席以上導入した。なお、同社は2020年以降にさらに新しいビジネスクラスシートを導入する予定がある(関連記事「ルフトハンザ、新ビジネスクラスを2020年のボーイング 777-9型機から導入。最長220cmのフルフラットベッドに」)。

 そして、同社がハブとしているフランクフルト空港とミュンヘン空港ではプレミアムクラス利用者向けに優先チェックインエリアを設け、また乗客の4人に3人は乗り継ぎをするという統計から、空港には全体で約20言語に対応できる人員を配置。困っている利用者がいないか積極的に探すようにしたという。もちろん日本語を話せるスタッフもいる。

 このほか、ラウンジの軽食と飲み物の改善、アメニティキットの改善、機内エンタテイメントの改善、全路線へ機内Wi-Fiの搭載を進めるなど、計12の項目にわたり改善を続けたことが、今回の5スター認定につながったと分析した。

5スターエアラインになるために足りない要素を洗い出した
真っ先に取り組んだのはビジネスクラスの改善
プレミアムクラス利用者向けの優先チェックインも整備
2年半かけて新しいビジネスクラスシートを7000席導入した

 会見後の質疑応答では、「羽田~ミュンヘン線に就航したばかりのA350-900型機を2018年夏にA340-600型機に入れ換えるのはなぜか」という指摘に対して、「人気のある機材なので、ほかのマーケットとも共有する必要がある」と世界的な機材繰りが理由であるとしたが、冬からは再び日本路線に投入するので待ってほしいと理解を求めた。