【イベントレポート】
【パリ航空ショー2017】エアバス、A350-1000型機を飛行展示&機内公開。JALが導入予定
欧州初のA321neo運航会社となるWOW airへの引き渡し式も実施
2017年6月26日 20:15
- 2017年6月19日~25日(現地時間) 開催
仏エアバスは、パリ航空ショー2017の期間中の6月22日に記者会見を開き、同ショーでの民間航空機の契約金額が約400億ドルとなったことを発表した。機数は単通路のナローボディ機が306機、双通路のワイドボディ機が20機の計326機で、うち確定受注が144機、覚書が182機。
エアバス COOのジョン・リーヒー(John Leahy)氏は会見のなかで、ボーイングの期間中の契約機数は622機だが、うち179機は他機種からの変更であることや、ボーイング 737 MAX 10の契約機数が326機と好調だが、これも158機は覚書に過ぎず、さらにそのうち125機は他機種からの変更なので、新たに確定受注をしたのは43機に過ぎないと説明。その差はあまり大きくないとした。また、受注残は6810機とボーイングを上まわり、過去最高の機数となっていることなどもアピールした。
A321neo型機をWOW airが受領。同型機にとって欧州初の運航会社
ナローボディでは、最大機数となる100機のエアバス A320neo型機を発注したGECAS(GE Capital Aviation Services)が代表的な契約で、このほかイラン航空系のツアー会社やエアアジア、デルタ航空などとの契約も発表があった。
また、パリ航空ショー2017期間中には欧州初のエアバス A321neo型機の運航会社となるアイスランドの航空会社であるWOW airへの引き渡し式も行なわれた。
WOW airはエアバス A321neo型機を2機発注しており、2機目は2018年第1四半期に納入される予定。2017年4月には180席仕様のエアバス A320neo型機も受領しており、全機をエアバス機で運航している。
WOW airへの引き渡し式には、エアバス COOのジョン・リーヒー氏のほか、CFM International CEOのガエル・メフィスト(Gaël Méheust)氏、WOW airへ同機をリースするAir Lease Corporation Executive Chairman of the BoardであるSteven F. Udvar-Házy(スティーブン・アドバー・ハージー)氏が参加。
リーヒー氏が「WOW airはA320neoを含む3機のA320、10機のA321-200、3機のA330-300を運航しているが、これをたった5年で立ち上げた(WOW air創業は2012年)。(会場の目の前にあった)A350-1000を使う日も来るのでは」と話すと、そのあとに挨拶したWOW air CEOのSkúli Mogensen(スクーリ・モーゲンセン)氏は「A321ぐらいまで値下げしてくれれば」と返して笑いを誘うなど、和やかな雰囲気で進行した。
WOW airが導入したA321neo型機は、モノクラスで218席。エアバス A321neo型機はエンジンをプラット&ホイットニーの「PW1100G-JM」か、CFM Internationalの「LEAP-1A」から選択できるが、WOW airは後者のLEAP-1Aを選択している。
LEAP-1シリーズはボーイング 737 MAXファミリーでも採用されているが、ボーイング 737 MAXのLEAP-1Bに比べ、エアバス A320neoで採用されているLEAP-1Aはファン径とバイアス比が大きい。同じシリーズのエンジンだが、より大きな推力を同等の燃費で実現できるのが特徴となっている。
エアバス A321neo型機のLEAP-1A搭載試験機を飛行展示
エアバスはパリ航空ショー2017でエアバス A321neo型機の地上展示と飛行展示を実施した。展示に使われたのは登録記号「D-AVXB」の機体で、同機はLEAP-1Aエンジンを搭載した初めての飛行試験機となる。
ワイドボディ機はエアバス A350-1000型機を展示
一方ワイドボディ機は、エチオピア航空が10機のA350-900型機、Zagros Airlinesが8機のA330neo型機、Hi Flyが2機のA330-200型機の計20機の契約を発表した。
会場では、カーボン塗装が施された飛行試験2号機(登録記号:F-WLXV)を展示した。A350-1000型機は、すでにいくつかの航空会社で運航しているA350-900型機に比べて約7m長く、標準仕様で40席増席した長胴型。エンジンはロールスロイスのTrent XWBファミリーで、A350-900型機で使用されているTrent XWB-84より推力の大きいTrent XWB-97を採用する。また、メインギアにも特徴があり、A350-900型機は2軸4個のタイヤを左右に装備しているのに対し、A350-1000型機は3軸6個のタイヤを装備する、ボーイング 777型機のような設計になった。
就航は2017年後半が予定されており、国内の航空会社ではJAL(日本航空)が13機を確定発注している。
エアバスのA350-1000型機は3機で飛行試験が行なわれており、今回展示されたのは2号機となる。ほかの2機は上述のエアバス A320neo飛行試験機のようなエアバスの青いハウスカラーのデザインであるのに対して、本機は垂直尾翼付近のデザインがカーボン調になっているのが特徴で、主翼後方の胴体には大きく「1000」の文字も描かれている。
機内はビジネスクラスと2種類のシートを使ったエコノミークラスの座席を装備しており、客室環境の試験にも利用される機体であることが分かる。エコノミークラスのシートは18インチ幅のもの。飛行試験機らしく、一部のシートにはセンサーが取り付けられ、客室でパイロットの様子や運航状況をモニターするための装置類も備わっていた。