ニュース

ソラシドエア、鹿児島県さつま町をPRするラッピング飛行機「ひっ翔べ!さつま号」を3月19日就航

鹿児島空港で就航式を実施

2016年3月19日 就航

「ひっ翔べ!さつま号」

 ソラシドエアと鹿児島県さつま町は3月19日、ソラシドエアの機体にさつま町をアピールするデカールを貼り付けたラッピング機「ひっ翔べ!さつま号」の運航を開始した。航空機の機体を地域PR、地域振興に活用する「空恋プロジェクト」の一環。同日、鹿児島空港の4番ゲート付近でソラシドエア、自治体関係者が参列して就航式が実施された。

 空恋プロジェクトは、ソラシドエアが運航している機体に、九州や沖縄の自治体、地域の名前が書かれたデカールを貼り付け、自治体のPRを実施。機内でも地域色のあるアイテムなどで地域それぞれのPRを展開する。現在、下記の4自治体・地域の機体が運航されている。

熊本県天草地域:「VISITあまくさ号」(JA806X)
宮崎県都城市:「肉と焼酎のふるさと 都城(みやこのじょう)号」(JA805X)
沖縄県:「プロ野球沖縄スプリングキャンプへGO!」(JA811X)
宮崎県:「日本のひなた宮崎号」(JA809X)

 3月19日に就航した「ひっ翔べ!さつま号」は、同プロジェクトにおいて17機目の活用となり、鹿児島県内の市町村としては、2013年7月1日~2014年10月22日に運航していた鹿児島県錦江町の「元気ファクトリー錦江町号」に続いて2例目。

 JA803X(登録記号)の機体を使用して、今後約1年間運航。さつま町のイメージキャラクター「さつまるちゃん」が描かれたデカールを、前方ドア脇と胴体の後方に貼り付けている。また、機内には観光PRや移住者向け情報が記載された情報誌をシートポケットに備えるほか、CA(客室乗務員)は制服に缶バッチを着用。機内サービス時のエプロンも、同じくさつまるちゃんが描かれたものを着用する。なお、情報誌については4月下旬に新しいものへとリニューアルする計画であるという。

「ひっ翔べ!さつま号」のデカール。ドア横は左側のみ、胴体のデカールは両側面に貼られる
鹿児島空港の4番搭乗口前で就航式を実施
ひっ翔べ!さつま号のCAが身に着けるエプロンと缶バッチ
搭乗客に配布された記念品。観光パンフレットやさつまるちゃんグッズなどが入っている
鹿児島県さつま町長 日髙政勝氏

 同機の初便となったSNA76便(鹿児島12時35分発~羽田14時10分着)の搭乗ゲートでは、就航式が実施され、鹿児島県さつま町長の日髙政勝氏、ソラシドエア代表取締役社長の髙橋洋氏がそれぞれ挨拶。

 さつま町長の日髙氏は、「司馬遼太郎の小説『翔ぶが如く』の序文にも出ている『泣こよっか、ひっ翔べ』(泣くより 飛んでしまえ)。鹿児島に古くから伝わるこの言葉は、勇猛果敢であったと言われる薩摩隼人、薩摩武士の気概があふれており、大きく挑戦し広く羽ばたいていきたい思いを「ひっ翔べ!」に込めている」と由来を紹介。

 加えて「鹿児島は薩摩国や薩摩藩と呼ばれていたこともあり、その名『さつま』を町名とするさつま町を、首都圏をはじめ全国に積極的にPRし、町の魅力を発信していきたい。機内においても、さつま町の地方創生総合戦略の柱でもある移住、定住に向けた取り組みの一つとして、Uターン、Iターン希望者向けの移住計画応援マガジンや、さつま町観光PRパンフレットを設置する。ご覧いただき、お持ち帰りいただければ幸い」と、ひっ翔べ!さつま号での取り組みを紹介した。

 同町については「川内川の中域に位置し、良質な温泉もあちこちに湧き、四季を通じて美味しい食材がたくさんある、食の宝庫。毎年5月中旬から下旬にかけて、川内川の両岸には数百万匹のゲンジボタルが乱舞し、その数は全国屈指と言われている。そのホタルを間近で鑑賞し、棹さし船で下るホタル船は、日常では味わえない幻想的な世界を体験できる。ぜひご乗船いただきたい」とアピールした。

株式会社ソラシドエア 代表取締役社長 髙橋洋氏

 ソラシドエアの髙橋社長は、「私どもは責任をもって、この1年間、プロジェクトを成功させなければならない。町長をはじめとするさつま町の皆様が主役で、私どもエアラインは一緒になって鹿児島県が誇る素晴らしい町の魅力を、全国にPRしていく。これから船というか、飛行機をこぎ出す記念すべき日になる」と挨拶。

 ひっ翔べ!さつま号の就航については、「1年間飛行機を運航すると、九州、沖縄に偏ってはいるが全国10の空港に離着陸して、年間おそらく30万人ぐらいの方がひっ翔べ!さつま号にお乗りになる。乗られた方がさつま町が作られたパンフレットをご覧になって、“こういう面白い町があるんだ、ぜひ行ってみたい”となるよう魅力を発信して、1人でも多くの方に足を運んでいただき、かつ気に入ったら住んでいただくことができれば素晴らしいことだと思う。また、飛行機に乗るだけでなく、少し派手なデカールを貼るので、それを各空港でご覧になる、直接お乗りになる何倍もの方が、さつま町、ひっ翔べ!さつま号という名前をご覧になるので、それを通じて地域の魅力をさらに浸透させられればと思っている」と意欲を見せた。

 また、17番目のプロジェクトとなる空恋については、「これまでいろいろな地域が、それぞれ趣向を凝らして地域の魅力を発信するべく頑張っていただいているが、お互いにほかの町のよい知恵を盗んで、活かして、我が町をもっとよくするという、お互いに切磋琢磨して知恵を競い合うところに素晴らしさがあると思っている。さつま町におかれても、ほかの市町村に“さつま町のようにうまくやりたい”と言われるような知恵を出して、自らが主役になってほしい」と期待を寄せた。

 加えて、髙橋社長は就航式後の囲み取材で、「(空恋について)過去の17回の事例をやる前後でお客さまに聞くと、そういう町があったな、そういう町があるらしいから行ってみたいというお客さまが増えている。具体的な数字で測るのは難しいが、効果は着実にあったと思っている。なによりも、それに刺激を受けて、うちの町もやりたい、ソラシドエアというローカルに視点を置いたエアラインがあるのでそこと一緒に協力してやりたいという市町村が確実に増えているので、これが大きな効果だと思う。我々ローカルエアラインとしても、地元の市町村の方に、一緒に協力できる、地域のために汗をかくエアラインだと思っていただくことは重要なので、我々がローカルエアラインとしての特徴を前面に出していく素晴らしい手段だと思っている」と、空恋プロジェクトの同社にとってのメリットにも言及した。

 両名の挨拶後には参列者一同によるテープカットが行なわれ、その後、さつまるちゃんとさつま町 商工観光課 観光係 主任 下麦大志氏による観光PRを実施。さつまるちゃんは、いわゆる“しゃべるキャラクター”で、「これから1年間、僕の飛行機が全国を飛びまわって、鹿児島県そしてさつま町をじゃんじゃん宣伝しますので、みなさんも今日をきっかけに、僕の飛行機に2回、3回とぜひ乗ってくださいねー。僕はさつま町のいいところをてんこ盛りにしたホタルの妖精。さつま町にはホタルを間近に見られるイベントがあるんだよね、下麦さん」と、下麦氏に説明を促した。

 下麦氏は、「さつま町には川内川という大きな川が流れている。毎年5月から6月上旬にかけて、両岸に数多くのホタルが乱舞するが、この両岸に舞うホタルを船に乗って見られるのは九州ではさつま町だけ。日高町長からも話があったが、5月から運航開始になって、ゴールデンウィーク明けから予約開始になる。予約をしていただかないと乗れないので、ぜひ予約をして乗ってほしい」とアピールした。

テープカットとフォトセッション。列席者は、国土交通省鹿児島空港事務所 空港長 森本園子氏、鹿児島空港ビルディング株式会社 常務取締役 石澤一典氏、鹿児島県企画部 交通政策課長 仲澤純氏、鹿児島県観光交流局観光課長 五田嘉博氏、鹿児島県北薩地域振興局 総務企画課長 貴島誠氏、株式会社ソラシドエア 代表取締役社長 髙橋洋氏、株式会社ソラシドエア 専務取締役 鈴木信行氏、鹿児島県さつま町 町長 日髙政勝氏、鹿児島県さつま町 副町長 紺屋一幸氏
さつま町の観光PRをするさつまるちゃんと、さつま町 商工観光課 観光係 主任 下麦大志氏

 その後、SNA76便への搭乗がスタート。搭乗ゲート前にはさつま町、ソラシドエア両関係者が並び、搭乗客へ記念品を配布した。

 乗客の搭乗を終えたSNA76便は、定刻よりやや遅れた12時48分にスポットを離れ、34滑走路から13時ちょうどに離陸。展望デッキから関係者が見送るなか、158名を乗せて羽田空港へ向けて飛び立っていった。

さつま町、ソラシドエアの両関係者が搭乗記念品を配布
記念の旗も用意され、関係者一同が展望デッキから見送った

(編集部:多和田新也)