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東上線エリアの“渡し船”が意匠のルーツ? 隠れデザイン盛りだくさん、東武の新造車両90000系を見てきた
ゆくゆくは有楽町線・副都心線直通に投入
2026年7月14日 06:00
- 2026年7月13日 公開
東武鉄道は7月13日、東上線の新型車両90000系を報道公開した。東上線の新造車導入は、2007年に運行を開始した50070系以来。
2025年3月26日に導入を発表していたもので、有楽町線・副都心線直通系統で使われている9000系の後継車となる。9月26日に営業運転を開始する予定だ。
東上線のみならず、新木場や横浜にも姿を見せる
90000系は有楽町線・副都心線直通系統に入る車両のため、副都心線の先にある東急の東横線と新横浜線、横浜高速鉄道のみなとみらい線まで乗り入れる想定となっている。ただし当初は、自社線内での運行からスタートする。地下鉄への直通運転を開始する時期はまだ公にしていない。
他社線との相互直通運転で使われる車両はみんなそうだが、単に相互直通運転に適合する車両を造るというだけでなく、「他社線内における自社の顔」という性質も帯びる。
複数社の多種多様な車両が行き交うのは、相互直通運転を実施している路線の特徴だ。そこで「あっ、東武の新型車だ」と気付いてもらうことには無視できない意味がある。
ただし、車両の寸法や扉の位置、走行性能など、相互直通運転を行なう各社で統一しておかなければならない要素はいろいろある。そこで特徴を出すのは現実的ではないし、乗客がストレートに違いを感じられる部分でもない。
やはり、乗客から見てすぐに分かるのは、内外装の意匠や設備類の使い勝手といったところ。目に見えないところでは、乗り心地や静粛性、空調の効きといった話も出てくる。
デザインコンセプトは「渡し船」
90000系のエクステリアやインテリアの意匠設計については「東武グループが目指す『人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会』の実現を念頭にした」と説明されている。
そのうえで「東上線エリアにおける人や物流のルーツが、荒川や新河岸川の『舟運』にあることに着目して、『地域と人と未来をつなぐ、わたし舟』をコンセプトにした」とのこと。では、そのコンセプトはどのような形で現車に反映されたのか。
例えば、先頭部は下部から反り上がるように丸みを持たせた逆スラント形状、つまり上方が前方にせり出した形になっている。後方に向けて傾斜させる「スラント形態」はポピュラーだが、逆はめずらしい。これについて東武鉄道では「高瀬舟の船底から着想した」と説明している。
運行・検修サイドにとっての新型車両の意味
「何を当たり前のことを」といわれそうだが、電車は電力会社から買ってきた電力で走る。だから、電車の省エネ性能を向上させると、動力費の低減につながる。
90000系では、フルSiC(炭化珪素)化した可変電圧・可変周波数(VVVF)インバータで高効率の誘導電動機を駆動する主回路システムを採用、さらに車内照明のLED化などといった施策を取り入れている。これにより、消費電力は9000系と比べて40%以上の削減になるとしている。
走行用の誘導電動機は、9000系が使用している直流電動機と比べると構造がシンプルで、保守の負担が少ない。東武鉄道に限ったことではないが、新型車両の導入には、そういう意味もある。
そして、90000系の設計に際しては「デザイン性とメンテナンス性の両立」が図られた。見栄えだけでメンテナンスに手がかかるのも、メンテナンスのことばかり考えて殺風景になってしまうのも好ましくはない。どれだけ高いレベルで両者のバランスをとるかが勝負である。
また、古くなった機器は故障しやすくなるし、スペアパーツの入手性もわるくなる。新型車両の新製導入によって信頼性の向上につなげることができれば、安定運行の一助にもなる。
90000系の導入計画は?
では、この90000系は今後、どこまで増えるのか。冒頭でも書いたように、まず9000系の代替として10両編成7本・70両を導入するが、そのあとも増備が続く。
2025年度第2四半期の決算説明資料において、10000系・30000系の代替としても90000系を導入する方針が示された。また、第206期有価証券報告書では「設備の新設、除却等の計画」として、9000系の代替車両新造を2023年4月~2029年3月にかけて、10000系・30000系の代替車両新造を2026年4月~2032年3月にかけて実施するとしている。
現時点で90000系・9050型が10連×9編成、10000系が10連×3編成、10030型が10連×12編成、30000系が10連×15編成ある。これらがいずれ、90000系で置き換えられるということだろう。
10000系・30000系は地下鉄に乗り入れるわけではない。しかし、地上線も含めて車種の統一が進めば、運用の面でも保守の面でも合理的になる。例えば、事故や故障で使えない車両が出たときに代車の手配が容易になるし、予備品の整理統合も期待できる。
なお、50000系10連×7編成、50070系10連×7編成、50090系10連×6編成は運用を継続する。すると将来的に、50000系の一族と90000系が「東上線の顔」になるわけだ。















































