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「平日昼ガラガラ」対策なるか? タイムアウトマーケット、起死回生の新店2店。今後も占う

「天命」のラーメン

 幅が狭く横長で、足がつかないほど高い「ハイスツール席」が200席以上もあるのに、11時の開店から1時間以上も誰も座らない。そんなフードホール「タイムアウトマーケット大阪」(大阪府大阪市北区大深町5-54)の閑散とした様子が、SNSで「廃墟」と呼ばれるほどに話題となった。

 最大の理由は「半分近い店舗の撤退」だ。17店舗中7店が、開業から1年が経過した2026年3月に閉店してしまったため、スペースによっては店舗自体がほとんどない状態に。複合施設「グラングリーン大阪」ならびに、JR大阪駅・地下ホーム直結という絶好の立地であるにもかかわらず、店がないので何も食べずに出てしまう……といった状況が発生してしまったのだ。

17店中7店が退店。空白のまま残っているスペース

 ただ関係者によると、客足の減少は昨年末や年明けから始まっていたという。主な価格帯が2000円以上、商品によっては1万円という、フードコートとしてはかなり強気な設定にも要因があったことは確かだ。

「店が少なく、選べない」「そもそも価格が高い」といった理由で客が訪れず、SNSで廃墟と呼ばれるようになった。しかし、タイムアウトマーケットもこのままでは引き下がれない。

 まずは、新店として5月1日にラーメン店「TEN-MEI(天命)」、8日にイギリス料理「FURAI GUYS」がオープン。前者が「人気ラーメンチェーン店の斬新な新業態」、後者が「大阪・関西万博のあの人気レストラン」とあって、オープン初日から爆発的な人気を呼んだようだ。

 まず、今後のタイムアウトマーケットを変えるかもしれない、話題の2店の看板メニューを、しっかりと自腹で食べたうえでレビューする。そのうえで、最近ではないほどににぎわっていたという、GW中の様子をお伝えしていこう。

人気ラーメン店「人類みな麺類」×日本酒ペアリング!

「天命」店舗
店先にズラリと並んだ日本酒

 5月1日にオープンした「天命」は、GW期間中にはずっと行列が絶えなかったようで、実際に筆者が訪れた5月4日・6日も20人~30人程度の行列が続いていた。どの店舗も行列必至の「人類みな麺類」が新業態に挑戦したとあって、オープン前から話題にのぼることも多く、閑散としていたタイムアウトマーケットに、久々に劇的な活気をもたらしていたようだ。

 さっそく注文してみよう。この天命の最大の特徴は、日本酒ペアリングの第一人者として知られる“酒ソムリエ”赤星慶太氏とタッグを組んだ「日本酒+ラーメン」という試みだ。

 選べるラーメンは、「CLEAR(鰹+醤油)」「RICH(帆立+淡口醤油)」「DARK(ニンニク+濃口醤油)「LIGHT(帆立+泡口醤油)」の4種類。ラーメン単品でも注文できるが、ペアリングセットの場合は3種類の日本酒が小さなグラスに注がれ、指定された順序ごとに呑みつつ、ラーメンを食べ進める。

天命の「RICH」と、日本酒ペアリングのセット
ラーメンとの相性や、楽しみ方も公表されている

 頼んでみたラーメン「RICH」セットとともにペアリングされた日本酒は以下のとおり。いずれも、香川県の地酒「綾菊」からのラインアップだ。

1本目:綾菊 さぬきオリーブ11 純米
2本目:綾菊 純米
3本目:綾菊 柚子

 帆立風味のクリーミーなスープを味わいつつ、オリーブの風味が軽くて華やかな「さぬきオリーブ」を呑むと、まずは柔らかい風味が寄り添う。そこに、香川県産の「オオセト」の風味が活きた「純米」を呑めば、かなり強めでキリッとした風味がプラスされ、ラーメンの味わいも、心なしか力強く感じるようになる。そして、最後の〆には、リキュール類が得意な綾鷹ならではの柚子酒で締める、といった具合の楽しみ方だ。

 これまで単独で味わっていたラーメンとともに3種類の日本酒を味わうことで、まるで物語のような「起承転結」を味わえる、奥行きが深い楽しみ方ができるようになった印象だ。

 ほかのセットも、福井県の「一本義久保本店」、島根県「千代むすび酒造」などの地酒がペアリングされる。もちろんラーメン・チャーシュー丼だけでも十分に満足できるが、赤星氏がペアリングした「ラーメン+日本酒」の世界を、まずは全種類味わっておきたい。

タイムアウトマーケットの「高すぎ」問題、ラーメンで解決?

天命にできた行列
天命のメニュー

 天命のもうひとつの人気の秘密は、その価格設定にある。4種類のラーメン1杯が750円からと、タイムアウトマーケットのなかでも、しっかり最安値をキープしているのだ。

 これまでタイムアウトマーケットで提供されてきたメニューは、「シャトーブリアンサンド」(1万円)や「プレミアムビフカツカリー」(3800円)など、それなりに高額な商品ばかり。「かけうどん」(850円、情熱うどん讃州)しかなかった1000円以下の選択肢に、天命のラーメンが加わったのだ。

 グラングリーン大阪の飲食店は、だいたい何を頼んでも1000円以上、なかには数千円の天ぷら・うなぎ店なども盛業中。そんなラインアップのなかで「有名店のラーメン一杯750円」という価格設定は、もはや驚異でしかない。かつ、丼からはみ出すレアチャーシューが3枚も入った「FULL」(1250円~1350円)も、ここが大阪駅・梅田エリアとは思えないおトク感がある逸品だ。

万博の「あのイギリス料理店」が出店!

新店「FURAI GUYS」初日の様子
フィッシュ&チップス(1800円)

 5月8日にオープンしたイギリス料理店「FURAI GUYS」は、2025年に開催された大阪・関西万博で、「EXPO英国館」(イギリス館)のレストランを運営していた「Living Hospitality」による出店だという。

 万博会場で提供していた「フィッシュ&チップス」などのイギリス料理を、開催当時のように1時間、2時間単位で待つこともなく味わうことができる。サクっと揚げたての白身魚のフライと大ぶりのポテトに、グリーンピースなどのディップをつけて、ホクホクのまま味わえる、この幸せ!

 またカリフラワーなどの野菜を、ターメリックとマスタードをしっかり効かせた酢に漬け込んだ「ピッカリリ」(ピクルス)も味わっておきたい。店内のメニューではスコッチエッグなどと組み合わせて提供されているだけでなく、今後は瓶での販売も準備しているという。

「FURAI GUYS」左がフィッシュケーキ、右がスコッチエッグ・ピッカリリ添え

 このFURAI GUYSに期待されるのは、「万博グルメファンの呼び込み」。開催期間中は会場内のレストラン・フードコートに通い詰めていた人々も、閉幕とともに「また食べたい!」とばかりに、当時のメニューを思い出す人々が増えてきた。いま関西では、当時のレストランを集めたフードイベントが次々と開催されており、軒並み反響がよいようだ。

 FURAI GUYSは当時のレストランで働いていた人々も多いようで、なかには当時の関係者入構証を着用している方も。初日から開店の情報を聞きつけた万博フリークの人々が絶えず、InstagramなどSNSでも高頻度で「イギリス館のレストランが帰ってきた!」と拡散されていたのが印象深い。

 なお、このあと6月8日には、タイ館のレストランを運営していた「クンテープ」も入店する。客足が伸び悩むタイムアウトマーケットの救世主として、このあとも万博グルメがテナント入居するのか、その行方を楽しみに見守りたい。

「目の前の公園にケミストリー」GWが大にぎわいだったワケ

休日の「うめきた広場」は、家族連れでにぎわう
GW期間中・13時ごろのタイムアウトマーケット。このエリアに人が座っているだけ、以前より客足がある
4月時点の平日12時前後。本当に誰も座っていない

 さて、この2店の加入で、タイムアウトマーケットはオープン当初の勢いを取り戻すことができるのか?

 タイムアウトマーケットは、少なくともGW中にはそうとうににぎわっていた。とはいっても800席に常時200人~300人といった状態ではあるが、実際には1卓で20人程度は座れる「ハイスツール席」や、背もたれのない椅子席の島状テーブルでキャパシティを稼いでいるため、体感としてはフードホール内で半分以上の座席が埋まっているように感じた。

 にぎわいの最大の要因としては、グラングリーン大阪近辺の集客力だろう。特に、タイムアウトマーケット至近距離にある「うめきた公園」の野外ステージでは、ケミストリーやNovelbrightなどが出演する野外フェス「MIDORI FES. 2026」が開催され、1日に軽く1万人以上の動員があったようで、そのあとに立ち寄った方が多かったようだ、

 ただ、この会場からタイムアウトマーケットは階段を下りてすぐなので、本来ならライブ終わりに、もっと多くの人々が訪れるはずだ。なお、タイムアウトマーケットに隣接する寿司店・神戸牛のレストラン・ベーカリーなどは相応に満席となっていたため、まだ「ほかに比べて集客できていない」状況に、変わりはなさそうだ。

 一方でタイムアウトマーケットも、漫才やDJパフォーマンス・ライブをステージで開催し、足を止める人々も多くいた。一時的に来客が増加したことで、普段はほとんど誰も座らないハイスツール席(ロングテーブル)約200席中、常時10人~30人程度が着席している様子が見て取れた。

 数十席ある手前側のボックス席はよく満席となっていたが、このエリアで数人の来客を見かけること自体、ここ半年ではめずらしい光景であった。また、テレビ各社で「タイムアウトマーケットは客足が少ない」「まるで廃墟」と報じられたことで話題となり、様子見で来店した人々もいたようだ。

さらに万博関連の新店。今後の「タイムアウト」どうなる?

「肉といえば松田」和牛フィレカツサンド

 その後を観察した限りでは、GWが終了した5月7日以降は、以前よりにぎわっているとはいえ、まだまだ寂しい客足が続いている。

 今後のタイムアウトマーケットは、価格を抑えたお得なランチを5月11日から開始するという。これまでのランチが1500円~2000円以上であったのが、さらにおトクになる模様で、「高価格過ぎて頼める商品がない」と嘆いていたサラリーマンには朗報だろう。もちろん、1000円以下でも頼める天命のラーメンは、引き続きタイムアウトマーケットの戦力となるはずだ。

 プレスリリースによると、タイムアウトマーケットは「日常使いできるフードマーケットとしても進化を続けます」と、その決意を語っている。SNSで廃墟と呼ばれてしまったフードコートが、どこまで盛り返せるか。

 つい先日だが、開業1年少々でようやく公式X(@timeoutosaka_jp)を開設。Instagramなどへの広告出稿なども、かなり頻繁に見るようになった。今後の「新ランチ」「万博グルメ」「さらなる新店」がどこまで集客力を発揮できるか、見守っていきたい。