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グランパスが「瑞穂スタジアム」に帰ってきた! 使い勝手・スタジアムグルメを豊田と瑞穂で比較検証
2026年4月21日 16:00
6年ぶりに、グランパスが聖地・瑞穂に帰ってきた。
4月19日、「名古屋市瑞穂公園陸上競技場」(パロマ瑞穂スタジアム)で、6年ぶりにJリーグ公式戦が開催された。スタジアムは建替・改装による6年間の休業を経て復活したばかりで、1993年からこの地を本拠地としてきた名古屋グランパスエイトにとっては「6年ぶりの瑞穂帰還」となる。
改装中の6年間は、20km以上も東に離れた「豊田スタジアム」で主催公式戦(ホームゲーム)を開催していた。瑞穂スタジアムの開業後も、現時点で2試合の豊田開催を予定している。
建て替えによって全面的に生まれ変わった瑞穂スタジアムは、旧・瑞穂スタジアムや豊田スタジアムと比べて、どう違うのか。Jリーグクラブの本拠地スタジアム57か所(65クラブ中・重複あり)で観戦した筆者が実際に「パロマ瑞穂スタジアム」へ足を運び、こけら落しの初戦となった名古屋グランパスエイト vs. アビスパ福岡を観戦したうえで、いろいろと比較してみた。
新・瑞穂スタジアムはここがスゴイ!
相変わらずの「アクセス抜群」!
瑞穂スタジアムの開業で、もっともメリットがあるのは「アクセス面」だろう。
これまでの本拠地・豊田スタジアムは、名古屋市の市街地から地下鉄・名鉄豊田線で50分以上もかけて、豊田市駅まで足を運ぶ必要があった。これが瑞穂スタジアムなら、「名古屋駅」「栄」「金山」エリアから、10分~20分少々で最寄駅(名城線 新瑞橋駅、名城線 瑞穂運動場東駅、桜通線 瑞穂運動場西駅)に到達できる。
かつ、豊田スタジアムのようにシャトルバスに乗車する必要もなく、すべて駅からの徒歩圏内。アクセスの便利さで言えば、新幹線駅やターミナル駅に近い「日産スタジアム」(横浜F・マリノス)、「エディオンピースウイング広島」(サンフレッチェ広島)といった本拠地スタジアムに匹敵するだろう。
座席は「意外と見やすい」!
瑞穂スタジアムは改装によって、2020年の時点で約2.7万人だった定員が、3万人に増加した。座席増の分、「座席ツメツメで急角度なのでは?」と思いがちだが、実際に座った限り……ちょっと意見が分かれそうだ。
豊田スタジアムは約4.4万人以上を収容できるが、建築面積で比べると豊田の4万734m2に対し、瑞穂は約2万8600m2と、スタンドを建てられる広さがまったく違う。やや狭苦しいが、やむを得ない部分だろう。
座席エリアの傾斜角で見ると、豊田は最大38度、瑞穂は最大35度。瑞穂の方が緩めに見えるが、バックスタンドで移動してみた限り、上段に上がる際の急角度も、だいたい同程度に感じる。
瑞穂スタジアムは陸上競技場と併設でもあり、観客とピッチの間に陸上のトラックがあるため、一般的には「選手との距離が遠く、見辛い」と言われるスタイルだ。一方、豊田スタジアムはサッカー専用なので、陸上トラックはない。ただ、観客席が少し高い位置にあるうえ、トラックがグランパスのカラーで統一されているためか、パッと見た限りそこまで気にならなかった。
豊田と瑞穂、違いはやはり「座席のツメツメ具合」だ。瑞穂の座席は前後の幅が狭いだけでなく、違った階段を上った場合にヨコ移動できる経路がほとんど見当たらなかった。豊田はその分、ヨコへの移動経路がある程度確保されている。
つまり、瑞穂では間違った階段を上ってしまうと、いったん降りてまた上り直すしかない。そんなストレスはあった。ただ座席自体は、狭いもののドリンクホルダーもあり、おおむね快適と言っていいだろう。
なお、コンコースはしっかり広く、バリアフリートイレやベビーカー置き場などは充実していた。今どきのサッカースタジアムとしては、「席が狭くて、近くの通路までの移動すら困難」状態であること以外は、十分に及第点だ。
公園丸ごとスタグルエリア! 課題は「場内グルメ」「生しらす丼」
外に出て、スタジアムグルメを比べてみよう。
豊田スタジアムでは、正面玄関前の公園スペースに多くの店舗が集積し、外周を取り囲むように多くの店が出展していた。一方で、瑞穂スタジアムの場合は、西側を流れる山崎川を挟んだ公園にほとんどの店舗が出店。状況としては「豊田は外周ぐるり」「瑞穂は川のあたりにギュッ」だ。
看板メニューも、「グランパスバーガー」「炙り牛たたき丼」「暴れん坊チキン」などの常連店舗は出店していたが、ファンの多い「南知多の生しらす丼」がいない! なんとか、グランパスサイドから出店を再要請していただきたいものだ。
また、少し寂しく感じたのが「場内スタグルの少なさ」。入場後のスタジアム内には「グラン巻き」(知立名物・大あん巻きのグランパス版)などの店舗が健在であったものの、ほかは「グランパスベビーカステラ」以外の品ぞろえが変わり映えしない。もう少しメニューのバリエーションが欲しいものだ。
なお、スタジアム外側の公園は十分に木陰もあり、子供が転んでも痛くない「ゴムチップ舗装」のような施工も施されていた。家族連れでサッカー観戦に瑞穂を訪れて、絶品のスタグルを味わってから、子供の外遊びに付き合う……。そんな環境になれば、瑞穂は及第点を越える抜群の環境だ。
入場待ち環境、大きく改善!
新しい瑞穂スタジアムで、豊田スタジアムより目に見えて増加したのは「日陰」と「休憩場所」だ。
瑞穂は多層建ての各階につながるテラスを新設した分、その下がしっかり涼める空間に変わっている。さっそくビニールシートを持ち込んで開場時間を待つ人々も多く、これから暑くなるサッカー観戦にはありがたい。
また、メインスタンド側に新設した屋内ラウンジは「ファンクラブ会員でなくても無料利用可」とのこと。椅子と机だけでなく、コンセントが設置されているのもありがたい(ただし席数わずか。争奪戦必至!)。その横には広々とした公式グッズショップもあり、しっかりと涼を取りながら過ごせる環境が整っているようだ。
瑞穂スタジアムと豊田スタジアム、いろいろと比べてみたが、「アクセスなら比べるまでもなく瑞穂、座席への移動のしやすさなら豊田、ほかはどちらも許容範囲」といったところだろうか。
瑞穂スタジアムは、9月~10月に2026年アジア競技大会の会場として使用されるため、このあともグランパスが豊田スタジアムを使用する機会はあるだろう。そもそも、豊田で試合を行なっていた2025年のホーム平均観客動員数は「3万2263人」であり、最大でも3万人規模の瑞穂ばかりで開催し続けるわけにもいかない。
ストイコビッチ氏の登場に涙する観客も
新しい瑞穂スタジアムの再開業・初戦は、グランパスにとっても特別な意味を持つ。
この日はチケット完売・満員御礼、2万8924人の観客でスタジアムが埋め尽くされた。試合前のセレモニーのメインゲストとして、選手・監督として長らくグランパスに貢献したドラガン・ストイコビッチ氏が登場した瞬間に、スタジアムの空気が一変したのは印象的であった。
Jリーグ創成期の1994年に来日した氏は、同時期に監督であったアーセン・ベンゲル氏(のちのアーセナル監督)とともに、弱小であったグランパスを強豪に引き上げたレジェンドでもある。いまもネット上で有名な「革靴ロングシュート→退場」事件(説明すると長いので省略)を引き起こした張本人とあって、前日には革靴での見事なリフティングを披露していた(御年61歳!)。
スピーチでは旧・瑞穂スタジアムを回顧しながら、いまのグランパスに「Never give up!」とエールを送った。会場をゆっくりと一周して退場する際には、客席から現役当時さながらの「ピクシー! ア・レ!」のコールが何度も何度も送られ、筆者まわりでは感極まるサポーターも……。この日の瑞穂スタジアムは、グランパスのサポーターのみならず、日本のサッカーファンとして「立ち合えてよかった」と思わせる、まさに歴史的な空間だったと言ってよい。
































