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フルフラットシートの夜行高速バス「フラットン」新車両お披露目。実際に首都高を寝ながら乗ってみた。その寝心地は?
2026年3月25日 12:30
- 2026年3月19日 公開
高知駅前観光は、オリジナルのバス専用フルフラットシート「ソメイユプロフォン(Sommeil Profond)」を開発、フルフラット夜行高速バス「FLATON -フラットン-」として運行している。
2025年3月からモニター運行を開始、2026年1月には東京~高知間で定期運行を開始している。モニター運行でのアンケートからフィードバックを受けて寝心地や車内設備を改善、2026年4月1日から週4便に増便する。この改良型の最新車両が公開され、試乗会に参加してきたので紹介しよう。
ソメイユプロフォンとはフランス語で「熟睡」を意味していて、2段1組のユニット式フルフラットシートが基本構成となっている。国土交通省の「安全指針」ガイドラインに準拠しており、衝突時に頭や首を守る観点から座席は前向きに配置し、足元部分を転落防止プレートや衝撃吸収部材などで覆い、頭部と側面部分は保護部材を設置して安全性を確保している。
前後の着座シートにも変形させることができるが、基本的にフルフラット状態で運行される。このユニットを12台設置し、定員24名乗車にて運行する夜行バスが、今回紹介するフラットンだ。
運行ルートは、バスターミナル東京八重洲~海老名S(15分休憩)A~淡路島南PA(10分休憩)~高速鳴門バスストップ~高知駅バスターミナル間となっていて、下りは東京を21時30分発で高知に7時50分着、上りは高知を19時40分発で東京に7時着になる。4月からの運行日は、下り東京発が月・金・土・日曜で、上り高知発が木・金・土・日曜の週4往復。
運賃に関しては、3月運行分までは、上段と下段それぞれ異なる運賃に固定額を追加していたが、4月運行分から上段・下段統一の運賃に変動制運賃を加えた額に変更する。需要に応じた変動運賃になっていて、おおよそ1万7000円が基準になる。
4月の料金を検索してみたところ、平日はこの基準よりかなり安かった。横になって寝られることを考慮すると、お手頃感がある。一般的な3列シートの定員は28名~29名、フラットンの定員は24名なので、その差はわずか。広く普及してくると、3列シートよりやや高いくらいの運賃で、各地への深夜移動が実現できそうだ。
全席指定となっていて、予約は「発車オ~ライネット」限定で取り扱っている。なお、一般的な4列シートの「スマイルライナー」も販売しているので、予約時の選択で間違えないようにしてほしい。電話や窓口での販売はない。
実際に寝ながら乗ってみた
東京駅から羽田空港までの短い区間だが、実際に首都高速道路を含めて試乗することができた。
バスに乗り込むと靴箱が用意されていて、車内は土足厳禁になっている。歩くと床はフワフワとしていて当たりが柔らかく調整されている。おそらく騒音軽減の効果もあるだろう。通路幅はとても狭く行き違いはできない。通路は左右2本あり、その間は最前列と最後尾でしか渡れないので、通路に入るときにシート番号をよく確認した方がいいだろう。
今回の試乗は、左窓側で車両のほぼ中央あたりの上段シートになった。上段にはハシゴで上がって乗り込むというか、頭から滑り込むのだが、ここは慣れないと少しだけ躊躇する。当然だがカプセルホテルよりも狭い。長さ180cmで幅が45cm、上部空間は51~73cmあり、以前のモデルよりも4~5cm拡大している。前方シートにいくにつれ上部空間が広くなっていくので、身体の大きな人はなるべく前方を予約するといい。筆者は身長178cmで体重60kgなのだが、入って寝転がってしまえば想像しているより快適な空間だ。
枕とブランケットを用意していて、走行中は腰部分にシートベルトを着用した状態で寝転がる。上体を軽く起こしたり、足を折り曲げたりすることは十分できる。上半身は厚手の仕切りカーテンで隠れ、隣を気にする必要がない。
鞄を置くスペースや小物入れなどが工夫されていて、道中に不自由はなさそうだ。足元の上部には簡易的なバッグ入れになる収納ネットがぶら下がっていて、実際に結構重量のあるカメラバッグ(30×18×47cm、16L)を入れることになったのだが、特に問題なく収納できた。一般的な手提げバックやザックなどは、ここにぶら下げることができる。また頭上付近にも棚があり、ポーチなど小さめのバックならここに置けて、寝転がりながらもアクセスすることもできる。
これ以外のスーツケースなど大型荷物は、トランクに預けることになる。寝転がった胸の上辺りには、USB Type-Aの充電ポートを1つ用意していて、エアコンの吹き出し口もこの辺りにある。また、車内では無料でWi-Fiも利用できる。
発車して動き出すと、寝転がった上体で見る窓からの街の景色が新鮮だ。上段ということもあるが、自動車よりもかなり上から見る位置なっていて、かつ空を見上げる視線になり、見晴らしが抜群によいのだ。首都高が渋滞して詰まっていても、遠くの風景が見えていて楽しめる。このまま乗って高知まで行ってみたい気持ちになる。下段は窓が狭いので、見晴らし重視なら上段を選択してほしい。とにかく爆睡したい人は中央列がいいだろう。中央列は左右どちらの通路にもアクセスできるメリットもある。
寝ているので微振動や段差の衝撃は感じやすいが、そこは大型観光バスなのでショックは緩やかだ。ただ、ブレーキング時に前方(足の方)へずれていく感覚はどうしてもある。旋回時には横Gの違和感があるかなと想像していたのだが、その点は問題は感じなかった。
こういった不規則な揺れが、横になっていることもあわせて眠気を思いっきり誘発するのは確かだ。個人的には、これなら十分に爆睡できると確信した。後席を気にしてリクライニングを躊躇することもなく、常に寝転がってリラックスできるのはポイントが高い。
試乗会後には、高知駅前観光 代表取締役社長の梅原章利氏が解説を加えた。
4列シートの夜行バスに長時間乗車した経験があれば分かってもらえると思うが、安く移動できる半面、とても疲れる。梅原氏は、「長距離移動でも疲れずに足を伸ばして眠れることを目指して、どこも製作に二の足を踏んだため、自社で開発した。計画段階から10年かかっている」と話す。それがユニット式フルフラットシートのソメイユプロフォンで、地元高知の企業が連携して作った“メイドイン高知”であることも特徴だ。
モニター車両よりシートが拡張され、カーテンやユーティリティ関連も追加している。ベース車両を三菱ふそう「エアロエース」へ変更したことと、ユニットのフレームでキシミ音の対策を行なうなどをして、以前よりもかなり振動が静かになったと感じられるとのこと。これらの地道な改良により、快適性がアップしているようだ。
梅原氏は「モニター車両運行時のアンケートでは、満足度を高いとした割合は8割以上もあった。終点到着時にあまりの熟睡ぶりに、なかなか起きてくれないことが運転手の悩みになるほど眠りやすいようだ。リピーターになる方も多くいる」とも述べており、バスで横になった状態で移動するということと、見た目の狭さに最初はとまどうが、実際に乗ってみると意外にも眠りやすいという感想が多いという。
今回体験してみて、それは強く感じた。「フラットンは、まず最初にハイデッカーに24席というユニットを最大に詰め込んだ状態でどうなるかを見せたかった。より高さのあるスーパーハイデッカーにすると、高さ方向にもう少し余裕ができる。今後、ほかにもさまざまなバリエーションが考えられる。ソメイユプロフォンを他社に提供するのはいつでもウェルカム」とのこと。今後の展開も楽しみだ。



























































