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ワイキキのDFSが63年の歴史に幕。ハワイ市場から完全撤退へ
2026年1月11日 08:00
ハワイ、なかでもワイキキの象徴でもある免税店「Tギャラリア by DFS」が、2026年1月28日をもってワイキキ中心部の旗艦店舗を閉店し、ハワイ州内から完全撤退することを正式に発表した。
DFSはダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル空港)内の店舗を3月末、マウイ島カフルイ空港店を8月末に順次閉じる見込み。これにより、ハワイでの事業は約63年におよんだ長い歴史に終止符が打たれる。
同社は1962年にホノルル空港で米国内初の免税店を開業、以降各国からの観光客向けの高級免税小売としてハワイの旅での買い物の定番となっていた。特にワイキキの「Tギャラリア」は高級ブランドから地元商品まで幅広い品ぞろえで、日本を含むアジアからの旅行者に親しまれてきた。
コロナ前後からの変動と転換点、そして再開
新型コロナのパンデミック以前から観光客数や購買傾向の変化はあり、2019年にはDFSはアジアからの旅行需要の鈍化を理由に165人を解雇した。そして、コロナ禍により2020年3月には一時休業を余儀なくされた。
長い閉鎖期間には、地元では「ワイキキのTギャラリアを含めた建物がホテルになるのか?」などの噂混じりの情報も飛び交ったが、2022年に地元投資会社ブラックサンド・キャピタルが所有するワイキキ・ギャラリア・タワーでDFSが18年間のリース延長契約を発表。ワイキキ店舗は2023年7月にリニューアルオープンした。店舗規模は縮小したが、約5万平方フィート(約4600m2)の小売スペースには、最大規模のビューティーホールや地元パートナーとのコラボ企画など新たな体験を打ち出したほか、新たなカフェをテナントに入れるなど、観光回復への期待が込められていた。
しかし、国際観光、特に日本からの旅行者数は見込みどおりには戻らず、さらには円安による購買力低下が影を落としたとの指摘もある。
撤退の背景とハワイにおよぼす影響は?
DFS側は声明のなかで「ハワイは当社の歴史にとって重要な市場であった」とこれまでの歩みを感謝しつつも、「事業環境の変化により困難な決断を下した」と説明。地元の報道によると、ハワイ州内の観光・小売関係者からは、DFS撤退による雇用や税収面への影響、ワイキキ中心部の大規模商業スペースの空白化を懸念する声が上がっているという。解雇される従業員数について具体的な数字は明らかにされていないが、数百人規模にのぼるとみられている。
ワイキキの跡地と空港の免税事業の行方
現時点でワイキキのDFS跡地の具体的な再利用計画について正式な発表はないが、空港内の免税事業については、ハワイ州運輸局が新たな免税品事業者の選定に向けて動く見込みと地元テレビ局は報道している。空港のリース契約は今年3月31日に終了予定。
日本のバブル期を含め、長年にわたり日本人観光客にとって「ハワイに着いたらまず立ち寄る場所」「ハワイで免税品を購入する象徴的な存在」として親しまれてきたDFS。その撤退は、一つの観光スタイルの節目を意味する出来事とも言える。店舗を訪れると、ハワイで生まれ育ったという販売員は「悲しい。63年続いたものが終わってしまうなんて……。いい会社だった」と寂しそうな表情を浮かべた。
ワイキキ中心部という一等地の跡地が今後どのように再生され、免税事業や観光の新たな形が生まれるのか、次の展開に注目が集まる。
なお、ワイキキの店舗では閉店までの期間、メーカーにもよるが順次セールを実施する。すでにライフスタイルブランドのトリー・バーチは一部の商品を70%オフとしていて、ほぼ完売だった。コスメブランドも30%オフなどのセールを予定しているという。




















