地元誌編集長の「ハワイ現地発」

【ハワイ現地発】上質な時間と味に出会う。進化するワイキキのダイニング

 この秋もワイキキを中心に新たな飲食店が続々とオープンした。なかでも「ハワイが変わってきたなぁ」と感じた店が2軒。なんというか、洗練されていてステキなのだ。ハワイは太平洋の真んなかに浮かぶ小さな島であり、かつてはどこか垢抜けないカントリースタイルな店が多かった。個人的にはそれも好きなのだが、最近は“抜群のセンス”が島に入ってきている。

ハワイ初上陸を果たした「アールズ・ワイキキ」
11月にオープンしたばかりの「ボタニコ・ワイキキ」

 今回紹介する2店舗は一つは日本、もう一つはカナダ発。よく英語で「elevate」と表現するが、ハワイのダイニングの価値観を高め、外食シーンの選択肢が広がるきっかけになったように感じる。

ボタニコ・ワイキキ

ワイキキショッピングプラザ1階、カラカウア通りから一歩入ったシーサイド通りに入り口がある

 日本で飲食事業を展開するゼットンによる、ハワイ12店目となるダイニング。彼らの店はどれも基本的にワイキキ中心部にあり、11月にグランドオープンしたこちらも、ど真んなかのワイキキショッピングプラザ1階というロケーション。

自然素材の温もりを感じさせる店内。これまでにハワイになかった空気感が漂う

 緑で覆われたエントランスを入った瞬間に、ワイキキの喧騒を忘れる空気に包まれた。ステンドグラスアートを囲むバーラウンジ、木目のアーチの向こうのダイニングエリアからは流木のシャンデリアやドライフラワーが目に飛び込んできた。インテリアやテーブルに木を使うなど、店名のとおり「Botanico=ボタニカル」な世界観が広がっている。

軽くつまみを楽しむバーラウンジのほか、奥のダイニングエリア、テラス席がある

 料理はイタリアンをベースに地中海のエッセンスを効かせたメニュー構成。地元ハワイをはじめ、イタリアなどからの食材を活かしたオリジナリティの高い料理を味わえる。

 飲食店にありがちな「濃い味付けでごまかす」ことは一切なかった。メインとなる料理はもちろんだが、フォカッチャにいたるまで丁寧に手作りし、食材の味を最大限に引き出して提供しようとしているのが伝わってきた。

 エグゼクティブシェフは玉野雄太氏。 南青山のミシュラン二つ星レストラン「Narisawa」で研鑽を積み、名門フレンチ、寿司など多様なジャンルの経験があるという。枠にとらわれない発想から生まれる料理が実に楽しかった。

白ワインと相性抜群! ビーツ&カリフラワー 鮮やかな色の自家製フムス キャラメリゼナッツ(14ドル)
ユニークな盛り付けの山盛りプロシュート。ナポリ名物海苔のゼッポリーニとともに(16ドル)
ローカルジャンボマッシュルーム イタリアンソーセージ詰め 真っ黒フリット ピリ辛アラビアータソース(17ドル)
クリーミーブッラータ 甘み豊かなチェリートマトとマスカット タプナード バジル(26ドル)

 ビーツ&カリフリフラワーの自家製フムスをピンサにのせて一口。ほどよくしっとり、ビーツ特有の土っぽさとカリフラワーの優しさが見事に調和した旨みに変わっていた。ナポリ名物の海苔のゼッポリーニにプロシュートが山盛りに乗った一品、「ハワイ島の溶岩に見立てた真っ黒のローカルジャンボマッシュルーム イタリアンソーセージ詰め 真っ黒フリット ピリ辛アラビアータソース」(長~い料理名)など、プレゼンテーションも印象的だった。

全粒粉のフォカッチャに自家製リコッタチーズを添えて(11ドル)
生ハム 自家製チキンレバームース チーズの盛り合わせ(32ドル)

 しっとり焼き上げた全粒粉フォカッチャを香り高いオリーブオイルと自家製リコッタチーズに潜らせるというシンプルな一皿も豊かな風味だったし、ナスとポテトのギリシャ風グラタン、ムサカはとろとろのナスの甘みが広がって、ゆっくりワインと一緒に味わいたくなった。

ムサカ ナスとポテトのギリシャ風グラタンクリーミーミートソース ピンサを添えて(16ドル)
じっくり煮込んだ自家製ボロネーゼ(28ドル)と自家製パンチェッタのせカルボナーラ(28ドル)+黒トリュフ追加(8ドル)

 残念ながらまだワインは試していないのだが、世界で300人弱しか認定されていないマスターソムリエが選び抜いたワインセレクションなのだとか。それを一般的なワイキキ価格よりもリーズナブルに提供しているという。

ミラノ風ポークカツレツ ハーブサラダ 自家製カツ バルサミコソース(39ドル)
魚介のグリル/カンパチ カウアイシュリンプ 帆立の盛り合わせ サフランのオリーブソース(48ドル)

 気軽に楽しむなら、14時から18時のハッピーアワーがオススメ。ワインやサングリアは8ドルで、アペタイザーとともにカジュアルな時間を過ごせる。ランチタイムはパスタが10ドル台から。さらに、在住者はランチメニューが20%引きになるが、大々的に公言すると混雑してしまうのでこっそり伝えたいのが店の意向のようだ……。

あふれる才能をフルに使って料理を作るエグゼクティブシェフの玉野雄太氏

 日本人シェフが、ハワイをはじめ世界からの食材で提供する地中海&イタリアン。これぞ、多文化共生社会のハワイ=食のメルティングポットを満喫できるダイニング!

アールズ・ワイキキ

ワイキキのメインストリートであるカラカウア通り沿いにオープン。当日はハワイ式のブレッシングが行なわれた

 一方、カラカウア通り沿いのビルの2階には10月のオープン以来、連日混み合うダイニングがある。ローカル御用達の「CPK」こと「カリフォルニアピザキッチン」があったこの場所は、さらに遡ると1300席を有する「ワイキキ3シアター」としてにぎわったのだとか。その1万2900平方フィートという広大な空間が、ハイセンスなダイニングとして生まれ変わった。

緑をふんだんに使ったダイニングエリア
外からの風が心地よく入ってくる開放的な空間
2人席から大人数のグループ席まである
ゆったりくつろげるソファ席も豊富

 ダイニング、ラウンジ、バーエリアは、歴史あるアールデコの要素とハワイのトロピカルで開放的なデザインが融合し、ゆったりしたリゾート気分に浸れる。

 カナダ発のこの店は親子でスタートさせたというが、今では全米70店舗以上を展開。アメリカンスタイルをベースに、多国籍なテイストを取り入れた、肉やシーフード中心の料理が揃う。

クリスピービリアタコス(21.75)、アールズ特製チキンテンダー(18.75ドル)やカクテル各種
ステーキと寿司のセット(38.50ドル)などアメリカ人らしいアイデアを味わうことができる

 ディナーは、USDAプライムステーキやシーフードタワー、シグネチャーのスティッキーコリアンリブやスパイシーカラブリアンパスタなど、世界各地のエッセンスが効いた一皿が人気。どれもボリュームがあった。

トマホークポークチョップ(46.75ドル)から寿司、パスタ、シーフードタワーなど多国籍料理が揃う

 ブランチもお勧めで、クラシックベネディクト(20.75ドル)やグアバパイナップルパンケーキ(21.75ドル)というラインアップ。ハッピーアワーは14時から17時までと、22時以降の毎日2回。指定のビールは3ドルオフとなり、7ドル~。グラスワインやほとんどのカクテルは半額で7ドル前後。生牡蠣が4ドル~。

エスプレッソマティーニなどのオリジナルカクテルが豊富
甘辛コチュジャンソースが効いたスティッキーコリアンリブ(23.75ドル)

 2回目に訪れたときも欧米からの旅行客でにぎわっていて、暮らしていながらも、つい「海外に来た~」と思ってしまった。それでいて日本語メニューもあるのがありがたい。そんな理由から、この店は年末に日本から来る友人を連れて行くリストに入れてある。いつものハワイとはちょっと違う「外国気分」を味わうならぜひ行ってみてほしい。

「日本語メニューもありますよ!」と渡してくれた。Mahalo!
2階に上がると両サイドにアールズワールドが広がる
大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。