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いよいよフィナーレ、万博の最後、どう過ごす? 10月に2回夢洲を訪れたライターが最終盤の会場をレポ

最終盤の万博に行ってきた

 大阪・関西万博も残すところあと4日となった。

 8月までは、ほとんどの日程で前日の予約が可能だった。9月上旬までなら、まだ混んでいない穴場などもあった。しかし、9月18日に残る会期すべての入場予約が埋まり、残り4日間にも入場枠はない。旅行社経由でチケットを買う方法も売り切れ、入場チケットの当日引き換えを勝ち取るために前夜から長蛇の列ができ、もう気軽に行けるイベントではなくなってしまった。

 筆者は、会期初日の4月13日から10月7日まで、計12回万博に通った。7月までに8回、8月は暑いしと夏休みで混むだろうと判断し0回、9月に2回、そして今月2回である。5月、6月には、朝になってから万博に行こうと思い立ち、準備をして出かけ、電車のなかで当日の入場予約と駅からのシャトルバスを予約したこともある。予約もなにもかもオンラインで行なうため、空き時間ができたときにちょっとだけ行くということも可能だった。そう考えると、今回の万博は近隣に住んでいる人が何をするにも有利で、ネット記事でも地元在住のライターなどを中心に、「万博◯◯回のライターが指南!」などの文字が踊った。遠方に住んでいたら、今日の午後だけ万博に行こう、なんてできんですわな。

 ただし、この状況は9月18日に一変した。残りの予約枠が一気に埋まったのだ。こうなると、これまで何度も会場に足を運んでいた「通期パス組」も予約日程を消化してしまえば新たに入場できない。つまり、この土壇場に来て「初めて万博に行く」という人の割合が増えてきているように思う。

 そこで、残り4日間で「初めて万博に行く。でも混んでるんでしょ?」という方に向けて、筆者の経験をもとに万博を楽しむためのヒントをお伝えしたいと思う。超人気パビリオンやミャクミャクのお土産も素敵だが、貴重な万博の機会を、時間を浪費せずに楽しんでいただきたいと思う。

最初の試練、入場ゲート

9時の入場予約がある場合

 できるだけ早く入場して人気パビリオンやそのレストランにいち早く並びたい!という場合、これはもう1分1秒でも早くゲート前に並ぶことをオススメしたい。ゲートオープンは10分前倒しの8時50分からだが、東ゲートは始発電車を狙って、西ゲートはシャトルバスなどの予約に乗り遅れないように入念に準備をしておきたい。

 例外として、少しゆっくり目にゲートに着いても比較的早く入場できるのが、「パークアンドライド」もしくは「船」で西ゲートにアクセスする方法だ。入場予約の1時間前に西ゲートの専用レーンから入場可能で、例えば10時の入場予約では8時50分から、11時の入場予約では10時から入場できる。あまり公には語られないが、パークアンドライドの駐車場についても、予約時間より数十分程度早着しても駐車場には入れるし、シャトルバスにも乗車できる(筆者が体験済)ので、うまく活用していきたい。

 また、入場後10分ほどすると、公式サイトからパビリオンやイベントの当日予約にアクセスできるようになる。超人気のパビリオンは文字どおりあっという間に埋まっていくが、9時台前半までならなにかしら予約できる可能性が高いので、入場後に目的のパビリオンに並んだらトライしてみるとよいだろう。この際、グループ内で「どれにする? これでいい?」などと言い合っていてはチャンスを逃す可能性もあるので、これだ!と思ったらすぐ予約してしまおう。

10時以降の入場予約の場合

 たとえ3時間や5時間並んでも目当てのパビリオンに行きたい!……という場合は、もちろん早めに待機列についたほうが早く入場できるが、筆者としてはあえてゆっくり目をオススメしたい。

 筆者の体験でいうと、例えば西ゲート11時入場枠の待機列は10時30分ごろにゆっくりと動き出し、10時40分ごろから(10時枠の列の後ろについて)入場が可能になる。そのため筆者は入場予約の30分前くらいにゲート前に到着しトイレや給水などして時間を調整して、動き始めた列の後ろにつくようにしている。10月7日の場合、10時33分に11時入場列の後ろにつき、入場できたのはなんと10時50分だった。早朝から並んでいた場合と比べても、入場時間は10分程度しか変わらないのではないだろうか。

10月7日10時41分の西ゲート前「11時入場列」の様子。ゲートは眼の前だ
7月23日17時28分の東ゲート前の様子。この日は花火があり夕方からの入場者が多かった

会場内は大混雑必至だが、22万5000人以上は来ない

 万博の入場予約は、時間ごとに東ゲート、西ゲートそれぞれに予約枠があり、その枠が埋まると入れなくなるのは周知のとおり。つまり、大混雑といっても上限はあるのだ。9月で最も多かったのは9月22日の21万5000人(関係者を除く)で、10月に入ってからは毎日22万3000人(±3000人)前後で推移している。前回の「愛・地球博」では会期最終盤にかけてどんどん混雑していったが、今回はそういった状況ではないのは救いである。

 ただ、会場内を歩いていると、15万人を超えた日はやはり多いと感じる。しかもラッシュ時のターミナル駅とは異なり、歩く方向も早さもバラバラで、横並びで歩くグループも多い。移動の際は注意が必要だ。また、パビリオンの当日予約枠などを狙ってスマホを操作する人も多いが、歩きながらの操作は非常に迷惑で、ケガの恐れもある。楽しい万博にするためにも、スマホ操作はパビリオン待機列などに並んでいるときに行ないたい。

10月7日12時23分、西ゲート付近の大屋根リング下の様子
10月6日15時46分、西ゲート付近大屋根リングより

“並ばせない”パビリオンは狙い目

 イタリア館、アメリカ館など人気パビリオンは、開場1時間後には待ち時間が3時間を越え、最長でおそらく5時間以上待ちになる。イタリア館の待機列は大屋根リングの下に形成されるため待機中は涼しいのが救いだが、個人的には5時間も並ぶのなら会場内をぶらぶら歩くか、列の短いパビリオン2か所に行くほうを選ぶと思う。

 そこでオススメしたいのが、待機列を作るスペースがないなどの理由で“並ばせない”パビリオン。例えばシンガポール館や中国館などが該当する。いずれも、列が長くなると係員が列の形成を打ち切り、「お並びいただけません」と案内するが、この列は少し消化して短くなるとその分新たに並ばせる方式で、入場までの時間は1時間前後。このタイプのパビリオンだとピンときたら、少し遠巻きにしばらく様子をうかがってみよう。ただし、列を作らせないのは通行の妨げにならないようにするためなので、迷惑にならない程度に離れることを心掛けたい。

シンガポールパビリオン
中国パビリオン

 また、パビリオンには展示の列とレストランやカフェの列があるので注意したい。例えば、工事費の未払いにより開館が遅れたことで有名になったネパール館には目立つゲートがあり、そこをくぐると飲食店と雑貨店があるスペースに着く。一方、パビリオンとしての入口は建物の壁面にある。また、(上記シンガポール館、中国館も同様だが)歩いて展示を見るスタイルなので列の消化が早く、筆者が通りかかったときには列が3分程度で消化されすんなり入ることができた。

ネパールパビリオン。左は7月13日(オープン前)、右は10月7日の様子

会場内のフォトスポット、スタンプなどを楽しむ

 会場に入ると、スタンプ帳にパビリオンのスタンプを押している人をあちらこちらで見かけるはずだ。初めて万博に行った人が全部のスタンプを押し切るのは絶対に不可能(筆者は計12回入場してスタンプ160個集めたがまだ空白も多い)だが、東西ゲート近くにある「来場記念スタンプ」「フィナーレスタンプ」は記念になるのでぜひ押しておきたい。筆者は有効期限切れの本物のパスポートにスタンプを押している人を見たことがある。行ったパビリオンなど数個だけ押すには最高のスタンプ帳だと感心した。

通期パス組はほぼもれなくやっていたスタンプラリー。筆者は160個押したが、入っていないパビリオンも20以上ある
西ゲート近くの「フィナーレ・スタンプ」。空いているので記念に押しておきたい

 また東西ゲート付近には郵便局もあり、記念切手シートを販売している。もちろん、買った切手をポストカードに貼って万博会場の消印で手紙などを送ることも可能。スタンプ帳などに切手を貼って、その日の消印をもらうことだけでもOK。こちらは列が長くても30分程度で消化されるので、興味があるなら行ってみてはいかがだろうか。

スタンプ帳に切手を貼り付け、東西ゲート近くの郵便局で消印を捺印してもらった。日付も入っていい記念になる

公式ショップは大盛況。サテライト店を利用しよう

 ミャクミャクのぬいぐるみなどをはじめ、公式ショップには、そこでしか買えないものがたくさんある。しかし東西ゲート近くに計6か所ある公式ショップは9時の開場直後から多くの人が詰めかけて1日中長蛇の列ができており、ここでもやはり貴重な時間を消費してしまう。

 そこで、特に目当ての商品がないのなら大屋根リングの下にあるキオスクのようなサテライト店の利用をオススメしたい。商品点数は少ないものの、ミャクミャクのぬいぐるみやお菓子、おもちゃなど人気の商品が置いてある。筆者も4月に小さなミャクミャクのぬいぐるみを買ってバッグにつけているが、万博に来ている気分が盛り上がりいい買い物をしたと思っている。また、各パビリオンにも物販のコーナーがあるので、運よく入れたら記念になるものがないか探してみよう。

7月31日のサテライトショップ。もちろん今はもっと混むが、それでもメインの店舗より待たずに済む
小さめのミャクミャクを2体購入。小さい方バッグにつけて、大きい方は自宅リビングが住処となった

 なお、上記公式ショップのうち、例えば西ゲート前にあるJR西日本グループのショップでは、翌朝6時59分までアクセスできるオンライン販売のQRコードとパスコードを待機列最後尾付近で配っていた。並ばず商品を手に入れられるチャンスなので、見かけたらもらっておきたい。

特設ステージやパビリオン前でのショーを楽しむ

 会場には特設のステージが複数箇所あり、芸能人や音楽家、海外アーティストやパビリオン関係者などによる歌や楽器の演奏、踊りなどのパフォーマンスが随時開催されている。広場にスケジュールが張り出されているので、見かけたらチェックしておきたい。また、パビリオン前のステージでその国の民族衣装や踊りが披露されることがある。涼しくなった夕方以降に行なわれることが多く、またマレーシア館、インドネシア館などは来場者もステージに上って一緒に踊ることもできるので、見かけたら積極的に参加しよう。

 ウォータープラザでは、11時から16時の毎時0分から約5分間、音楽と噴水による「水と空気のシンフォニー」のショーがある。こちらは拍子抜けするほど空いているので、タイミングがあえばぜひ見てほしい。

マレーシアパビリオンとインドネシアパビリオンで見かけた踊り。来場者も一緒に楽しめる
7月18日、関西パビリオン前で見かけた嘉門タツオ氏のサマーナイトライブ。万博の歌などを披露していた
オーストラリア館前でのパフォーマンス。大屋根リング上から撮影
日中の毎時0分にウォータープラザで行なわれる「水と空気のシンフォニー」。休憩がてら見られる

パビリオンや大屋根リングは夜のライトアップも◎

 その国の威信をかけて作られた各国のパビリオンは、いずれも見惚れてしまうほどに美しい。22時までの開場を見越してライトアップにもこだわっており、日が暮れると雰囲気が一変する。昼と夜ではまったく違う印象を受ける建物もある。閉場まで5時間程度は夜の雰囲気が味わえるので、なるべく歩いて昼と夜に写真に収めることをオススメしたい。

タイパビリオン
スペインパビリオン
ポーランドパビリオン
ガンダムパビリオン

 また、今回の万博の象徴でもある木造の巨大な「大屋根リング」も、夜になると雰囲気が一変。見上げるのも美しいが、ぜひ上を歩いてほしい。できれば夜に、できれば一周。

 人は多いが身動きが取れないほどではなく、海風が心地よく、ライトアップされた会場をさまざまな角度から見渡せて、タイミング次第で花火やドローンショー、水上ショーも見ることができる。圧巻の巨大木造構築物に感心するもよし、万博を振り返ってしんみりするもよしである。

 ただし、花火の時間はリング上に身動きできないほど人が上がってくるので、早めに上がり、東の端あたり(花火が上がるのと反対方向)を目指すと比較的ゆったり見学できる。

西ゲート近くの大きなミャクミャクと大屋根リング
大屋根リングは時間によってイメージが異なる。オススメは日没直後の空が青から黒に変わっていくとき
花火の時間、リング上は大混雑。東側にいくと比較的空いている
ドローンショー「One World, One Planet.」。リング西側からだとプロペラの音も聞こえる
大屋根リング上は夜の散歩にうってつけ。会場の夜景を見ながら歩こう

パビリオン入場のラストチャンス!

 会場は22時に閉場だが、パビリオンはおおむね21時に閉館となる。最終入場は20時30分くらいのところが多いイメージだ。このとき、行列がなくなって、予約アリでも予約ナシでもお構いなしに観客を入れるパビリオンが複数ある。前述の、「夜に大屋根リングを歩く」とは相反する内容で恐縮だが、とにかく1か所でも多くのパビリオンに入ってみたいという場合は、突発解放に賭けて会場内を歩いてみるのもいいだろう。

待ち時間なしで入場できた飯田グループホールディングス&大阪公立大学パビリオン。外壁は西陣織で、もちろんギネス認定済み

名残惜しいが、退場……

 水上ショーやドローンショーなどのナイトイベントは、遅くとも20時45分ごろに終了する。この時間から退場者が急速に増え、バス/タクシー予約者のみの西ゲートはともかく、鉄道の東ゲートはこの日一番混雑する。ピークは21時30分~22時くらい。

 ただし、非常にスムーズに誘導されており、実際には東ゲートを出てから電車に乗るまでの時間は1時間以内だ。その間もほとんど止まることなくじわじわ動いているので、思いのほか短く感じる。乗り継ぎなどを考慮して早めに行動するに越したことはないが、過度に(取り残されるのを)怖がる必要はないと筆者は考える。

 もちろん、終電ギリギリになると精神衛生上よくないので、なにかあった場合を考慮して90分程度の時間はみておいた方がいいだろう。

東ゲート、西ゲート

 最後に、10月6日と7日に筆者が行動した時間をまとめる。いよいよフィナーレを迎える大阪・関西万博。一人でも多くの方が、世紀のイベントを楽しめますように……。

10月6日

入場予約: 11時00分(西ゲート)
交通手段: JR桜島駅シャトルバス10時台(往路)、鉄道(復路)
歩数: 2万5200歩

10:13  JR桜島駅到着
10:20  シャトルバス乗車
10:37  万博会場第2交通ターミナル到着
10:41  11時入場列の最後尾につく
11:05  入場
11:15  西ゲート前郵便局で切手シート購入、消印を押印
12:20  コロンビア館の売店でアイスコーヒー購入、持ち込んだおにぎりで昼食
12:50  天皇皇后両陛下の来場を見学すべく日本館付近で待機
13:55  天皇皇后両陛下の車列を見送る
14:40  東ゲート郵便局で消印を押印
16:00  未来の都市館付近で「空飛ぶクルマ」見学
16:20  「未来の都市」入場(7日前抽選当選)
17:30  団体休憩所西で日没を鑑賞
17:40  「フューチャーライフヴィレッジ」見学 ※待ち時間なし
18:10  「風の広場マーケットプレイス」で夕食。バングラデシュのカレー
18:30  ライブ鑑賞「Lemino Music Fes」鑑賞。※EXPOアリーナでチケットを無料配布
19:25  大屋根リング上を散歩
19:30  大屋根リング上で「ドローンショー」鑑賞
20:30  大屋根リング上で水上ショー「アオと夜の虹のパレード」鑑賞
20:40  退場に向けて移動開始
20:59  東ゲート退場
21:24  夢洲駅出発

10月7日

入場予約: 11時00分(西ゲート)
交通手段: JR桜島駅シャトルバス10時台(往路)、鉄道(復路)
歩数: 2万6300歩

09:43  JR桜島駅到着
09:53  シャトルバス乗車
10:15  万博会場第2交通ターミナル到着
10:33  11時入場列の最後尾につく
10:50  入場
11:00  水上ショー「水と空気のシンフォニー」鑑賞
11:15  持ち込んだおにぎりで昼食
11:25  シグネチャーゾーンでスタンプラリー
12:00  シンガポール館待機 ※予約なし
12:51  「シンガポール館」入場(~13:30)
13:45  大屋根リング下で休憩。30分ほど、当日予約チャレンジ(ことごとく失敗)
14:50  「いのち動的平衡館」 ※7日前抽選当選
15:45  「ネパール館」 ※予約なし、待ち時間3分以下
17:00  インドネシア館前で踊りを鑑賞
17:20  団体休憩所西で日没を鑑賞。残りのおにぎりで夕食
18:25  大屋根リング上へ
18:35  大屋根リング上で花火鑑賞、その後リング状を散歩
19:10  大屋根リング上で水上ショー「アオと夜の虹のパレード」鑑賞
19:30  大屋根リング上で「ドローンショー」鑑賞
20:20  「飯田グループホールディングス&大阪公立大学」入館 ※予約なし、待ち時間なし
20:55  会場内を散策
21:57  東ゲート退場
22:33  夢洲駅出発