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ANA、定例会見を5月12日実施。羽田~ニューヨーク/シカゴ線新設などに言及

2016年5月12日 実施

ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏

 ANA(全日本空輸)は5月12日、東京都港区の本社にて定例会見を開いた。

 冒頭、ANAホールディングスの代表取締役社長 片野坂真哉氏は平成28年熊本地震へのお悔やみとお見舞いの言葉を述べ、4月19日には熊本空港での発着が再開されたことについて、関係者各位の尽力と協力に敬意と感謝を表した。

 4月1日には2016年度合同入社式を無事に開催し、新入社員に向けてANAグループにおいては“安全がすべて”であると伝えたことに触れ、航空機の安全運航はもとより、食の安全、個人情報など、ANAグループのすべての業務において安全が最優先でなければならないという考えを示した。

 3月22日には国内線のシステムにおいて、搭乗手続きや予約ができなくなるトラブルを発生させたことについてもあらためてお詫びし、“安全がすべて”この意識をANAグループ全体であらためて徹底して、一層気を引き締めて取り組んでいくと述べた。

 4月28日に発表された2016年3月期決算についても言及し、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益すべてで過去最高の業績を達成できたことに触れ、エアラインにおいては需要の弱い期間とされる1月~3月に純利益48億円を計上、第4四半期に黒字を達成したのは2003年度に四半期決算の開示を始めて以来、初めてのことであると話した。

 2015年度全体を見ても、原油安の恩恵があるなか、コスト構造改革も年度で250億円の目標を達成、主力の国内・国際線ともに需要が堅調であり、旺盛な訪日需要などが航空事業、商社事業、旅行事業などさまざまなセグメントで収益向上の追い風になったと説明。LCC事業ではバニラエアが初めて黒字化を達成したことも付け加えた。

 ただし、世界の政治、経済、紛争の動きがただちに原油価格や為替、株価の急激な変動をもたらし、日本にも航空業界にも大きな影響を及ぼす環境において、自身も、全社員に兜の緒を締めよと呼びかけて今年度をスタートしていると説明。2016年度~2020年度5年間の中期経営戦略では「ボラティリティー(価格変動)耐性を備えた最適ポートフォリオの構築」を主要な目標として掲げており、より強固な財務体質を目指して、戦略を着実に実行していくと述べた。

 4月26日にあった日米路線にかかわる羽田空港国際線発着枠の配分についても言及。ANAが昼間3枠、早朝深夜1枠を配分されたことは、8月10日ペーパーの方針を踏まえたものであり、関係者に深く感謝しつつ、国民の貴重な財産である、羽田空港と成田空港の発着枠を最大限有効に活用、引き続き自助努力を重ねながら、お客さまの利便性向上、訪日需要の創出に取り組み、しっかりと期待に応えていきたいと話した。

全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏

 続いて全日本空輸代表取締役社長の篠辺修氏が、あらためて国内線システム不具合についてお詫びし、2015年度の航空運送事業について説明した。

 国際線では欧州のテロがあったものの、堅調なビジネス需要と、中国やアジアからの訪日旅客の増加に支えられた1年で、2014年度からは686億円の増収があり、そのうち国際線の旅客事業では473億円と期待通り伸び、営業損益ベースでは1397億円、前年から580億円の増収とよい決算となったと概観。

 国際線の座席の伸びに旅客数が追従して利用率が向上したこと、国際線の新規路線が順調にスタートして業績に貢献したこともあり、ブリュッセル線、パリ線ではテロの影響で苦戦したものの、欧州全体で見ると旅客数で前年比104.9%と、ほかの路線が補った形になったと説明した。

 国内線では旅客数と機材の需給適合「ピタッとフリート」を推進し、その効果が表れたと述べ、2015年11月から年度末までにボーイング 737-800型機を5機導入し、需給適合を進め、効果額は10億円と試算。2016年度はエアバス A321-ceo(従来型機)、2017年度は同A321-neoを使うことで、中期計画では2018年度に75億円の効果が出てくると試算していると述べた。

 2016年度の国際線展開についても説明。4月28日に就航した成田~武漢線に加え、9月からは成田~プノンペン線を開設する計画、2017年2月にはボーイング 787-8型機を使い成田~メキシコシティ線を就航する予定だとした。

 羽田空港のあらたに配分された昼間3枠、夜間1枠については、2016年の冬ダイヤから変更し、成田~ニューヨーク線2便のうち1便を羽田~ニューヨーク線に、成田~シカゴ線2便のうち1便を羽田~シカゴ線に変更、羽田~ホノルル線は深夜便を昼間帯に変更予定。これにより羽田・成田両空港からニューヨーク・シカゴに行くことができ、利便性が向上すると説明した。ちなみに現行夜間の羽田~ロサンゼルス線は継続という。

 また、成田空港第1ターミナル出発ロビー南ウィングのカウンターレイアウト変更についても説明。同社が加盟するスターアライアンスの「『Move under one Roof』(1つ屋根の下)にメンバーが集まることで利用客の利便性を高める」という方針からこれまで搭乗クラス別のカウンター配置だったものを、6月2日からは航空会社ごとのカウンター配置に変更するという。これは当初は加盟航空会社が10社程度だったものが、現在は17社となり、航空会社ごとのほうがよいと判断したとのことだ。

 最後に、6月から国際宇宙ステーションの長期滞在搭乗員となる大西卓哉宇宙飛行士について言及。大西氏が同社の767型機の運航乗務員出身であることから、OBが活躍することを誇りに思い、ANAグループで応援。JAXAと協力して、宇宙と空を身近に感じられるようなイベントをこれから企画していきたいと話した。

ANAホールディングス株式会社 取締役専務執行役員 殿元清司氏

 ANAホールディングス取締役専務執行役員の殿元清司氏からは、平成28年熊本地震に関する同社の災害支援について説明があった。

 不定期便・臨時便は合計175便を5月8日までに運行、現地への災害支援者の無償渡航提供、救援物資の輸送協力を5月31日まで行ない、無償渡航者は約4700名、物資輸送は6件で約3100kgとなった(いずれも5月11日現在)。また、ANAマイレージクラブ会員による義援マイルの募集には約8万名の参加があり、寄付マイルには約2億4800万円相当が集まったという。

(編集部:稲葉隆司)