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ANA、2016年3月期の連結業績は増収増益、利益は過去最高

熊本地震で、ANAセールスは8000名分で約4億円分のキャンセルを受ける

2016年4月28日 発表

ANAホールディングス株式会社 取締役執行役員 平子裕志氏

 ANAホールディングスは4月28日、2016年3月期決算を発表、記者会見を行なった。

 売上高は前年同期比4.5%増となる1兆7911億円。営業損益は1364億円の利益で前年同期比49.1%増、経常損益は1307億円の利益で前年同期比94.7%となった。営業利益、経常利益、純利益などすべての利益で過去最高だとした。

 国内線は供給量を抑制的にするとともに、北陸新幹線開業による環境変化で旅客数は前年同期を下まわる一方で、各種割引運賃の柔軟な設定などで単価水準の向上につとめ、収入は前年同期を上まわったという。

 また、需要があるところに増便を行なうなど需要取り込みに力を入れ、旅客数はが前年同期比1.2%減少したものの、単価は1.6%増加、旅客収入も0.3%増加となった。

 国際線では、パリの同時多発テロとブリュッセルの同時テロの影響で、日本発の一部路線で需要が減退することがあったとしているが、そのほかの欧米路線のビジネス需要が好調だったことと、旺盛な訪日需要を取り込んだことで、旅客数、収入ともに前年同期を上まわった。

 単価は燃油サーチャージの減少等で2.8%下降したが、旅客数は13.3%増加、国際線収入は前期比10.1%増加の473億円と大幅な増収となったことを強調した。

 決算を発表した取締役執行役員の平子裕志氏は記者の質問に答え、平成28年熊本地震の影響について「九州全体の影響が今後出てくる可能性が大きい。特に旅行関係は、九州周遊旅行は人気商品で影響が大きいと聞いている。ANAセールスでは8000名、4億円くらいのキャンセルがあったと聞いてるので、この影響がどうなっているのか見定めていかないといけない」と述べた。

 パリやブリュッセルのテロの影響は、「パリは発生から2カ月くらいで回復したが、ブリュッセルの需要はまだまだ回復していない。私共の見立てとして、夏場までは厳しい状況が続く」と見通しを示した。

 北海道新幹線の開通の影響については、函館線はANA全体の供給量の1%くらいの線で影響は少ないとしながらも「過去の経験からすると4時間を超える路線とは十分に戦っていける」とし、「鉄道と航空を組み合わせて旅行商品が開発されれば、これまで行かなかった方がアクセスして地域活性になる」と余裕を見せた

 なお、羽田空港の国際線発着枠の配分については「今回の貴重な昼間枠は、最大限有効活用する責務を感じている」と述べて「お客さまの利便性を考えると、従来飛んでない路線に枠を使う」とし、競争力強化にも役立つとの考えを示した。今後は8月に路線申請するように進めているとした。

(編集部:正田拓也)