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ANAが5月14日に運航開始する「東北 FLOWER JET」が完成間近

ボーイング 737-800型機に東北の花が咲き競う

2016年5月11日 公開

2016年5月14日 就航

伊丹空港に隣接するMRO Japanの第2格納庫でデカール貼り付け作業中の「東北 FLOWER JET」

 ANA(全日本空輸)は、東北に咲く花を描いた「東北 FLOWER JET」を5月14日に就航する。伊丹空港に隣接するMRO Japanの格納庫では、その就航に向けて同機の制作作業が進められている。5月11日には、デカールに用いられている花の写真を撮影したフォトグラファーの野口勝宏氏や、ANAバーチャルハリウッドのプロジェクトメンバーが集まり、最後のデカールの貼り付けを行なった。

 この東北 FLOWER JETは、ANA総合研究所が事務局となって取り組んでいる、社員からの自発的な事業提案制度「ANAバーチャルハリウッド」のプロジェクトの1つ。福島空港勤務のグランドハンドリングスタッフ、地上旅客スタッフの女性2名の発案で、「震災を風化させない」「東北の“元気と感謝”を全国に届けたい」をテーマに進められた。メンバーは11名。ANAバーチャルハリウッドではそれぞれのプロジェクトに役員がオーナーとして1名就くことになっており、本プロジェクトはANA上席執行役員 東京空港支店長 兼 ANAエアポートサービス社長の峯尾隆史氏が務めた。

機体デザインに使われる花の写真を撮影したフォトグラファーの野口勝宏氏
ANAバーチャルハリウッドの同プロジェクトに参加したメンバー

 機体に描かれる東北の花々は、フォトグラファーの野口勝宏氏が撮影した“写真”をデカールにプリントしたもの。一見イラストのようでもあるが、近くで見ると非常に高精細で、写真であることが分かる。また立体感もあり、陰の出方などは実際に野口氏が機体を見て確認もしているという。

 描かれる花は東北6県で栽培される17種類。600種類以上を撮影してきたという野口氏だが、例えば、福島県塙町が名所として知られるダリアや、栽培地が東日本大震災の津波で流されながらも土砂から芽を出したことから再出発を果たした宮城県名取市のカーネーションなど、さまざまな由来、思いが込められた花が選ばれている。

東北 FLOWER JETに描かれる花

 機体は、3月に納入されたばかりのボーイング 737-800型機、登録記号JA85ANを使用。5月9日に、このデカール貼り付け作業のためにドックインした。

 小型の機体ということもあって、ほぼ全面に花々が描かれており、機体そのものが花束のようでもある。使用したデカールは片面だけで54枚、両面で100枚以上を使っているという。機体全体にデザインされてはいるが、この高精細かつ多色なデザインは塗装では無理とのことで、デカールであることに意味がある。

 報道関係者に公開した5月11日には、最後のデカールを貼り付ける作業が行なわれた。デカールは貼付面に剥離紙、表面に保護シートが貼られている。マスキングテープを使って位置を決めるための仮貼りをし、裏面の剥離紙を剥がして貼付。最後に保護シートを剥がしていく流れになる。風圧での剥離を防ぐために、シールの断面が後方を向くように貼り合わせるため、後方から順番に貼っていくことになる。つまり、最後のデカールは最前方部分となる。

 この日、MRO Japanの格納庫には、フォトグラファーの野口勝宏氏、ANAバーチャルハリウッドの同プロジェクトメンバー5名が集い、その最後のデカールの保護シートを剥がす作業が行なわれた。

取材時は、ポートサイド(左舷側)、スターボードサイド(右舷側)の後方部は貼り付けが完了した状態だった
位置を決めてマスキングテープで仮貼りしていく
ズレがないよう注意深く作業
有機溶剤を使って貼り付け面を拭き取り
シール側の剥離紙を剥がし、空気を押し出すようにして貼り付けていく
最後のデカールは、野口氏とANAバーチャルハリウッドのプロジェクトメンバーとで保護シートを剥がした
右舷側のデカール貼りも完了。窓枠部分やロゴ部分のデカールの切り抜きなど最終作業が進められる

 このあとは窓枠部分の切り抜きなど最後の仕上げ作業が行なわれる予定で、5月13日にドックアウトし、5月14日のANA1695便(伊丹08時15分発~福島09時20分着)から運航を開始する。

 なお、5月14日と5月15日には、同じくANAバーチャルハリウッドの別のプロジェクトが企画した「ふくしまおおぞらフェスタ2016」が福島空港で行なわれる予定だ。同イベントは空港のエプロン(駐機場)サイドに設けられたステージで行なわれる音楽フェスティバルで、その開催と同機が福島空港でコラボすることになる。

(編集部:多和田新也)