ニュース
企画展「いのちの未来+」鑑賞レポート。万博と何が違う? 石黒浩とイシグロイドが見どころを紹介【ネタバレあり】
2026年7月24日 19:51
- 2026年7月25日〜9月25日 開催
MoN Takanawa: The Museum of Narrativesは、企画展示「いのちの未来+」を開催する。会期は7月25日〜9月25日で、会場はTAKANAWA GATEWAY CITY「Box1000」。この記事では、開幕前日に行なわれたメディア内覧会・記者発表会の様子をお届けしていく。
大阪・関西万博で話題となった、アンドロイド研究の第一人者で大阪大学教授の石黒浩氏によるシグネチャーパビリオン「いのちの未来」。東京で開催する「いのちの未来+」は、万博で多くの人々を魅了した物語の大枠はそのままに、MoN Takanawaの会場に合わせて一部内容を再構成している。
展示室は大きく3つのゾーンで構成されており、先端技術を駆使した多数のアンドロイドやロボット、CGなどのアバターが集結。今作では、より深く考える体験を届けるべく、来館者が“いのちの未来の選択”に向き合う新たなシーンを追加している。
ゾーン1「いのちの歩み」では日本人がモノにいのちを宿してきた歴史を、ゾーン2では人間が高度な技術を用いたさまざまなプロダクトを活用しながら暮らす「50年後の未来」を、ゾーン3「1000年後のいのち“まほのば”」では科学技術で進化した人間を展示する。
アンドロイドとロボットはメイン展示であるゾーン2「50年後の未来」のなかで、未来の人間と共存する存在として登場。今回のシナリオは、「わたしたちは、生きたいいのちを生きられる」を、「アンドロイドか人間か」という2択そのものではなく、自分がどう在りたいかを自分で選び、問い続けられる自由という、より広い主体性の話として提示している。
哲学的な問いを親しみやすく、英語字幕を投影するなど幅広いゲストにも伝わるような構成に。記者のように、万博で「いのちの未来」パビリオンを体験した人にとっても、ゾーン2で「女の子とおばあちゃん」に再会し、およそ1年ぶりに自分にとっての“生きたいいのち”について考える場となるだろう。
万博では、おばあちゃんが出した答えを想像する体験だったが、今回はその先にある“自分とは何が”という問いを、新たに追加されたシーンでほかのゲストとともに考え、持ち帰るような体験へと深化しているように感じた。
グッズも大幅にラインアップを拡充しており、待望の公式図録や、夏休みの自由研究などにも活用できるオリジナルドリル(ワークブック)も展開。ショップエリアは入場券を持っていない人も利用でき、書籍は数量限定で石黒教授のサイン本を販売する。
支払い方法は交通系ICカードまたはクレジットカード(タッチ決済を除く)の2種類のみ。現金やPayPayなどのバーコード決済は使えないので、注意していただきたい。グッズの詳細は別記事にてお届けする。
「いのちの未来+」では、新シナリオ・グッズ拡充のほかにも、新たな仕掛けとして、AIを搭載したアンドロイドと双方向のリアルなコミュニケーションを楽しめる「アンドロイドとの対話体験」を提供。夏目漱石(二松学舎卒業生)との自立的な対話が楽しめる。参加には別途、専用チケットが必要とのこと。
記者発表会には、石黒教授が開発した遠隔操作型アンドロイド「ジェミノイド HI-6」(通称:イシグロイド)が本人とともに登壇。見た目がそっくりなだけでなく、石黒教授のインタビューや著書などの膨大な知見を学習しており、教授本人の考え方や価値観に基づいた対話が可能となっている。
イシグロイドはステージ上の対談に参加するだけでなく、記者からの質問に応じる場面も。「ロボットと人間が混ざり合った未来で、生身の人間が生きている意味は?」という根源的な問いに対しては、「意味は残りますよ。生身か機械かなんて本質じゃないわけです。人間って関係性のなかで存在しているので、その関係をどう作るかが重要になるんです。生身であること自体に特別な意味を求める発想が表面的なんです」と見事な回答を返し、会場を驚かせた。
「イシグロイドは石黒先生と意見が違ったりすることはあるのか」という質問に対して、石黒教授は「私の本やメディアインタビューは全部入力してあるため、基本的には私の考え方を持っています。もっと大事なのは、それにプラスしてインターネット上の知識も全部持っていること。正直、私よりもうまく答えることが非常に多いです」と高く評価。
「だんだんと私の役割が少なくなってきたかなと期待しています」と冗談交じりに語りつつ、その時間を新たな研究開発に使えるようになったと明かし、すでに人間とアンドロイドの境界線が溶け合っている現状を示した。
万博に続き、新シナリオの制作に関わったCHOCOLATE Inc. 取締役/チーフコンテンツオフィサーの栗林和明氏は、「ただアンドロイドたちの会話を一方的に聞いてもらうのではなく、訪れた人がついその会話に入ってしまいたくなるよう、一緒に考えたくなるようにこだわった」と制作の裏側を語る。石黒教授の「未来はこうなる、ではなく、どうなるのだろうかという“問い”を提示することが大事」という考えをベースに、難しいテーマを噛み砕きやすい言葉で届くよう設計したという。
石黒教授は、万博からの1年間でAIやロボットの技術が急速に進行していることに触れ、「50年先の未来というよりも、もしかしたらもう5年ぐらいの先の未来で、我々がアンドロイドを引き継いで長く生きていくことができるかもしれない。もっと近い未来の、自分たちが責任を持って考えないといけない問題だという意識で見ていただけるといい」と、展示のリアリティが増していることを強調した。
©FUTURE OF LIFE































































